光の4戦士 ファイナルファンタジー外伝


対応機種ニンテンドーDS
発売日2009/10/29
価格5980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2009 SQUARE ENIX / Matrix
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古き良き時代のロールプレイングゲームのエッセンスをたっぷり詰め込んだ、新感覚(?)のロールプレイングゲーム。
パッケージには、ネオ・クラシックRPGと定義されている。シナリオライターには「ミミズクと夜の王」の紅玉いづきを起用。
開発は、ニンテンドーDSでファイナルファンタジー3、ファイナルファンタジー4をリメイクしてきたマトリックスが手がける。

公式ブログを見る限り、かなりこだわって制作していたようだ。ハードウェア性能が上がるごとに、RPGの作り方も変化していった。
今時のRPGは、世界観やキャラクターを前面に押し出し、迫力ある3Dポリゴンによるビジュアルに圧倒されるフィールドマップ。見せ場のイベントシーンでは美麗なレンダリングムービーが流れる。
そこには、かつてのRPGにあった、想像力で補完する余地が無くなっていった。最近ではJRPG(ジャパニーズ・ロールプレイング)という言葉が広まり、高性能化するゲーム機器を使いこなせていない、古典的なゲームデザインに対する失笑的なニュアンスで扱われたりもする。

JRPGの語源は、調べたところ海外から来ているようだ(近年では日本でも使われている)。向こうでは、FPS(ファースト・パーソン・シューティング)スタイルの受けが良く、また、高性能マシンとの相性も良いこともあり、JRPGはゲーム性が低い(プレイヤーの介入の余地が少ない)とされ、引き合いに出されることが目立つ。この傾向は日本国内でも目立つようになってきた。
元をたどれば、RPGも、悪いところ(冗長なムービーシーン、自由度の低さ、演出過多によるテンポの悪化)を長年直さずにやってきたことも大きいのだが、最近はRPGに対する風当たりが悪くなってきた気がする。
据え置き機では結構な割合を占めており、国内でも持ち上げられているFPS・TPSも、飽和状態で、緻密さやリアリティ(残虐演出)にこだわりすぎていて、RPGよりも無個性化が進んでいると思う。
個人的には、N64の頃の「ゴールデンアイ」や「パーフェクトダーク」など、やっとまともなFPSが作れるようになってきたぐらいの時代のFPSの方がゲームっぽさとリアリズムがバランス良くとれていて好きである。今よりもチャレンジ精神に満ちた作品が多かったと思う。

話がかなり逸れてしまった。このゲームは、原点に立ち返り、RPGとはなんぞや?という根源から企画、コンセプトを練っていったようである。

タイトルに、ファイナルファンタジーのブランドを使っている。スクウェアエニックスのRPGということで、どこかしらからファイナルファンタジーシリーズ独特のシステムくささがあったりするものだが、ゲームを売るための当てつけっぽい感じもする。
というか、FFの名前を付けないと開発予算が降りないのだろう。ゲーム自体は、昔のファイナルファンタジーの内容を持ってきたり、プレイ感覚は確かにFFではある。が、開発理念にそこまで強い信念があるのなら、完全新規のタイトルでやって欲しかったとも思う。

グラフィックは、全てポリゴンだが、テクスチャはトゥーンレンダリングのようなのっぺりとした色合いである。音楽も電子音のような音色で構成されている。
これらは、演出力が弱かったファミコン時代を意識して作っているのだろう。
「ロックマン9」のレビューでは、今やファミコン時代のビジュアル、サウンドは一周回って一つの芸術であると述べた。このゲームは、その辺のことを良くわかっていると思う。この素朴さが一つのアートたり得るのだ。

4人パーティ制で、ファイナルファンタジーおなじみの「ジョブチェンジシステム」に相当する「クラウンシステム」を搭載。深い戦略性を味わえる。
ただ、数の割にクセのあるクラウン(職業)が多い気が?結局扱いやすいクラウンを選び、それだけでクリアーしてしまった。

アイテム周りは、ドラクエ方式で、一人一人持てる数が決まっている。ドラゴンクエストとは異なり、職業を変えたり、敵キャラクタの属性攻撃によって、装備品を頻繁に変更する必要のあるゲームとは、相性が悪い。
装備品をカスタマイズするのが楽しいのに、それを不便にしてしまっては意味がない。ここら辺もファイナルファンタジーを継承してアイテムメニューで統一すべきだったろう。

