安藤ケンサク


対応機種Wii
発売日2010/04/29
価格4800円
発売元任天堂

(c)2010 Nintendo / Shift
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Amazonリンク:安藤ケンサク

Googleの検索ヒット数で遊ぶバラエティーゲーム。

任天堂ホームページの「社長が訊く」で取り上げられているのだが、見た目とは裏腹にかなり難産な大作ゲームになってしまったそうだ。
見た感じ、一昔前のプレイステーション時代に良くあったような、ゲームとしての作り込みよりも企画で勝負している作品に見えるが、ゲームとして成立させるのに相当苦労した話が載っている。
やはりというか、開発初期の目論見としては短期間で完成させるつもりだったそうだが、任天堂チェックに引っかかり、何度も練り直し作業を繰り返すことになって、開発が長期化したとのこと。

この辺の開発経緯は任天堂ならではというか、発売が任天堂だからこそ出来た芸当と言える。
いくら発想や企画が良くても、それを実際に面白く出来なければ意味が無い。それが分かっていても、なかなか実践出来ないのがゲーム開発の難しいところだ。

1人で遊べるものから最大4人で遊ぶパーティゲームまで、Google検索をテーマにした様々なゲームが全14種類も収録されている。
普通、この手のゲームは、3つか4つ程度しか遊べるモードは入ってないが、そんな中で14種類とは太っ腹と言える(没になったゲームも考慮すると相当な数考えたはずである)。
ルールをちょっと変えただけで重複(流用)しているものもあるから、実際の実数はさすがにもっと少ないが、それでもボリューム満点だ。

1つ1つのゲームまで触れていくとキリがないので、大まかな概要だけを書く。

音楽や演出が凝っていて非常にいい。言葉遊びという共通点からかナムコ「ことばのパズル もじぴったん」の影響を受けている印象はあるが(特に音楽)、操作性やインターフェイスもしっかりしていて完成度は高い。
ただ、それが裏目に出ているのが、テンポの悪さだ。どのモードも演出過多で冗長である。ほとんどはAボタンで飛ばせるが、それでも何回も押さないとスキップできないほどで、ちとうざったい。
対戦モードなんかでそれが顕著に表れていて、1ゲームが結構長い。勿論開発者はわかっているのかCPUと対戦している場合、CPUのターンのみAボタン押しっぱなしで早送りできる。

読み上げソフトを導入しており、プレイ中に突っ込みや意見をフルボイスで喋ってくれるのは賑やかで楽しい。リアクションがかなり豊富で、問題だけでなく、解答表示時の台詞まできちんと用意されている(例えばお年玉に関連する問題が出たとき「お年玉ください」とか会話したりする)。
また、Wiiリモコンを電話に見立てて使っている点も上手い。手詰まりになったときに電話をかけたり、逆にスピーカーから音がなって電話がかかってきて、ヒントを教えてくれる。
このボイスも読み上げソフトを使っているので、聞き取りづらい弱点はあるものの、アイディアは素晴らしいと言える。

質より量をとったせいなのか、どのモードも面白いんだけど作り込みが甘いところが目に付く。とてもじゃないが全部のゲームの細部まで見ていられなかったんだろう。
それでも、前述のとおり、早送り機能を付けるなど、最低限の配慮はしっかり行われているので、決して出来が悪いというわけではない。1つのゲームにこれだけミニゲームを入れれば散漫になるのはしょうがない。

個人的に気になったのは、「ならべて!ケンサク番付」(検索数の多い順に単語を並べる)をメモ取らずに完全クリア出来た人がいるのかと言うほど難しかったので他のモードのように救済アイテムをつけるべきだと感じたことと、
「ケンサク!パネル9」と「アンドケンサク!パネル9」の違いがわかりづらいこと、「連想!検索クロスワード」をはじめとする1人用モードで面クリア時にS評価を取る条件が厳しすぎるのが気になった(実質1回目では無理と言えるほどキツイ)。
全モードに渡ってこのような気になる点はあるのだが、すべてを挙げていくと膨大になるので特に気になった点を書くだけに留めることにする。

