ブルードラゴン


対応機種Xbox360
発売日2006/12/07
価格6800円
発売元マイクロソフト

(c)2006 Microsoft / MISTWALKER / ARTOON
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ファイナルファンタジーを生み出した坂口博信が、Xbox360にて新たな挑戦を繰り広げる。
完全新作RPGとして生み落とされたブルードラゴンは、ハードを牽引するキラータイトルの期待をしょって立ったのである。
キャラクターデザインに鳥山明を迎え、音楽は同じくファイナルファンタジーの初期から支え合ってきた植松伸夫の最強布陣で送る超大作。
開発は「ブリンクス」や「ヨッシーの万有引力」を作ってきたアートゥーンが担当。
ファイナルファンタジーというしがらみから抜け出して、どの程度まで力を発揮出来るのか、そこら辺も見所の一つとなっている。

なんだか無理に仰々しくかつがされてるような気がしないでもないが、確かにやってみると金はかけているのはしっかりと感じる。
なんといってもパッケージを開けた瞬間から仰天だ。DVD-ROMがドデーンと3枚。ものすごいデータ量だ。やる前から引け目を感じたのは自分だけか?

“最強のスタッフが、全てのRPGファンに贈る最高の新世代RPG”と言うパッケージ裏のキャッチコピーは危険だ。
今や、多種多様な価値観が混在し、一括りに理想的なRPGを提供することは難しくなっているからだ。

じゃあ、具体的にどのようなRPGなのかというと、オーソドックスな、無難な作品と言える。悪く言えば、無個性。
適当にやっていても、それなりに強くなれるカスタマイズ性の付いた成長システムと、巨大な世界を舞台に壮大なスケールで描かれる冒険活劇的ストーリー。
実に、実に無難な路線といえる。

個人的には、サターン「グランディア」とイメージがかぶってかぶって仕方なかったのだが、このゲームのシナリオは駄目駄目だ。
やはりゲーム畑の人間の描くシナリオは人によって当たりはずれが非常に激しく、なんというか失礼だが、RPG的文法で話を組み立てているので、イベントムービーに起こしたりして映画的手法が入ってくると、ほかの娯楽作品と比べ、大きく見劣りしてしまっている。
冒険活劇という着目点は良かったものの、「グランディア」ほどジブリってない、つまりは、はっちゃけてない。そのため、何が言いたいのか良くわからない、中身のないストーリーをだらだら垂れ流されるという最悪の展開に陥ってしまっている。

主人公がやんちゃで前向きな設定は、「グランディア」に共通するところだが、メインキャラクターの誰もが、控えめな人間ばかりで、素朴な寂しい雰囲気になっている。
これじゃあ駄目だ。世界を股にかけて大冒険を繰り広げて、ついでに世界を救ってしまうというシナリオで、合間のバリエーションが乏しくつまらないのでは、退屈になってしまう。
全体的にテキストのレベルも低いし、親父くさい。シナリオ執筆だけでなく、こういうった細々した部分も坂口博信が直々に手をかけているのだろうか。

あと、主人公は少年の割に声が野太い感じがする。どちらかというと、少年というより青年だ。もっとガキくさくデフォルメをかけてくれた方が違和感なく入り込めた。

キャラクターデザインに関して、「鳥山明にしてはイマイチだ」という声が多く挙がった。手抜きをしているのではないかという気もしないでもないが、
もしかすると、好きにやらせてくれた結果、こういうデザインになったのかもしれない。しかし、外見から感じる魅力の薄さがまずいのは確かである。

イベントムービーは、何でもかんでもムービーに頼ってるというわけではないらしく、多くはリアルタイムで見せているっぽい。断定出来ないのは、ムービーとリアルタイムとの差がはっきりとわからないからである。
ただ、体感的にリアルタイムでのイベントムービーが多く、一番データ量を食うムービーがそれほど多くないのなら、どこにDVD3枚にもなるほどのデータを使っているのかが興味深い。おそらくは、高水準のグラフィックだろう。

