対応機種 | スーパーファミコン |
発売日 | 1995/12/22 |
価格 | 11800円 |
発売元 | イマジニア |
「夜光虫」、「魔女たちの眠り」同様に、チュンソフト「かまいたちの夜」人気にあやかって開発されたサウンドノベルの一つ。
イマジニアは同日「ざくろの味」というサウンドノベルも発売しており、ゲーム中に「ざくろの味」という単語が登場してくる。
本作は「かまいたちの夜」の影響を受けているのか、ゲーム制作手法が似通っており、演出も類似している点が見受けられる。
専門のシナリオライターを雇っているわけではないので、脚本、文章力ともに低い水準である。
やはりこの部分は、ゲームの中核をなすものであるから、がっしり地盤を固めるべきであった。
それを補うであろう、画像や音声を駆使したコンピュータゲームならではの巧妙な演出にも工夫が見られず、今ひとつ描写不足で非常に残念な完成度である。
グラフィックは、写真の取り込みではなくドットで起こしたもので、雰囲気はかなり出ているが、物語のボリュームの割にカットが少なく、使い回しが多い。
音声はサンプリングを使ったりして頑張っているが、バックに流れるBGMとともに、バリエーションに乏しく、演出力が弱い。
選択肢が多い割に、シナリオ分岐がなく一本道なのもつまらない。
ここで言うシナリオ分岐というのは、シナリオの本数のことではなく、選択肢によってシナリオ展開に変化を与えるかどうかの分岐である。
たとえば、早い段階で正しい選択肢を選んだことで生存者が増えたにもかかわらず、その後死んでしまった分岐との整合性を合わせるために、後半のシナリオで生存しているにもかかわらず該当キャラクターが一切登場しないなど、サウンドノベルの媒体を生かし切れてない面が目立つ。
また、フラグ管理もしっかり出来ておらず、犠牲になったものに対して犠牲になってないような表記をしてみたり、知らないはずのことをゲーム中の主人公が知っているように話が進むなど、説明の付かないシーンが多い。
文章の説明が下手くそなので、言いたいことが伝わりにくかったり、誤字脱字も多い。
どうやら、性格システムというものを搭載しているらしく、ゲーム序盤の選択肢によって主人公の性格が変化し、その後の選択肢に変化がもたらされるようなのだが、
どれを選べば、どういう性格になるのかわかりづらいし、下手にゲームシステムを複雑にされても混乱する要因になりかねないので辞めてほしかった。
さいわい、ゲーム後半にかかる重要な分岐までは作りきれなかったらしく、結果的にこのゲームシステムがあまり生きていない点がゲームを進めやすくさせているのだが。
シナリオの本数は結構あり、ボリュームはなかなかある方なのだが、質的には決して良いものとは言えず、
全部の結末を見たり、選択肢を全て選んでも、セーブデータに印が付いたり、シナリオが追加されたりということがないし、繰り返しプレイに耐えられるギミックが無いので、適当に遊んだところで飽きてしまう。
やはり、この辺りを見るに、チュンソフト製のゲームがいかに優れているかが良くわかる。そこで結論。
優秀なサウンドノベルを作るのは難しい。駄作。