ブレイブリーデフォルト


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2012/10/11
価格5800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2012 SQUARE ENIX / Silicon Studio
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「ファイナルファンタジー3(DS版)」「光の4戦士 ファイナルファンタジー外伝」を代表作に持つ浅野智也プロデュースによる完全新作RPGだ。
「3Dゲームドットヒーローズ(PS3)」のシリコンスタジオが実制作を請け負っている。

ジョブチェンジシステムを採用していること、一部スタッフなど内容に重複しているところがあるために、光の4戦士の続編のような印象を持たれるかもしれないが、全く別物である。
この辺の、古き良き時代の伝統を重んじる傾向の強い点は、ファミコン世代のプロデューサーの趣味が強く表れているだけと言える。

通常攻撃のダメージ計算に初期のFFの攻撃回数制が使われていたり、FF5のジョブチェンジ&アビリティシステムをほぼそのまま採用しているなど、この会社のお家芸とも言える要素がてんこ盛りだ。

結論から言えば、過去作品の劣化コピーでしかない。
インターフェイスやゲームバランス、構成など全てにおいて、到底オリジナルには及ばないできだが、一時代を築いたゲームシステムのエッセンスを忠実に抽出して再現しようという試みは評価できる所だ。
この辺の思想は、「光の4戦士」で失敗していただけに、期待の持てないところだったが、それなりに形にはなっていて、遊べるレベルまでには出来上がっている。

過去作の焼き直しばかりではなく意欲的なチャレンジも行なっている。戦闘システムにおいて、「ブレイブ」「デフォルト」というコマンドがある。
「ブレイブ」はBPを消費して1ターンの行動回数を増やすコマンドで、「デフォルト」は防御してBPを溜めるコマンドだ(BPは3つまで溜めることが出来る)。
「ブレイブ」は1ターンで最高3回使うことが出来る。
BPがなくても、次ターン以降を犠牲にして、行動回数を増やすことが出来る。そのさい、BPはマイナスになってしまい、1ターンごとに1回復するが、0ポイントまで回復しないと一切の行動ができない。

このシステムはシンプルながらなかなか面白いものなのだが、BPをマイナスにするリスクが軽すぎる感じがする。
長期戦必死のボス戦では、考える余地が出て面白味が出ているが、ザコ戦闘では、手早く終わらせたいために、ついついターンを限界まで前借りして1ターンで片付けようとごり押ししがちになる。
そのきになれば、1ターン最大で4人×4回=16回ものターン入力ができてしまうのだが、この入力が少々面倒くさい。
結果的に、MP消費なし(あるいは消費の少ないもの)で強力な攻撃が出せるアビリティが相対的に使えるものとなってしまっている。
こういうシステムを採用しているためか、雑魚敵のヒットポイントもわりかし高めになっていて、ごり押しを助長しているのもポイントとしてあげられる。
テンポを上げるためのシステムのはずが、逆にゲームのテンポを悪くしているというのが、イマイチに感じた印象だ。

ゲーム上では、BP3つ使って「踏み込む」(防御力を下げて高い威力の攻撃を行う)4回攻撃のごり押し戦術を否定する(リスクがある)メッセージが入っているが、それでもこれらのごり押し系アビリティのほうが強力である。

また、爽快感が出て面白かった通常攻撃の回数ヒット制が本作では完全に裏目に出ていて、
一撃の命中率に信頼性が持てず非常に不安定なため、リスクがあろうが安定的に高いダメージを出せるアビリティ一辺倒の戦いになりがちになっている。

戦闘中のキーレスポンスの悪さやメニュー窓の狭さなどからくる操作性のイマイチさも、不快感に拍車をかけている。

シナリオライターに5pb.の林直孝を起用している。
インタビューで「シュタインズゲートが面白かったのでその脚本家さんを使いたくなって」と触れ回っていたのを読んで、個人的に期待値が大幅に下がったものだった。
なぜなら、ギャルゲーメインのライターにRPGのシナリオを書いてもらうというのは、まるで違う畑で仕事をしてもらうようなものだからだ。
またそれと同時に、ビジュアルノベル風のイベントシーンの画面構成を見て、冗長でダラダラしたイベントが展開するのではないかというのは容易に想像できたものだった。ちなみにイベントシーンはフルボイスである。