パーティゲームの印象を持たれるかもしれないが、1人で遊べるモードも充実しており、クロスワードだけで100問。他にも提示された単語を並べていき高い検索数の獲得を目指す検索パズルが2種類あってそれぞれ100問で、計300問も入っている。
これを全部攻略するだけでも、かなりの時間遊べるゲームになっている。
ボリュームは凄いのだが、ちょっと問題数が多すぎると思う。プレイステーション2で出た「ことばのパズル もじぴったん」でも思ったのだが、あまりに沢山ステージを用意されても遊びきれないのだ。しまいには全面クリアする前にこっちが飽きてしまう。
嬉しい悲鳴とはこのことだが、途中で飽きられてしまってはせっかくの作り込みも意味を成さない。退屈させないような工夫や問題数を厳選することも必要だったように思う。

他の対戦用のゲームでも、5段階のノルマが設定されていて、それを全てクリアするとオールクリアの印がつく。だが、これはいらないと思った。物によっては同じことを5回繰り返すだけだったり(CPUを強くしたりはしてるのだろうが)、気軽に遊ぶのが楽しいのに勝つことを目標にされると一気につまらなくなってしまう。
やり込み要素が全く何も無いってのも寂しいだろうが、いくらなんでもLV5まであるのは多すぎだと思った。せいぜいLV3ぐらいまでが丁度良かったろう。ゲーム数も多いのだし。
一応、全てのモードをオールクリアしてエンディングクレジットを見るまでプレイしたが、大半の人はここに行き着く前に飽きてやめてしまっているだろう。プレイ回数を重ねることでもらえる検索経験値で称号がレベルアップするなどの要素を付けているが、称号が上がっても実のところたいして嬉しくないので、モチベーションアップに繋がらない。

このようにかなり気合いの入ったゲームなのだが、タイトルやパッケージ絵でだいぶ失敗している。端的に言うと、面白そうなゲームに見えない。
まず、題名がまずい。「安藤ケンサク」は、Google検索の「and 検索」をもじったものなのだが、ゲームのコンセプトがまったく伝わってこない。タイトルを決める段でもかなりもめたそうなのだが、なぜ数あるタイトル候補からこれを選んだのかちょっと理解出来ない。
このタイトルとパッケージで8割は失敗していると思う。これは、言い過ぎだと思わない。「任天堂なにをとち狂ったんだ!?」とさえ思う。

少し前に流行ったTVのクイズ番組ブームも下火になった中、検索エンジンでより多くヒットする言葉を探り当てるという企画は非常に面白い。
これは、ゲームだけにとどめておくにはもったいないほどのものとさえ思う。
知識を問うものではなく、検索のヒット数が全てなので、意外な組み合わせが正解だったりするところが面白いのだ。
全体的にテレビ番組のようなノリで、個人的には当時はまだ珍しいCGを駆使していた初期の「マジカル頭脳パワー」に近いものを感じた。

これほど誰かと一緒に遊びたいと思わせるゲームも珍しい。1人用ゲームとしてはやはりイマイチなところは否めないが、これは意外と盛り上がるパーティゲームの一つだろう。

ちなみに、Wi-Fiコネクションに対応しているが、問題が追加されるだけで、Google検索数が更新されたりはない。それをすると、想定していたバランスが崩れてしまうためだ。
ネットワーク対戦にも対応していない。これも勿体無い。今や、オンライン対戦があるかないかがステータスになってきている時代で、主に洋ゲーで無理矢理対戦モードを入れているゲームも多いなか、これはいけない。
ローカルで遊ぶ楽しさが重要なのはわかるのだが、かといって非対応なのは時代遅れに感じる。そこで結論。

一人ではそこそこ楽しい。みんなで遊ぶと凄く楽しい。





[2011/05/25]
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