ブレイブリーセカンド


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2015/04/23
価格5980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2015 SQUARE ENIX / Silicon Studio
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Amazonリンク:ブレイブリーセカンド

ジョブチェンジ&アビリティカスタマイズ、ターン制バトルの常識を覆す、ブレイブ&デフォルトを使ったターンコントロールの戦略性。
これぞJRPGと言わんばかりの王道ロールプレイング。「ブレイブリーデフォルト」の続編だ。

早速手厳しい指摘になるが、RPGの続編モノとしては、新鮮味に乏しい。

ベースとなるゲームシステムは、「ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル」を基本としてさらに発展させたものだ。
これは元々、「フォーザ・シークウェル」という作品コンセプトが、「ブレイブリーセカンド」への進化の一端を見せる位置づけにあったからこのようになっている。
(にしても、ここまで「フォーザ・シークウェル」からほぼそのままのUIで出してくるとは思わなかったが)

無印版から考えた場合、各種UIや操作性が洗練されて手触り感は良くなっているが、やはり新鮮味といった部分では厳しいと言わざるをえない。

RPGの続編モノで、このような新鮮味のない作品は他にもある。
例えば、「ファイアーエムブレム」のGBA版3作品なんかは、見た目もシステムもほとんど違いのないまま発売されている。
変える必要のない部分を目新しさを意識して無理に変えてしまうよりは、完成されている部分やクオリティの高い部分はむしろ流用してくれる方が好ましい。

この作品が、ことさら新鮮味に乏しいとネガティブに感じてしまう原因は、改良して欲しかった不満や改善して欲しかった部分に進化が見られなかったことだろう。

それに加えて、ストーリーが完全に前作からの続きものであり、さらにレギュラーパーティメンバー4人のうち2人が前作のキャラ(ティズ、イデア)である点。
また、ストーリーが前作から続いていて、舞台となる世界も一緒で、冒険するダンジョンや町のほとんどが前作からの使い回しとなってしまっていること。

これらが組み合わさって、続編の割には新作を遊んでいるような感じがしない、なんだか微妙な印象を持ってしまうのだ。

ただ断っておくと、今作単体では、ゲームバランスやシステムの作りがこなれてきて、前作を遊んでいなかったら、まあそこそこ楽しいだろうという部類に入る。
しかし、世界観やストーリーが前作と密接につながっているために、この作品から入るには正直結構辛い内容になってしまっている。

かといって前作経験者だと、ストーリーこそ新しくなっているものの代わり映えしない世界をまた巡ることになり、バトルやそれ以外にも目新しい要素が本当に何もない。
(完全新規の要素で強いて言えば、カプカプメーカーだが、放置系ミニゲームであり、目新しい要素と言うにはちょっと違うものだ)

また同じことが繰り返されるだけのゲーム展開に、早々に飽きが来てしまうこと必至と思われる。
(そして困ったことに、なんとなく先が読めてしまう予想を裏切る展開ができていないのがまたきつい所だ)

ゲームとしては相変わらず、タルい戦闘と、フルボイスが仇となった長々と冗長なイベントシーン。そして合間に単調なダンジョンが繰り返される。

シナリオは、前作では5pb.の林直孝(シュタインズゲート)を起用していたが、今回は外れているようだ。
しかし、それを感じさせないぐらい全体的に描写は割と丁寧だったように感じる。
やたら食い物の話が多いのと、やや饒舌というか微妙にテンポの悪い会話が気になった。

前作と同様にゲームを進めていると、サブイベントが発生してそれをクリアするとそのジョブが手に入るという仕組みも入っている。
今回は、サブイベントの最後に、究極の選択を求められ、その選択によって手に入るジョブが変わるという仕掛けが取り入れられた。
ここで手に入るジョブは全て前作で出てきたジョブなのだが、シナリオ上の選択で選びたいものと、欲しいジョブが異なるというミスマッチがたびたび生まれてしまう。
ストーリーにどっぷり浸かりたいのに、報酬のジョブをちらつかされるせいで、満足にイベントそのものを楽しむことが出来ない。

プレイヤー心理としては、最終的にジョブ欲しさに選択を決定せざるを得ない部分がどうしても出てきてしまう。
そうやって敢えて損得勘定に訴えかけることで、重みのある選択をさせるつもりだったのだろうが、これがどうにも後味が悪いというか不快感ばかりが先行してしまって、率直に言って楽しくない。