敵を倒してもお金は落とさず、代わりに宝石を落とす。これは売ればお金になるが、クラウンや装備品の強化にも使える。
宝石にはいくつか種類があり、価値のある物は中々手に入りにくいものとなっているが、宝石そのものを使うことで出来ることが多すぎて、価値を高くしすぎていると思う。
「モンスター図鑑」といった便利なメニューもないので、どの敵がどの宝石を落とすかも、良くわからない。そこはわかっているのか、全滅すれば、お金ではなく宝石(どれか一種類)が半分になってしまう。

クラウンを宝石を使ってまで強化するメリットが薄い。ファイナルファンタジーシリーズのように、使い込むことでレベルアップするぐらいが丁度良いだろう。少なくとも自分はクラウンのレベルを上げることなくゲームを終わらせてしまった。

昔のRPGのように、ストーリーによる強制力は付けず、あくまでプレイヤー本意の構成にするという意図があったとのことだが、その割には強制的なイベント展開が多い。
ゲーム中盤までは、中々パーティメンバーがそろわず、1人ないし2〜3人のパーティ(うち一人はお助け型のNPC)でゲームプレイを強要される。おいおいそれは無いだろ…という感じだ。
「ジョブチェンジシステム」の醍醐味はパーティプレイにあるのに、頭数を減らされたら、タフな職業を選ばざるを得ず、かなりつまらない戦闘になってしまう。
主人公は特定の1人と定めているわけではないらしく、メンバーが集結するまでは、「ファイナルファンタジー6」のように、操作キャラクタと場面転換が頻繁におこなわれる。
プロットの意図としては、おそらく、対立と喧嘩から、幾多の困難を乗り越えて、“仲間と協力する”大事さを描きたかったのだと思うが、かなり押しつけがましい。遊び手としては、さっさとフルパーティで強敵と戦いたいのだ。

シナリオは、昔のRPGのように“巻き込まれ型”で、不必要に主張しないのではなかったのか。
確かにシナリオに関しては、無味乾燥で、かなりシンプルなできあがりだが、次どうしたらいいかが良くわからなくなる。
多分、わざと投げっぱなしにしていると思うが、良くできたRPGというのは、このような状況に陥れても、感覚的にどうすべきか判断出来たりするものだ(地形やイベント構成でうまく誘導していく)。
このゲームは、ただ放っているだけである。クラシックRPGの解釈を間違えている。

派手な演出も無く、地味なストーリー展開は、狙ったものとはいえ、これではただの手抜きと言われても仕方がない。
昔のRPGは、ド派手な演出はやらなかったのではない。出来なかったのである。だからどうしても、テキスト主体になってしまう。
そんな制約の中でも、プレイヤーの心を動かすイベントは沢山あった。本作は、王道的、シンプルさを追求しすぎて、逆につまらないものになってしまっている。

世界観、キャラクタや地名の名称などもセンスが無く、覚えづらい。
特にメインパーティの4人は、それぞれに性格付けがなされているが、見た目も中身も没個性的で、とにかく魅力に乏しい。
クラウンシステムのせいもあり、モデリングでの違いもわかりにくい。その上で、パーティメンバーが分断され、あっちこっちと訳がわからないうちに場面転換で連れ回される。操作するパーティメンバーが終盤まで馴染まない。致命的である。
ちなみに、クラウン(冠)なので、キャラクタは職業によって、シンボル的なクラウンを頭にかぶるのだが、これが中々にダサイ。良いか悪いかは別だが。

ゲームバランスは悪い。前述したメンバーが別れて、飛び飛びの地域を冒険させられる。
序盤はザコ敵の経験値が少なく、パーティの人数も少ないため、苦労させられる。
逆に、ゲーム後半になっていくと、非常に強力なアイテムが手に入るうえに、ザコモンスターの経験値もかなり高くなり、メンバーがそろっていることもあり、非常に簡単である。
特に経験値の調整は、明らかにおかしいんじゃないかと思う。

ただ、ゲーム全体を考慮すればそれなりの歯ごたえはある。
前半に敢えてパーティを分けているのは、戦闘バランスのマンネリを防ぐためとも思えるのだが、そこはやはりやり方が違うだろう。

