ブランディッシュ


ちょっとゲームそのものの話とはずれるのだが、前置きとして。

DC、PS2辺りで移植されるパソコン用ゲームは、ほぼ全てやっつけ仕事状態である。
PCそのもののスペックが上がって、殆ど家庭用ゲーム機と変わらないどころか
PCの方が見栄えの良いゲームすら出てきているほどだが、
しかし、コンシューマに持ってくる際に、そのままでははっきり言って商品にならない。
プレイヤーの嗜好性の違いといった要素もあるのだが、
ちょっと小手先をいじった程度のローカライズでは見向きもされないのが現状である。
こういう手抜きがコンシューマに於けるPC移植ゲームの地位を下げてしまっている。

ギャルゲー以外のゲームで長いこと話題になる物が無かったというのも大きいが、
最近はそれでも日本ファルコムが「イース6」や「英雄伝説6」といった新作で
巻き返してきているのに対し(勿論全盛期ほどではないのだが)、
家庭用の移植に関してはあまり力を入れられていない。
これらは家庭用でも格好の売れ筋材料なのに、である。

実はPCエンジンCD-ROMのソフトは、多くが当時のパソコンゲームに依存していた。
体感的な割合では恐らく5割近くはPCゲームの移植でまかなっていたはずである。
しかし、たかが移植といっても、移植する際のローカライズへの力の入れようは半端ではない。
ビジュアルシーンを付けて、豪華声優に声を当てさせ、PCエンジンにあったインターフェースの再構築。
広告宣伝費や、PCエンジン市場で売るためにオリジナルから内容を変えてしまうことすらある。

もはや移植の範疇を越えるローカライズには、パソコンユーザーからの反感を買ったりもする。
だが、PCエンジンに移植されることで、より多くの人に遊ぶ機会を与えられるのは事実であるし
そしてPCエンジンではPCゲームの良質なソフトを提供してもらう代わりに
そのゲームに対して、ローカライズ(移植作業)に専念出来ることによって質の良いソフトを
出しやすい利点もあった。
個人的には、いい関係であると思う。
ややPCエンジンに優位な感じはするが、移植作業に手間取る分、元作を早く遊べるし、
移植されていない良質なソフトもまだまだ多数存在していることからも、上手く均衡が保てていると思う。
(また、移植作業を行うスタッフのセンスの悪さによっては、オリジナルより出来が悪くなる可能性もある)

かなり前置きが長くなってしまった。
PCエンジンの移植タイトルの完成度の高さは、ここに起因すると思っていい。

さて、ブランディッシュだが、これもパソコンゲームからの移植で、
実はPCエンジンに移植するには不向きな題材であった。
ビジュアルシーンやキャラクターのボイスなどでのごり押し戦術が通用しないからだ。

なぜならば、そのゲーム内容が、PCエンジンの得意とする分野とは相反するからである。

日本ファルコムが送る見下ろし型ダンジョン探索タイプのRPGで、
時間がリアルタイムで流れるため、反射神経も要求される。
地下深くに落とされた主人公が脱出するためにひたすら上を目指すのが目的。
「イース」のダームの塔とは違って、そこにストーリー性はなく、
ひたすらストイックにダンジョンを探索して、脱出の足がかりを掴んでいく。
ゼルダの伝説のように、頭を使って仕掛けを解除あるいは回避しつつ、
耐久性のある武器を拾って凌ぐといった「不思議のダンジョン」テイストも混ざっている。

このゲームの最大の欠点としてあげたいのが、インターフェースに尽きる。
これまで紹介した通り題材は悪くないのだが、
動かす時に、プレイヤーの向きを変える際、通常のゲームとは逆でマップが回転するのである。
つまり、主人公は常に前方を向いた状態で、方角を変えるとマップそのものが90度ガラッと変えられてしまう。
これのせいか、敵の動きもぎこちなく1マス1マスワープするように動いているし、
マップの回転も急なのでテンポは悪くないのだが、方角を見失うことも多いし
敵との戦いで機敏に反応することが出来ない。
このもどかしさは、バイオハザードのラジコン型操作に近いかもしれない。

ただ、元々がマウスで簡単操作がウリであったオリジナル版に比べ
このPCエンジン版は、パッド操作でも快適に遊ぶことが出来た。
また、無いに等しいストーリー要素も、イベント部分では目一杯PCエンジンの利点を生かして
ちょっとしたビジュアルシーンを入れてみたり、キャラクターに声優を当てて喋らせたりしている。
ゲーム中の音楽もトラック再生で、派手な音楽ではないが、気分的に盛り上がる。
マップ切り替えのロード時間が長かった記憶があるが、全体的に処理が軽く快適である。

残念ながら、PCエンジンユーザーの嗜好性とは大きく外れたゲーム故にあまり話題にはならなかった。
とはいえ、上記に述べたとおり、改善すべき要素も多かった(確か中盤以降のバランスも酷かった覚えがある)ので
ある意味フェアーな評価かもしれないが、個人的には続編もPCエンジンで遊んでみたかった。

SFCでも光栄が1、2と移植しているのだが、値段が高いのと処理がちょっと重いようだ。
直接触ってはいないが絵も原色系が多く明るすぎる印象がある。
ちなみにPCでは3まで発売されているが、これは家庭用に移植されていない。




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