バハムートラグーン


SFC末期に発売された異色なシミュレーションRPG。

通常、S.RPGでは、マップ上に表示されている1ユニットは1キャラであるが
このゲームでは最大4人パーティで構成されている。
ユニット単位で動くマップ上では、それぞれキャラの特性が合体した性能を発揮する。
例えば、白魔道士で固めれば、その中で回復魔法を使えるキャラの全レベルが合算され
1回の消費MPで4倍の効果を発揮するようになるなど、
重装備のキャラばかりのパーティに一人だけ機動性のあるキャラを入れると、
移動力が増すなど、FF5辺りのアビリティカスタマイズを持ってきている。
ただ、あれほど直感的では無いのでFFほど面白くは無い。
(正確に言えば人を選ぶと言ったところか)

FFの「最強」コマンドのように、このパーティ構成を最適化するコマンドがあるのだが
これは入れる必要はなかった。
確かに、これらの作業は煩雑を極めるのだが、この構成を決めるのは
このゲームの面白さの肝でもあり、それを廃してしまう要素を入れるのは間違っていた。

こういうシステム故に、登場キャラクターが異常に多く、
印象に残らないキャラも多い(パーティ制で行動するため)
それを考慮してか、やたら変人ばかりにしてみたりしたのだが、
当時の俺にとってこれは逆効果で気持ち悪い印象を受けてしまった。
野島一成と鳥山求がイベントプランを立てていることもあってFF7臭い。
キャラの台詞であるとか、独特の魅力を放っているのだが、これはやっぱり人を選ぶ感じ。
ただ、装備品に関しては、武器と防具の2つだけに絞っており、そこら辺は簡略化されていて良かった。

1ユニットに一体のドラゴンがくっついており、
これは完全にAIで動く。
ステータスの知性と連動して行動が決定されるので、
馬鹿な動きをしたり、賢くなってくるとそれなりに良い働きをしてくれるのだが
それに至るまでかなりかかってしまうのが欠点。
また、一概に馬鹿か賢いかでは無く、それぞれの性格によっても意志決定がなされるために
結構人間くさい動きも見せるところが上手い。
ただ、きっちりSLGを楽しみたい人にとって、ドラゴンの要素は邪魔くさいだけかもしれない。

というのも、SLGパートでもこちらがユニットを動かした後に
一々ドラゴンが勝手に動いて意図しない行動を取ったりするし、
イベントパートで装備品を整えたりするシーンでは、
ドラゴン強化にひたすら時間がかかる。
ドラゴンを育成するには、いらなくなったアイテムを何でもいいので食べさせなくてはならないのだが、
これが、専用のアイテムではなく、既存の武器や回復アイテムを食べさせて強化させていくこともあって
どのアイテムがどのパラメータに影響するのかが説明がなされていないためにわかりにくい。
だから、どういう方向性でドラゴンを強化するかという選択の余地に乏しいのである。
結果、適当に育成すればそれなりに強くなってしまうこともあって
この餌やりはかなりつまらない。しかも結構時間がかかってしまう。

S.RPGの要となるゲームバランスだが、色々と苦心した跡は見られるが、
結局他のスクウェアゲームと同じで大味なバランスで、戦略性などは無い。
殆ど何も考えずに敵に突っ込み、強力なフィールド技で削り倒すという物。
フィールド技は、ユニット同士の戦いと違い、敵の反撃を受けないのでかなり強力。
MP消費をするので使用回数に制限はあるが、これを前提としたバランスの取り方は
あまり好きになれなかった。
実は、肝心のユニット同士の戦闘が、半端じゃなくつまらない。これには萎えるばかりだ。
キャラの職業による性能差はあるのだが、それぞれに強弱が無く、ここら辺の仕組みがRPG的で
間口が広い反面、S.RPGの醍醐味が味わえない。
体感的なプレイ感覚もRPG的である。
ただ、クリア条件やマップ構成でその分、差を出そうと頑張っている感じはした。

何より、このゲームの見所は、狂った馬鹿勢揃いの仲間キャラクターと
確信犯的な主人公突き落としシナリオに他ならない。
一応、それなりに美形っぽいキャラもいるのだが、このゲームでは
多くのフィクション物の登場人物のように小綺麗な出来た人間ではなく、
どこか変なクセを持ったキャラばかり(実は当時この独特な気持ち悪い感じが好きになれなかった)
なんだか実際にいそうなリアリティを醸し出している。
何より、男の俺は
戦闘時に見かけた可愛い女の子がイベントパートでは、途端に気持ち悪い女であることが判明した時の
落胆度は計り知れない物があった。
妙に現実的な描写が今では堪らなく好きです。

そんな象徴的なイベントがこれだ。

スクウェア製では珍しく喋らない主人公とヒロインが中盤までは恋人同士だったのに、
中盤以降、このヒロインは、元敵対していた国の男へ寝返ってしまう。
そして、あっけなく主人公は振られていく。
ゲームでここまでどこか屈辱的な気持ちを味わったRPGはこれぐらいしか無い。
なんというか、えげつないのだ。
最初、デートイベントではやたら選択肢を出して、感情移入させようとしてしていて
ゲーム半ばで思い切り突き落とす。
恋愛SLGでは、頑張れば結ばれる展開があるから救われている物の、これはどう頑張ろうと確実に振られる。

全体的に色んな要素を詰めすぎて煩雑な印象を受けるのだが、
ゲームバランスは適度に緩く、遊びやすい部類には入る(テンポが悪いが)
世界観や物語の部分がかなり独創的で、FF7、8辺りの野村FF的な雰囲気があり
なかなかドラマティックな感じで、王道路線を狙ったFFと違い、俺的には好きなゲーム。




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