ブルードラゴン 異界の巨獣


対応機種ニンテンドーDS
発売日2009/10/08
価格5980円
発売元バンダイナムコゲームス

(c)2009 NBGI / MISTWALKER / TRY-CRESCENDO / BIRD STUDIO / Microsoft
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鳥山明をキャラクターデザインに据え、テレビアニメも放映された「ブルードラゴン」。シリーズ三作目の登場である。
ニンテンドーDSでは2作目。発売元はAQインタラクティブから、バンダイナムコゲームスに移り、テイルズオブシリーズを手がけるプロデューサーの仕切りにより、力を入れて開発された。
ゲーム開発は、「トラスティベル」「フラジール」を代表作に持つトライクレッシェンド。

ジャンルは「アクションバトルRPG」としている。
フィールド画面とバトル画面の切り替わりが無く、シームレス形式で、戦闘はリアルタイムに進行する。
敵の攻撃を防御したり、避けたり、遠くから魔法で援護したりなど、アクション性が強く、有名どころで言えばスクウェア「聖剣伝説」シリーズに近い。

主人公はシュウではなく、プレイヤー自身になっている。ゲーム開始時にキャラメイキングをおこなう。
装備品によって、外観も変わり、ワイヤレス通信やWi-Fiを用いて、最大3人まで協力プレイも出来る(※プレイ内容に制限あり)。
チャット機能が搭載されていたり、とてもネットワークゲームの要素が強く、また、意識して作っているだろう。

ここまで聞いてハッと気が付いた人は鋭い。スクウェアエニックス「ドラゴンクエスト9」の初期構想に近いゲームなのである。
「ドラクエ9」は、あまりの理想の高さに途中で路線変更を余儀なくされたが、本作品は、その高い理想をなるべく実現しようと頑張っており、好感が持てる。

グラフィックはフルポリゴンなのだが、かなり綺麗。テクスチャーは細部まで描き込まれており、DSとしては映像周りはかなり高いクオリティを誇る。
一人でプレイしているときは、仲間を2人まで連れて行くことが出来るが、敵キャラも含め同時にかなりのキャラクタが動きまわったりする。
かなりきつそうな処理だが、高い技術力でカバーしている。敵キャラの移動範囲や出現位置などの調節でごまかすことも出来るが、そういうごまかしをしてない点も評価したい。
ただ敵味方含めAIがアホなのは仕方ない。

ゲームシステム自体は非常に意欲的で、中々面白いのだが、全体的に見て完成されているかどうかという面から見ると話は別で、非常に残念なゲームと言える。
ゲームバランスが悪く、突然敵が強くなったりする。ダメージ調整がパラメータに強く依存していて、適正レベルから少しはずれるだけで、かなりきつくなる(その逆もしかり)。
ボス戦など、数値だけでは解決出来ない手強さをなんとか出そうと、嫌らしい攻撃が主に、状態異常などで理不尽にやられてしまうケースが多く、ストレスの溜まる難しさである。
また、DSでフルポリゴンのゲームはきついのか、戦闘シーンではもっさりとしたぎこちない動きになってしまう。これが、アクション要素の薄いロールプレイングであれば許容出来る範囲なのだが、ハードのキャパシティを少々オーバーしている印象を受ける。

戦闘にはいるとアイテムが使えなかったり、戦闘不能になった時の復活法など、ゲームルールに今ひとつクセがあり、万人受けしなさそうな感じだ。
このゲームを見ると「ドラゴンクエスト9」が、同じ路線をたどらなくて正解と思う人も出るかもしれないが、それは、今作の作り方がイマイチちぐはぐだっただけであり、やり方次第でこの手のゲームを作ることは十分可能だろう。

装備品の合成システムがあり、装備品を強化したり、新しいアイテムを作ったり出来るが、これが非常に面倒くさい。
基本的に装備品は強化することが前提なのだが、持てるアイテムの数が少ないので、溜まったアイテムを片づけるために仕方なく合成する。なんとも作業感の強い作りである。
また、武器と武器を合成する時に、特殊効果を引き継いだり出来たら面白かったと思うが、ただ攻撃力が上がるだけである。しかもちょっと強化するとすぐ限界値に達してしまう。

とてもじゃないが、奥深い合成システムとは言えない。素材は随分と種類があるが、装備品の種類はあまり多くなく、装備品のカスタマイズ性は薄い。
「ドラゴンクエスト9」では、装備出来る箇所が沢山用意されていたが、本作では、頭、身体、武器の3つだけで、着せ替え(アバター)の自由度は低く、面白さが無い。