グラフィックは、さすが新世代を謳うだけあって、一段階上を行っている。
フルCGのディズニー映画のような、ミニチュア的な映像で、まさにキャラクタは動くフィギュアと言い換えても差し支えないほど素晴らしい。
それこそ一昔前の「トイ・ストーリー」レベルのものを自分で動かせるぐらい高い水準でまとめられている。このグラフィックを実現するのに、相当なデータ量を食っているのだろう。
ちゃんと遠景の方まで、ごまかしなく描かれていて、ため息の出るクオリティ。しかし、影の描画まではやりきれなかったらしく、かなり近づかないと表示されないのは、ちょっと違和感が残る。

ただ綺麗なだけではないのが本作の頑張りどころである。キャラクターは勿論、鳥山テイストを壊さず完全再現することを目指し、それを感じられるのが、戦闘シーンで気合いを入れるカットインである。
スクウェアエニックス「ドラゴンクエスト8」でもトゥーンシェードを駆使して、高い再現度を実現した実績があるが、そういう付き焼き刃ではなく、フィクサー的なレンダリングで見せる力業は一見の価値はある。

登場するキャラクタには声をあてがっているが、喋るのは基本的にイベントムービーだけ。ムービーからはずれたイベントの台詞までテキスト表示なので、喋らない割合の方が多く、これは正直言って寂しい。せめて、戦闘シーンでは、かけ声をいれるなどしてくれても良かったはずだ。

ストーリーを追っていくだけのゲームかと思いきや、意外とゲームゲームした構成で、最近のRPGでは決して珍しくないとってつけたようなやり込みイベントではなく、世界観と自然にとけ込んでいるサブイベントも多く用意されていて、意外と古風な一面も持っている。
ただし、だからといってイベント中に突然ボタン操作を要求したりシューティングステージを挿入するのは行き過ぎだ。特にシューティングモードは、妙に本格派で、その割にカーソル操作をノーマル/リバースと切り替えられなかったのには不満。これで切り替えられていれば、幾分かイライラしないで遊べたのにー。

マップ上のほとんどのオブジェクトには、調べるとアイテムやお金が手にはいるように仕込まれているのは凄い凝りようだ。
これを全部見つけようとマップをぞうきんがけするのもなかなか面白い。しかし、手作業でおこなっているのか、マップによってまちまちで調べて反応が返ってくるものと返ってこないものとの統一が取られていなかったり、面倒くさいのか、手前で透明の壁で遮って調べられないようにするという、手抜きも目立ち、ちょっとストレスを感じるところも多かった。
ただやっぱり、ぶっちゃけ時間がかかりすぎるし、豆粒サイズの石やら何気ないパイプまで調べられるってのは、やりすぎ。敵シンボルとはまとめてバトル出来るシステムを付けたのだから、調べる方もまとめて出来るようにしても良かったんじゃないかと思う。

フィールドマップでの操作は、プレイヤーの背後に回り込むタイプで、右スティックでカメラをぐりぐり動かしながらキャラを動かしていくタイプ。近年のRPGで増えてきたタイプだが、最近のこの手のゲームと比べると、操作感はイマイチ良くない。
カメラの動きなんかは、弱い人なら酔ってしまうのではないだろうか。狭い部屋などだと視点の動きもめまぐるしく、見づらい位置にカメラが動くことも当たり前なので、ここら辺は遅れていると言える。視点リセットが出来ないのもなんだかねぇ。

戦闘システムについて触れる。
エンカウントはシンボル型のタイプで、わりかし避けるのも簡単である。
ほかとは違う要素として、周囲のシンボルとまとめて戦うことが出来るシステムがある。
これにより、エンカウントのたびにローディングでいちいちまたされることなく連戦が出来、テンポを阻害されずに遊ぶことが出来る。
それほどシビアなゲームでもないので、避けまくっていてもなんとかなるバランス調整だ。
逆に好戦的なユーザーにも、負担が少なく楽しめる配慮が施されたシステムになっている。

