爆ボンバーマン


対応機種ニンテンドウ64
発売日1997/09/26
価格6980円
発売元ハドソン

(c)1997 HUDSON SOFT
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様々なハードで展開しているハドソンの人気シリーズ「ボンバーマン」。
ニンテンドウ64向けの作品が、この「爆ボンバーマン」だ!
これまでとは異なり、3D空間のフィールドを探索し、お馴染みの武器の爆弾は球状に爆発する。3次元空間を活かした新たなゲーム内容に期待が高まる!!

ゲームシステムが大きくリニューアルされ、共通しているのはもはや「アクションパズル」という部分のみで、それ以外は別のゲームと言っても過言ではないほど変わっている。
「ボンバーマン」と言えば、碁盤の目のフィールドで、十字型に爆発する爆弾を使って敵を倒していくゲームだった。
今回はそこが大きく変わった。

ステージは、探索ステージとボスステージの2種類。
探索ステージでは、エリア内を探索し、ステージクリアに必要なステップを踏むことでゲームが進む。
いっぽう、ボスステージでは文字通りボス戦が待っている。

「スーパーマリオ64」と同様に、ROMカセット媒体であるため、容量的に多くのステージを用意できない。
なので、同じ面を繰り返し遊ばせる仕組みが取り入れられている。

各ステージには、5枚のゴールドカードがあり、条件をみたすことでカードが手に入る。
探索ステージでは、ステージ内に隠されたものを探し出す、敵を30匹倒す、決められた時間内にクリアするといった入手条件が設定されている。
ボス戦でも、クリア時間に加え、大型ボスであれば部位破壊する、人型のボスであれば、特定の攻撃を行うことで手に入るなどだ。
つまり、ただクリアするだけではなく、ゴールドカードの入手を意識すると難易度が跳ね上がるようになっている。

ゴールドカードをすべて集めることで、真のラストステージが出現し、それをクリアすると真のエンディングが見られるという作りだ。

ただクリアするだけなら、ステージの数も少なく、探索ステージが10面、ボスステージが10面の計20面しかない。
そのため、通常のエンディングに到達するだけであれば、かなりあっさりと見れてしまう。
(それでも全20面もあると思われがちだが、ボス面はボス戦だけ、探索ステージもそれほど広くない)

だが、ゴールドカードを集めて真のエンディングまで目指すとなると、かなり骨太なアクションゲームに変貌する。

ゴールドカードを手に入れるためには、ただクリアするだけとは違い、様々なテクニックが要求される。
ただクリアするだけであれば、ちょっと操作性がイマイチな3Dアクションゲームといった印象止まりとなる。

しかし、カードを集める場合は、ゲームのルールをしっかり把握し、ボムジャンプなど独特なテクニックが必要となり、一気に「アクションパズル」化する。

このゲームは、フィールドが3Dで高低差がありながら、操作キャラにジャンプのアクションがない。
そのため、段差を飛び越えて進めるためには、ボムを踏み台にして上から飛び降りて踏みつけた時の反動で起こるジャンプを使って、障害物を乗り越えるテクニックを使うことが半ば必須になる。
(ただ、最後のステージ以外はそこまで高度な操作は必要ない)

この、ボムジャンプをうまく行う際の、ボムの配置がとにかくパズル的で、頭を悩まされるように作られている。
配置する場合においても、ただ爆弾を置くのではなく、持ち上げた爆弾を投げるといった動作を要求されるため、狙い通りに配置するのが非常に大変である。
また、爆弾の上を跳びはねる距離も計算しづらく(多少は3Dスティックで微調整できる)、配置するときも持っている爆弾を投げることがほとんど。そのため、コツを掴むまでには相当な修練を要する。

ゴールドカードの他にも、カスタムボンバーの衣装が隠しアイテムとして用意されており、こちらはクリアに必要ないものなためか、入手するために要求されるテクニックが異常すぎるほど難解である(もちろん楽に手に入る物もある)。

プレイヤーのアクションは、爆弾を置く、爆弾(物)を持つ、持っているものを投げる、持っている爆弾を巨大化させる(溜めボム)、置いてある爆弾を蹴る(ボムキック)。
たったのこれだけで、基本的にA,Bボタンだけで行うのだが、シンプルでありながらも、慣れを必要とする作りとなっており、かなり癖が強い。