インターフェイスも、特に2画面の使い方が下手くそである。
下画面にフィールドをうつしているが、HPやMPといった重要な情報を上画面に表示している。
画面が狭くなるという配慮からだろうが、このレイアウトでは、頻繁に上と下をキョロキョロ見るハメになる。もっと工夫すべきだった。

タッチパネルとボタン操作の両方に対応させたためか、独特の操作性が気になる。
いわゆるDSのゲームでよく見られる、ボタン操作でもタッチパネルと同等の操作をしている、あの回りくどい感じである。
メニュー画面のコマンドを、アイコン表示にして、タッチ操作でも遊べるように作ったと思うのだが、インターフェイスとしては最悪の選択をしたと言える。
アイテムリストに表示されるアイコンが、即座に何を表しているかがわからない。そして、そのアイテムの説明の表示もごちゃごちゃした画面のせいで見づらい。

こういったせわしないゲームを、タッチパネル操作で遊ぼうという人はあまりいないだろう。ゲームプレイをする上でデメリットになるからである。
3Dフィールドを激しく動き回る従来型のゲームなのだから、ボタン操作に特化した作りにして、もっと遊びやすさを追求した方が良い。
未だにこういう頭の悪いゲームが存在することに驚いた。タッチペンでも遊べるように考えた労力は認められるのだが...。

「ブルードラゴン」は、Xbox360向けに大作RPGとして発売され、話題になった。
続編を出るたびに、ストーリーや世界観を引き継いでいるので、それらをプレイしていないと、ついて行けなくなる。
前作「ブルードラゴンプラス」では、キャラクター紹介などでフォローが見られたが、今作ではそういった配慮は全く見られない。
(一応予約特典のファンブックの方では、あらすじを入れたりはしているが)

Xbox360版で後半に出てくるキャラクタが突然出てきて仲間になったり、はたまた「ブルードラゴンプラス」のシナリオやキャラクタが絡んでくるなど、新規のプレーヤーには完全に辛い状況である。

一人用モードの本編(メインシナリオ)では、ガンガンイベントシーン、ムービーシーンが流れ、見せ場では台詞を喋ったり(ごく一部)と、中々に頑張っているのだが、全体的に非常に作業的なゲームの感触は払拭出来ていない。
坂口博信氏は、DSだろうが構わずムービーをやたらと使いたがるが、ハードウェア性能をもう少し考えた方がいい。
ムービーに容量を割いて、ゲームボリュームを犠牲にすると言うのは、ゲーム作品として本末転倒だ。クリアまでのプレイ時間もゆっくりやっても20時間超えるか超えないか程度で、RPGとしてはどうも物足りない。
ゲームバランスを急勾配にして足止めさせて、いくらか露骨なプレイ時間引き延ばし工作をしてもなお、この程度のプレイ時間である。

また、主人公=プレイヤーなら、ゲーム上で喋って欲しくなかった。
雄弁に台詞が用意されているので、なんだか冷めてしまい、ゲームと距離を取ってしまう。
主人公=自分自身という考えでゲームを作っていたのなら、この本筋のシナリオは滑っていると言える。

売りになっている、クエストの数も全然少ないし、内容も脱力してしまう物ばかり。
市場で一度受け入れられなかった「ブルードラゴン」というブランドを引きずるメリットがあったのか、果たして疑問である。
ユーザーから失った信頼を取り戻すのは容易なことではない。

マルチプレイモードについて少し触れると、特定の部屋からシミュレーターを使って、本筋で出てきたボスを協力して倒したり、マルチ向けに作られた異界の扉を開けた先にいるボスを倒すと言った物である(一人用でも可能)。
他にも、アイテム交換などが出来る。
主に、巨大なボスを協力して撃退していく「モンスターハンター」系の物だが、このゲームはレベル制なので、結局レベルアップをして強力なキャラクターで力押しが出来てしまう問題点が残っている。

バトルシステムは、コンセプトは面白いので、もっと練り込んでいけば、化ける可能性は秘めている。
こういった挑戦的な作品に、新規のタイトルは辛いだろうということで、一応はハード牽引した実績のある「ブルードラゴン」を当てはめて売ってみたのだろうが、実態は逆効果だったというオチではないだろうか。
坂口博信氏も、変に「ブルードラゴン」を引きずらず、はっきり言って完全新規のタイトルで勝負した方がいい。

確かに「かげ」を使った育成システムやスキルカスタマイズは良くできているが、それ以外は完全に足を引っ張っている。そこで結論。

壮大なファン向け(いるのか?)ゲーム。もっと魅力的な世界観を用意出来ていれば…。





[2009/10/12]
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