戦闘は、直接キャラクタが戦うのではなく、それぞれの影の力を用いて戦うという一風変わった手法を使っている。
キャラの背後の影がニューっと伸びて、ドラゴンやフェニックスといった形状になる影が直接攻撃をおこなう。
ハード的に、相当なスペックを要求されるだろうシチュエーションを軽々しくやってのけてしまうのがまた面白い。まー、ジョジョのスタンドまんまやんけーとつっこまれると元も子もないが。

この影には、ジョブを設定することが出来て、早い話がジョブチェンジシステムがあったころのファイナルファンタジーそっくりだ。
戦士に設定すると、戦士系のスキルを覚えて、一度覚えた技は、別のジョブに切り替えても使ってゆける、今となってはオーソドックスなカスタマイズシステムだ。

しかし、あくまでFFとは差別化を図りたいと見え、色々と独自色を生み出しているようだが、かえってわかりづらくなってしまっている。スキルやジョブ名称は問題はないが、状態異常の名称が、たぶん英語圏基準のせいか、日本人にはなじみづらい、わかりづらいものがほとんど。
やたらとうんちを出したがるのもいかがなものか。

ゲームバランスが非常に大雑把で、ごり押しでほとんど最後まで勝ち抜ける。逆に、レベルが足りないとはっきり負けるほどひどく、そこに工夫の余地はなくひたすら経験値を稼ぐしかない。
早い段階でラストダンジョンに入れるようになるので、そのまま突っ切ろうと思ったら、あっけなくやられてしまって、しょうがないので、世界にちりばめられた未踏のダンジョンを攻略することにした。
この終盤に入れるようになるダンジョンは、いくら容量のせいとはいえ、やたら使い回しが多いのもどうよ。ここに出る敵は、極端に経験値が多く設定されていたりするのも納得いかない。

ふいうちや先制攻撃の有利不利さが激しすぎるのもどうか。どーも、肝心の開発先が、まだまだRPGを作り慣れてないっちゅう感じがする。はっきり言うと、戦闘そのものはただただだるい。
様々な戦略を容認するような、懐の広いゲームとも言えるが、しかしあまりにもプレイヤーが強すぎる気もしないでもない。

操作性やメニュー周りのインターフェイスも良くないねぇ。アイテムの項目が真ん中の辺りに置かれているのは良くない。
よく使うコマンドなのに、真ん中。つまりは、一番遠い位置にあるコマンドと言える。
かいふくという回復専門のコマンドよりも、ほとんどのゲームは、アイテムや魔法の項目から回復のコマンドを選び取るわけで、無くしても良かったんじゃないかと思う。

戦闘にしろ、フィールドマップにしろ、ハードの性能を最大限使っているためか、レスポンスがもたついているのも減点対象。常に処理落ちがかったような戦闘シーンなんかは、コマンド入力すらおっくうになってしまうほどである。
ただ、キャラの表情を見せるために、カットインを多用しているのは良い点だ。戦闘では操作キャラのカットインが左上に、フィールドで町の通行人に話しかけた時も、左上にその人間のカットインが表示される。
PC-E「天外魔境2」などでは、顔グラフィックが表示されていたが、あれの3D版と言っていい。

全体的に、ひらがなを多く使っていて、漢字にもふりがなをふっていたり、あまり難しい単語を使わなかったり、どうやら低年齢層にも配慮した作りのようだ。残念ながら、その配慮は無駄に終わりそうなのが悲しいところであるが。
文字の大きさを変更出来るオプションは良いが、それでも表示が小さいままのところも残っており、配慮不足に感じられた。

さすがDVD3枚組というだけあって、プレイ時間も長くかさばるものとなっており、これをボリューム満点、サービス精神旺盛と受け取るか、ただ長いだけのゲームと感じるかは好みによると思う。そこで結論。

古典的な怠いゲーム。





[2007/01/04]
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