持っているものを投げるアクションは、スティックとボタンの組み合わせで、かなり飛距離を調整できる自由度を持っている。
反面、プレイヤーは8方向にしか動けないため、微細な操作が出来ない。
例えば、ボムキックや投げる操作でうまく思った方向に蹴ったり投げたり出来ず、融通が利かない。向ける方向が8方向に限られているためだ。
ボス戦などで、敵にボムキックしたり爆弾を投げたいのに、この制約のせいで、難易度がかなり引き上げられている。
このせいで、「アクションゲーム」として考えると、操作感がイマイチになってしまっている。逆に「パズルゲーム」のルールの一つとして考えれば納得できる。
パズルゲームとしてはバッサリと操作性を削ぎ落としてくれたほうがシンプルで良い(だがこのゲームは飽くまでアクションパズルだからこの作りが妥当かというと疑問が残る)。
ゲームとしてどっちを重視したかったのかが気になる。

全体的にゲームを楽しむために必要な知識の説明が少ないのも厳しい。

ゲームの基本操作や、ボムジャンプなどのテクニックは、序盤のステージで教えてもらえる(ちょっと最初のステージに詰め込み過ぎじゃないかと思うが)
だが、ゴールドカードの入手条件ぐらいは、ゲーム上で提示してくれても良いだろう。
特にボス戦では、一体何をすれば手に入るのかということが、全くわからず、その仕組みを理解するまでが本当に辛かった。

ヒントがあまりに少なすぎる上に、やり込もうとすると途端に牙をむく難しさになるので、多くの人は一度エンディングを見て終わってしまっているのではないだろうか。
(さすがの自分も、真のラストステージのゴールドカード集めはあまりに難しすぎて諦めた)

このゲームを難しくしている最大の要因としては、基本的にプレイヤーは一発アウトな点だ。
一応アイテムに一発食らっても大丈夫な効果を持つハートがあるものの、入手機会が少ない。
「スーパーマリオ64」も、3Dアクションになり、ライフ制を導入していた。このゲームも、3ライフ制ぐらいにしておけば、かなり難易度が下がり遊びやすくなったんじゃないかと思われる。
基本的に一発アウトなせいで、完璧なプレイを求められることが、難しくしているのだ。

また、探索ステージがサイズの割に、色んな物を詰め込みすぎて、いたずらに難しくしている。
例えば、ボムジャンプを駆使して欲しい場面でも、敵やトラップが平然と配置されている。じっくりパズルを攻略したいのに、邪魔が入るのだ。
もう少し「アクション」と「パズル」を切り分けて欲しかったように思う。
本作はそれも含めた難しさなのだろう。だが、それはいくらなんでも厳しすぎるように思う。

一体全体、どうしてハドソンの看板シリーズで子供向け、万人向けのイメージのはずだった「ボンバーマン」が、ここまでひたすらにストイックでマゾなゲームになってしまったのか、本当に理解に苦しむ。

難しいからダメだという意味ではない。この敷居の高いゲームを、楽しめる人、楽しめた人が購入者の一体何割になるのだろうと心配になってしまうぐらい、かなり人を選ぶ。
それを果たして「ボンバーマン」でやってしまってよかったのだろうか。

そしておそらくこの「爆ボンバーマン」は、64向けタイトルとしてハドソン渾身の一作のはずだ(発売は「パワーリーグ64」のが早いが)。
しかし、老舗ゲームメーカーのハドソンを持ってしても、今ひとつハードを使いこなせていないクオリティに感じる。ニンテンドウ64がいかに開発の難しいハードであるかを本当に実感してしまう。
結構早い段階からゲーム自体は発表されていたが、発売がここまで遅れてしまったのは、相当悪戦苦闘したからに違いない。

ゲーム内容が、普段の「ボンバーマン」らしからぬマニアックさを放っているのも、64での開発の難しさが起因しているのかもしれない(納期内に完成させるだけで一杯一杯だった可能性もある)。

ちなみに、シリーズ恒例のバトルモードも搭載されているが、アクションとしての操作性がイマイチなこともあって、どうにもいつもの面白さが再現されてないように感じた。
対戦ゲームが得意なハドソンにしては珍しい落ち度だ。そこで結論。

人を選ぶ間口の狭さがあるが、決して悪いゲームではない。





[2016/06/07]
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