結局、取れなかったジョブに対する救済策があったりして、あのとき悩まされたことはなんだったのかと思わされるのも、閉口してしまう。

今作でも、クリアまでのプレイ時間が60時間以上と、かなり長いものになっている。
前作のような、開発者の想定外での水増しというか、前作にあったような辛い繰り返しは無く60時間を超えるのだが、やっぱりいかんせん長すぎる。
それだけ気合いの入ったゲームだという捉え方は出来るし、前作より短いと、物足りなさを感じるのも事実。しかし、単純にクリア時間で満足させるのではなく、内容で満足させて欲しかった。

バトル周りは、だいぶこなれてきた感がある。
例えば、ブレイブを前提としたアビリティ性能を持ったコマンドが増えている。前作では昔のFFのものをそのまま持ってきたような色合いが強かったが、2作目になりだいぶ独自性が出てきた。

前作のジョブ、そして今作で初登場となるジョブがあるが、前作のジョブにおいても、アビリティやジョブ性能の見直しと整理が行われ、バランス調整がされている。
前作ではジョブLVは14までで、14個のアビリティを習得したが、今作ではジョブLVは10までで、習得アビリティの数も10個に減ったことで、無駄なアビリティは削除された。
細かいことだがジョブレベルの上がるタイミングもいい感じに調整されていて良い。

ジョブ一覧で、どのようなアビリティを覚えていくかを事前に見ることが出来るようにもなったため、育成方針を立てやすくなったのは非常に便利だ。

今作での新ジョブは、傾向として性能というか、アビリティの価値というか使い勝手というか、個性を出すためか特殊性が強い物が多く、使いこなせば強いのだろうが、価値を見出すまでが中々大変そうなものが多い気がした。

一方で、わかりやすい強さを持ったジョブも存在するため、それほどこだわらなければ、どうしてもそういったジョブを使った戦術に頼りがちになってしまう。
相変わらず、極端な力押しが有効な局面が非常に多く、戦闘がどうしても作業になりがちである。

ジョブやアビリティ、装備の組み合わせを考えている時は面白いが、一度戦術を確立してしまうと、それ一辺倒の戦い方になってしまいがちで、そのせいで戦闘が作業的でタルいものになってしまっている。
1ターンで戦闘を終わらせた場合、連続でバトルする連チャンのシステムを導入するといったバトルを面白くする工夫や対策は見られるのだが、できれば根本的な改善を目指して欲しかった。

力押し一辺倒で何とかなってしまうバランスを許容している作りを否定しているつもりはないが、いかに手早く敵を片付けるかというところに価値を置いた戦闘シーンが、作業感や苦痛感を与えているようにも同時に感じる。
ブレイブ&デフォルトというシステムを採用している以上、難しいかもしれないが、バトルそれ自体が楽しいと感じられるものを遊びたいのが本音である。

「フォーザ・シークウェル」では、戦闘の難易度設定機能や、エンカウント率を変更することが出来た。
これらの機能は、アッパーバージョンだからファン向けに付けた機能だと思っていたが、なんと今作でもこれらの機能が初回プレイから利用できてしまう。
難易度の変更ができるRPGは珍しくないが、エンカウント率まで自在にいじれるのは少々やり過ぎなように感じた。せめて2周目か、あるいはゲームクリア後でも良かったのではないだろうか。

あと、トリッキーな仕掛けがなく、終始ワンパターンな構造のダンジョン。
これもゲームを退屈にする要因の一つになっている。
それに輪をかけて、ストーリーの進行するタイミングや構成もワンパターンで先が読めるので、良く言えば期待を裏切らない作りではあるが、意外性が無いためにダレてしまう。

かなり厳しい内容になってしまった。
やはり続編ということで、それだけゲームを見る目線、ハードルも自然と高くなってしまう。

これだけキツめに書いてきたが、当然のことながら続編を出すにあたって、ゲームの方向性については考えた上でのことだと思う。

この「ブレイブリーデフォルト」というゲームは、王道を行くRPGであるがゆえに、奇をてらったことに挑戦することが出来ないのだろう。
そして、なるべく間口を広く、誰でも楽しめるようなRPGにしたいという思いがあるのだろうと思う。

だが、それにしたって、ジョブ集めの流れや、全体的なゲーム内容、マップの使い回しなどがどうしても気になってしまう。
基本を外さず、楽しめるRPGを目指すのであれば、新たな冒険の舞台や新しいキャラクターなどでしっかり勝負するべきではなかったのかとなおさら感じてしまう。
後、些細な事だが続編ありきの終わり方はやめて欲しかった。そこで結論。

新鮮味のない続編。惜しい。





[2015/06/18]
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