ブレスオブファイア4 うつろわざるもの


対応機種プレイステーション
発売日2000/04/27
価格5800円
発売元カプコン

(c)2000 CAPCOM
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すっかりカプコンの看板タイトルへと成長を遂げた、人気ロールプレイングシリーズ「ブレスオブファイア」の4作目。
豊富なミニゲームと、ストーリー、システム両方がバランスよく作りこまれたゲーム内容に定評がある作品だ!

総合的なゲームの作風としては、前作のシステムをベースとして欠点や不満点を解消していったという、非常に手堅い作り。
また、スクウェアのRPGにとても影響を受けており、特に「ファイナルファンタジータクティクス」の色が強く現れている。
(音楽なんかも、音色がかなり影響を受けている節がある)

前作はまだ、実験作といった作りが抜け切れておらず、こなれてない部分が多く見られていた。
今作では、前作同様、ポリゴン+スプライトのフィールドだが、3Dのポリゴンフィールドの恩恵をしっかりと活かし、
カメラ視点を360度回すことが出来たり、イベントシーンなどでもカメラワークを駆使した演出がふんだんに用いられる。
(前作ではポリゴンのフィールドと言っても、決まった一方向からしか見ることが出来ず、マップデータもその部分しか作られていなかった)

ただ、カメラ及びキャラクターの操作が、融通がきかず固いところが気になった。
カメラは45度の決められた角度(方角)しか視点変更が出来ない。場所によってはマップの表示がおかしくなるということで視点制御が制限されているマップもある。
また、キャラクターの移動も、SFC時代のRPGのようなマス目移動の形式で、さらにクォータービューである。
そして、個人的に一番つらかったのだが、移動しながらカメラ操作が出来ないこと。慣れるとそうでもないのだが、視点を変えようとする度に一々立ち止まらなければならない。

フィールドがポリゴン、キャラクタがスプライトのRPGだと、有名所だとスクウェア「ゼノギアス」、ゲームアーツ「グランディア」があり、
それらのゲームでは、キャラ移動や視点操作がアナログ的で、かなり自由に動かせるようになっている。

「ブレスオブファイア4」のように、かっちり決められた操作性も悪くはないのだが、3D空間を使ったゲームが珍しくないのに、この操作性はいささか遅れてると言わざるをえない。
カメラ操作も、角度が決められてる割に、どの視点にしても物陰が出来て隠れて見えない(見づらい)ことが結構あり、加えてコンパスがありながら、方角を見失うことが結構あること。
前作では、スタートボタンを押すことでポインタが表示され、プレイヤーの周りをプレイヤーを動かさずに見ることが出来る機能をつけることで、視界の狭さに対する問題を解決していた。
今作では、ニーナのフィールドアクションで「上空に飛ぶ」というものがあり、カメラを引いて周りを見ることが出来るようになった。

グラフィックは、かなり綺麗。
キャラクタのスプライトの方も、セル画のようなベタッとした塗りで、まるでアニメのキャラを見ているかのような滑らかさである。
ポリゴン+スプライトの違和感はなく、両方が綺麗に融合している。
さすがこの辺のクオリティの高さは、プレイステーション円熟期のゲームと言えるだろう。

シリーズ4作目ということもあり、全般的に隙のない作りで、とても良くまとまっている。
前作では、利便性の悪い箇所や、システムに不明瞭な点が多くあり、説明書を開かないとわからないことがあったが、今回は、あらゆる場面で配慮があり、安心して遊べるようになっている。
師匠への弟子入り(今作では伝承師)も簡単になり、敵の技のラーニングも防御コマンドが担うことになり、習得する機会が増えた。
共同体も遊びやすく、釣りも釣り専用マップが出来たことで、取ってつけたようなミニゲームではなく「RPGの釣り」らしい感じがよく出ていて、しっかりとゲームと溶け込んでいる。

