バハムートラグーン


対応機種スーパーファミコン
発売日1996/02/09
価格11400円
発売元スクウェア

(c)1996 SQUARE
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RPGのスクウェアが送る、中世ファンタジー風の世界観のシミュレーションRPG。
剣と魔法と、そしてドラゴン。ドラゴンと心を通わせ一緒に戦い、1ユニット4人のパーティ制で行動する、風変わりなシステム満載のS.RPGだ!

一見、オーソドックスなスタイルの面クリア型S.RPGなのだが、軽く紹介したとおり、1ユニット4人パーティで行動する点や、必ずユニットはドラゴンと組になって行動するといった点など、独自のシステムが多い。
ドラゴンは自分では動かせずAIが行動を決定する。そのため、せっかく敵との位置取りを考えて動かしても、勝手に突撃していってしまうので、S.RPGの戦略はほとんど使えないと言って良い(一応、戦わせない命令も出来るが、最初のうちは命令を聞いてくれない)。
そもそもドラゴンは、エサやりで簡単にパラメータを強化することが出来る上、レベルアップまでするのでかなり強くなる。わざわざ人間ユニットが敵に到達する前に、弱い敵なら勝手に倒してしまうほどだ。

また、攻撃方法は2種類あって、敵に隣接して直接攻撃を行うものと、必殺技や魔法を使って遠距離から攻撃を仕掛ける間接攻撃があるのだが、間接攻撃はMPさえあれば、こちらがダメージを受けずに安全に敵のHPを削れるため、戦術が間接攻撃に偏りがちになる。
デメリットとしては、敵から得られるお金が半減してしまうのだが、そもそもそんなにお金に苦労するゲームでもないし、逆に言うと直接攻撃のメリットはそれぐらいしかないので、敵ユニットが瀕死になるまでHPを削って、直接攻撃でとどめを刺すぐらいにしか使いどころがない。
ゲーム後半になると、敵も間接攻撃を多用してくるし、こちら側も強力な間接攻撃を使えるようになるため、益々間接攻撃頼りの戦法になっていく。

こんな感じで、S.RPGとしてはかなり大味なゲームバランスになっているので、このゲームにS.RPGの面白さを期待するものではないだろう。どちらかと言うと、RPG感覚で楽しむものと言って良い。
つまりは、S.RPGが苦手だとか出来ない、といったプレイヤーにも楽しめる路線で攻めてきているというわけだ。この選択はあながち間違いではない。

1ユニットに4人編成する必要があり、構成によって能力が変化する仕組みは中々面白い。例えば、プリーストとウィザードを混ぜたパーティにすると、回復魔法と攻撃魔法の両方を使えるユニットが完成したり、
移動が遅いヘビーアーマーのパーティに、一人ライトアーマーのキャラを入れると、1ターンで移動できる範囲が広がるなど、職業の特性を組み合わせることで多彩な効果を持ったユニットが出来上がる。
それに加えて、組になったドラゴンの能力によって、特技が変化したりパワーアップしたりと言う効果もある。

だが...。最大たったの6部隊で、キャラクタも少なく思った以上にカスタマイズの自由度が低い。また、ゲーム自体も、前述の通り、強力な必殺技(間接攻撃)を連発してれば良いゲームバランスになっているため、考える必要が無いといった作りになってしまっている。
これは、システムとしては面白いものを用意しているのに、非常にもったいないことと言える。

グラフィック、音楽、操作性といった部分は、流石スクウェアといった感じで、良く出来ている。グラフィックでは特に、空の描写がとても幻想的で美しい。

一方で、ストーリー、テキスト、登場人物などは、クセが強く万人受けし辛い路線となっている。良くこんな内容のゲームを、スクウェアから発売させることが出来たな、と思うほどにマニアック。
しかし同時に、強烈な個性ともなっており、一概に欠点と言えないのも確か。

S.RPGとしてはヌルすぎるが、映像美や物語を楽しむスクウェアらしいゲーム。





[2019/07/21]
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