使い回しが非常に多い。ほとんどのダンジョンを2回巡らされる。町、洞窟、モンスターの数も全然少ない。
ダンジョンがバリエーションに乏しく、一本道の迷路(地形が一本道なだけで別れ道はある)なのは、ニンテンドーDSというハード(画面サイズ)を考えた結果だろう。携帯機で真剣にダンジョン作るとしたら、これぐらいで丁度良い。
逆に、利便性を全く考えていない、町のごちゃついた地形は最後までなじめなかった。昔からこの会社は見た目優先でゲームを作る。未だに変わっていないようだ(ジャケットを見ると絵本のようなマップにしたかったらしい)。

必然的にゲーム・ボリュームも物足りない物となる。これで5980円は高い気がする。最近はDSのゲームソフトも値段が高くなってきている。

戦闘システムは、独自の物となっている。
コマンドのターゲット先(攻撃先や回復相手)を選べない。
一応、ターゲット選択の法則はあり、回復についてはHPの低い相手に、魔法は後ろの敵から、剣のような武器攻撃は前の敵から、というように予測出来るものとなっている。
MPは無く、アクションポイント(AP)を消費して行動する。1ターンごとに1ポイント蓄積されていき、「ためる」コマンドで溜めることも出来る(防御と同等のコマンドになっている)。
最大5ポイントまで溜めることが出来る。効果の大きいコマンド(アビリティ)ほど、APの消費が多くなっている。仲間が攻撃を受けるなど、条件によってターン終わりにAPが増えることもある。

この戦闘システムは、バランスの付け方も含めて、前衛的な作りである。
なんというか、アトラス製のRPGに近い感じがする。限りなくシンプルではあるが、シンプルさのなかにもストイックさがあるという点で。
個人的にはやはり、ターゲットを選んで戦いたかったし、MPを気にしながらダンジョンを進める緊張感を味わいたかった。

タッチパネルにも対応しているインターフェイスは、独特の操作性で、レスポンス含めあまり良く無い。
特に、メニュー画面の操作が、操作していて気持ちの良い物ではないのである。
アイコンをベースにしたメニューインターフェイスは、タッチパネル操作はやりやすいかもしれないが、キー入力では利便性が損なわれている。
考えなしに両対応にせず、どちらかに特化した操作性を追求して欲しい。DSにこういうゲームは、本当に多い。

戦闘シーンは、上画面に戦闘画面、下画面にコマンド入力やステータス、戦闘状況を文章で表示している。
戦闘のテンポは非常に軽快なのだが、ダメージの表示が消えるのが早いし、ステータス異常にかかったときなどの表示がほとんどない。
しょうがないので、下画面のログを当てにすることになる。
なんか、情報の与え方が下手くそだ。上と下の画面をキョロキョロ見るハメになるのは、インターフェイスが良くない証拠である。

ワイヤレス通信に対応しており、協力プレイが出来る。但し、Wi-Fi通信には対応していない。
この関係なのか、セーブが一箇所にしか出来ない。特別な処理をしてそうなゲームでもないのに、これは不便だ。普通のRPGなら3つは欲しい。
一説には、販売本数を伸ばすためにわざとこういう作りにしている一人一本説もある(さすがにこの説はうがった見方だが)。

シュールなデザインや、節々に感じさせる古くささや不便さなど、クラシックRPGを歌うだけのことはある。
しかし、プレイ感覚まで全て昔に戻る必要は無かったんじゃないだろうか。単調になりがちなザコ戦闘や、見所の無いゲーム展開。
この辺の作り方が未だにうまいのは「ドラゴンクエスト」シリーズだと思う。プレイヤーにやらせるべきこと、利便性と不便さのバランスが良くとれている。
このゲームに関しては、ファミコン時代のゲームをあまりに意識しすぎて、ただ不条理になっているだけの所や、独特の荒っぽさがかなり目立っている。
どこまでを狙ってやっているのか、単なる手抜きなのか判断が付かないのもまた嫌らしい。

とにかく新作ゲームとして売り出すには、魅力に乏しいゲームに感じた。
というより、パッケージもタイトルロゴも地味だし、売れなさそうだなーっと思っていたら、そこそこのセールスのようだ。ファイナルファンタジーブランド恐るべし。そこで結論。

勘違いした古き良きRPG。





[2009/11/04]
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