バトルは3人で戦うが、ターン消費無しで控えのメンバー3人と自由に入れ替えられるようになっている。
瀕死になった味方を入れ替えたり、出てきた敵に合わせて優位なキャラを出すといった戦略が取れるようになった。
また、魔法や特技が連携するコンボというシステムが面白い。特定の特技が連携すると2つ目の技が変化するといった仕込みがある。
スクウェア「サガフロンティア」の連携に近いが、あれよりは自己主張が強くなく、かつ、工夫すれば狙ったコンボを出すことが出来る。そのさじ加減が良い。

ただ、このように仲間を自由に入れ替えられるシステムにしたせいなのか、ゲーム終盤のゲームバランスが荒く、入れ替えを強制させるような厳しさに面白さを感じられなかった。
そして、戦闘中でも、ターン消費せずに装備品を変えることが出来るのだが、やはりゲーム終盤となると、状況に応じて装備の変更を求められることもあり、煩雑でテンポを悪くしている。

さっき、バトルバランスが厳しいとは書いたが、ターン消費無しで控えメンバーとの入れ替えができるせいもあり、基本的には戦闘は激ヌルだ。
ただ、倒すのに面倒な手順が必要な敵がいたり、アクの強い性格を持った敵キャラが多いため、テンポが悪くて面倒くさいといったダルさがある。

そしてもう一つ、バトルで気になるものとしては、召喚魔法のような演出が極端に長いものを、2回目以降はスキップできるようにしている点だ。
スクウェア「ファイナルファンタジー7」の召喚魔法は、戦闘シーンの大きな見せ場の一つとして、長い演出シーンが作られ、これがゲームとしては邪魔な存在になるなど、問題視されていた。
今作では、そういった演出は初回を除いて、カットできるようになっている。
こうなると、もはや召喚魔法の長い演出シーンとは何なのかと思わず考えてしまう。
ゲームのテンポを著しく阻害するほどの長さだとわかっていながら、その状態のまま入れる。
せっかく力を入れて作ったものも、2回目以降はそのあまりの長さにスキップされる。
随分思い切った機能を導入したと思うのだが、じゃあスキップされないような作り方は出来なかったのかと感じてしまうのだ。

このように、バトルは、凝った要素が詰め込まれたこともあり、前作の画面が切り替わらずその場で戦闘に入る仕様はなくなってしまった。
エンカウント時、画面の切り替わりで多少のディスクアクセスが入るようになってしまった。これについては致し方無いと言ったところだろう。

ストーリーは、「ファイナルファンタジータクティクス」の影響を受けたせいなのか、シリアスで大人びた路線になってしまった。
シナリオ自体は良く出来ているが、チト没個性的になってしまった感が否めない。
また、ゲームも終盤に差し掛かる辺りから、物語の展開が急に希薄になり、ただ決められた目的地に向かうだけになってしまっている。
本当は何かここにエピソードを入れるつもりだったんじゃないかと感じさせる部分がいくつか見られた。

相変わらず今回も本編の途中に簡単なミニゲームが挿入されるが、これが中々に出来が良い。砂船でレースが出来たりなど、とにかくこのシリーズはミニゲームへのこだわりが半端ではない。

今回もプリレンダムービーを使っていないが、アドバタイズデモでのみ、セルアニメムービーが流れる。
おそらく、ムービーの一つでも入っていないと寂しいという声から発注したのだと思われる。
が、どうせなら前作と同様、全編ムービーを使わない姿勢を貫いて欲しかった。

バトルシステムを中心に、前作から進化した部分もあるが、基本的には前作をベースにした作り。
だが、やってることが前作と同じでも、とっつきやすさや遊びやすさへの配慮などが施されたことで、かなり印象が変わるのも確かだ。

とにかく本作は、細かい配慮が行き届いた、丁寧さの光るRPGで、誰にでも好印象で楽しめる作品となっているだろう。そこで結論。

個性は薄れてしまったが、高い次元でよくまとまった秀作。





[2016/05/20]
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