だが、このナンセンスな取り合わせは、最後までプレイしてみて、意外と悪くないと感じた。
ただし、面白く感じてくるのがゲーム中盤以降、かつ、RPGにしては饒舌でテンポの悪さが気になるという欠点はあるものの、ゲーム業界で長く仕事をしている人を選んだこともあり、テキストの質はそれなりに高い。
メインシナリオは正直「あのシュタインズゲートの!!」って言われるほど面白さは感じられなかったが(無難に仕上げたという感じ)、サブシナリオが濃く出来ていて面白く感じた。

後、一部声優の声質や演技に違和感を感じるところがあった。基本的に手堅い作りで有名声優を使っている一方で、棒読みのひどい演技の声優を重要キャラに起用していたりする。最初パーティメンバーのイデアに関しても違和感があったが、こちらはやっていくうちに自然と慣れた。

それからオープニングでCGムービーが流れるのだが、最初でしか使わないのなら、違和感バリバリだし、なんとかリアルタイム処理でやって欲しかった。
社内のムービーチーム(ビジュアルワークス?)に仕事与えるために入れたようにしか思えなかった。

クリアまでのプレイ時間が50時間と結構なボリュームなのだが、ゲーム終盤の引き伸ばしと使い回しがひどくて、50時間のうち、最後の方の実質15,6時間は、ほぼ同じことを繰り返しているという感じで苦痛であった。

戦闘では、アビリティを色々覚えるようになって面白くなってくるのが中盤以降で、せっかく序盤のイマイチさが払拭された頃に、今度はゲーム構成の方で、やる気を削がれる作りになっている。実にもったいない。
総合的には悪いゲームじゃないのに、ちょっとした配慮不足によって、どことなく単調さが出てしまっていて、どうにもノれないゲームになってしまっている。中盤以降で何となく退屈になって飽きてやめてしまうプレイヤーも多くでると思われる。

戦闘周りでちょっと書いたが、メニューインターフェイスと操作性が非常に悪い。
メニュー画面の一覧性の悪さに関しては、3DSの解像度の問題もあり、しょうがない部分もあるのだが、全体的にごちゃごちゃとしていて、非常に見づらい。
それに加えて、タッチパネルじゃないと操作できない部分が、それも、頻繁に使う操作でかなり多くて、非常に不便極まりないゲームになっている。
村復興画面なんて、完全にタッチパネルオンリーの操作になってて、別パートで制作していたものを整合性を取らずにそのまま組み込んだのがまるわかりの状態になってしまっている。
操作形態に関しては、こういう統一性がないぎこちなさが、全般的に残っていて、詰めの甘さが目立っている。

音楽は、フルオーケストラの生音をそのまま流していてゲーム音楽としてはどうかと思う向きもあるのだが、非常に豪華だ。強いて言えば、曲数の少なさが気になった。

ここまで、敢えて書かなかったが、本作は3DS初期から開発されていたゲームのためか、3DSの機能がふんだんに取り入れられている。
例えばARムービー。ゲーム開始直後に挿入されるが、それ以降では一切使われていない。面白い演出ではあるのだが、この機能はむしろ販促効果として効果的に作用していたが、ゲーム本編においては良い使われ方が思いつかず持て余していたように思う。

また、すれちがい通信やインターネット通信で、バトル中にフレンドを召喚したり、フレンドの覚えているアビリティを借りて使うことが出来たり(ただし弱体化されている)、という通信システムが盛り込まれているが、実に強引で煩雑で、複雑な割にメリットの少ない要素だと感じた。
明確に作用しているのが、村復興パートで人数が増えて楽になるというだけであって、それ以外の部分では、うまくまとめきれていない感じである。
この辺に関しては、王道型RPGだから通信要素なんていらないと切って捨てているわけではない。
時代に合わせて色々と新しいことをやっていかなければならないので、難しいところだが、どうせならもっと面白くてインパクトのあることをやってもらいたかったというのが正直な感想だ。

音楽はフルオケ、イベントはフルボイスということで、容量的に厳しいらしく、町マップは住人も少なく、ダンジョンの数もそれほど多くない。ゆえに探索する楽しさが薄く、ストーリーを進めていたら自然と全部回っていたという感じで物足りなさがある。
テイルズとか最近のそのへんのキャラ物RPGを参考にしたっぽいところもあって、パーティチャットとかどこかで見たようなものが多く、非常に手堅い作りだ。

全体的に無難な仕上がりで、悪くもなければ良くもないっていう予想通りの位置にあるRPGだった。スクウェアエニックスのRPGという看板を背負ってる割には今一つで、正直な話もっと頑張って欲しかった所だ。そこで結論。

良くも悪くも王道RPG。





[2012/10/21]
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