ブルードラゴンプラス


対応機種ニンテンドーDS
発売日2008/09/04
価格4980円
発売元AQインタラクティブ

(c)2008 AQI / MISTWALKER / feelplus / BROWNIE BROWN / BIRD STUDIO / Microsoft
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Amazonリンク:ブルードラゴンプラス

Xbox360立ち上げ期のキラーコンテンツとして制作されていた「ブルードラゴン」の続編が、なんとニンテンドーDSで発売である。
プロジェクトの一環として発売後に放映されていたTVアニメが好評のようで、そんな経緯からの発売だろう。
なお、発売元はAQインタラクティブにうつり、クレジットされているものの、おそらくマイクロソフトは一切関係してないと思われる。

今作はRPGではなく、リアルタイムシミュレーションRPGと定義されている。
開発を担当することになったブラウニーブラウンが以前「聖剣伝説ヒーローズオブマナ」というリアルタイムストラテジーを制作していたことからではないかと思う。
実際、システム周りは流用されていて、あの「聖剣伝説」を彷彿とさせる画面構成を見た瞬間嫌な予感がした物だ。
しかしブラウニーブラウンは、あのタッチペンで指定したいユニットを囲む操作を発明とでも思っているのか、このゲームでも使われている(ま、実際便利なんですけど)。

インターフェイスや操作性はあの悪夢の「聖剣伝説」と比べれば、さすがに改善されているが、一般的な視点で見ると、指定したいユニットと違うユニットに反応してしまう、コマンドを選択する時に、フィールドをタッチしてしまうという不備が残されている。
コマンド選択に関して言えば、画面下部を全部コマンドにしてしまって、誤操作を減らす工夫の余地はあったと思う。現状では、画面下部に丸っこくアイコンを表示させていて、丸い部分から逸れてタッチしてしまうとフィールド画面をタッチしたと見なされてしまう。
ただ、相変わらず、馬鹿な動きをするAIは健在で、なかなか思った通りに動いてくれない。この辺はバランスを大味にすることで、不愉快に感じる局面を極力回避している。

リアルタイムストラテジーに限りなく近いが、ストラテジーの生産や拠点といった要素を廃して、より純粋なシミュレーションRPGの要素が強まっている。
多彩な能力を持ったユニットが沢山登場し、仲間になるたびに、そのユニットの性能やどう生かして戦うべきかを丁寧に教えてくれる点は凄くいい。

残念なのは、敢えてこのゲーム、リアルタイム性にこだわる必要があったのか?ということだ。
たとえば、なにかコマンドを入力するさい、時間を止められる「ファイナルファンタジー」シリーズで言う、ウェイトモードがあれば、かなり不満点は払拭された。
このゲームでは、コマンド入力中も原則、時間は止まらず、たえず動き続けている。そのため、機敏に反応し、操作を対応出来なければ、やられてしまうことがある。
ここをウェイトか、アクティブかを、選べればだいぶ印象は変わった。そういう面では惜しいゲームと言える。

また、リアルタイムである必然性もイマイチ感じられず、従来のターン制でじっくり遊ばせる方が、よりユニットの多彩な性能が際だって、楽しめたのではないか?という気もする。

ほとんどの操作をタッチパネルでおこなうが、メニュー周りの操作は、ボタンにも対応して欲しかった。
「戻る」アイコンが左上なのは、右利きのプレイヤーにとっては遠くて不便きわまりない。右下か左下に置くべきだろう。そして、利き手を選択させることも必要ではなかったか?

ストーリーは、完全に前作の続きだが、一応独立したエピソードが展開するし、新しくキャラクタが登場するたびに解説が入るので、シリーズ初めての人でも付いていくことは出来る。が、かといってこれを敢えて遊ぶ意義は薄い気もする。
アニメ版の視聴者を取り込もうという考えだろう。
ムービーがかなり多く、2画面を駆使したカット割りが上手で、見応えがある。しかし、ムービーを使いすぎて本編が短めになっているのはご愛敬である。
なお、今作ではキャラに声を当てていないので、一切喋らない。ゲーム版とアニメ版で声優が違うという問題もあったのだろう。

グラフィックは、フィールドはポリゴン、キャラクタはスプライトという良くあるスタイルだ。見栄えはなかなか良い部類に入る。

影を使った必殺技で、敵の使う必殺技と発動がかち合うと、タッチペンでスライドさせて発動をつぶし合うシステムが面白い。
操作性が悪いので、狙ってこのバトルに持ち込むことが出来ないのが残念である。
こういう“その気”にさせるタッチ操作は、使い方がうまいと言える。

メカロボの設計、サブクエストなどやり込み要素も充実している。大幅な発売延期は、内容を充実させたり、システム周りの改善のためだったと推測。
なんだかんだいって、制作総指揮をつとめる坂口博信はゲームを客観的に見る力はあると思っている。
これでもっと、よそのゲームをプレイして多角的に研究していれば、とんちんかんなゲームにはならないのだが。

システムを流用するなど、あまり開発費が出なかった(だろうことが想像出来るのだが)ゲームとしては頑張ってると思うが、本編だけなら10時間足らずで終わってしまうボリュームのなさや、ゲームシステムの見直しなど、根本的な面に難を感じられるゲームである。
一作目発売時に、続編制作の話も出ていたが、音沙汰がなくDS版が発売されたと言うことは、もうマイクロソフトとしては、このタイトルは捨てたんだろう。そこで結論。

アニメ版に頼った安いメディアミックス作品(個人的には王道RPGで勝負して欲しかった)。





[2008/09/06]
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