東北大学加齢医学研究所川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2012/07/28
価格3800円
発売元任天堂

(c)2012 Nintendo / Tohoku University
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一世を風靡した「脳トレ」が「鬼トレ」となって帰ってきた!
もはや説明不要の今や1ジャンルとして定着した「脳」を鍛えるためのゲームソフトだ。

「脳トレ」は、ゲーム業界のあらゆる部分で革命を起こしたゲームだった。
「脳トレ」自体の効果や、脳年齢測定法の疑わしさといった内容的にいささかいかがわしい点はあったものの、
それ以外のところで、当時閉塞感が漂っていたゲーム業界に風穴を開けた1本であった。

プレイステーション2以降、ゲーム機の高性能化によって、開発費が高騰したため、ゲーム開発が敷居の高い世界になってしまった。
敷居が高くなったことに加え、1990年代後半、プレイステーションの登場でゲームが一般層に浸透しつつあった流れを様々な要因が重なり、断ち切ってしまった。
2000年代に入ってから、業界全体が守りに入ったことで、超大作路線・続編志向に傾倒したことが原因である。

そんな新しいものが中々生まれてこない状況の中、「脳トレ」は、ゲーム文化を一般に普及させる目的で企画され、大ヒットした。

遊び手から見た場合、長時間かけてひたすらエンディングへ向かってゲームを攻略するだけでない、一日短時間だけプレイする日課的プレイスタイルの気軽さ。
作り手から見た場合、低予算少人数でもゲーム開発が出来ることや、当時明らかに硬直化しつつあったゲームの定義を大きく広げた作品として、注目できる点の多い作品となった。

あのブームから7年。本家本元の「脳トレ」の続編が遂に発売された。

一日ちょっとだけプレイする、タッチパネルを使った手書き操作、などといった前作では目新しかった要素も、既に今では珍しくない。
そのためか、ゲームモードも豊富で、ミニゲームの種類も膨大、演出も豪華になり、1本のゲームソフトとしての品質やボリュームも申し分ないほどの内容となっている。
3800円で売り出しているが、任天堂の本音としては4800円で売りたかったんじゃないかと思う。

前作は低予算少人数でもアイディア次第でゲームを売れることを証明したが、今作はその制作理念を捨てている。
小規模タイトルはダウンロード配信という土俵が出来たこと、また、ゲームという文化が既に揺るぎない地位を確立したことで、そのようなことを気にする必要がなくなった。

「脳トレ」の亜種が沢山存在している現在、本家の「脳トレ」が選択したのは、“より効果的に感じられるカリキュラム”の作成である。
それがタイトルにもなっている「5分間の鬼トレ」だ。

「鬼トレ」モードでは、ワーキングメモリーをテーマにしたミニゲームが全部で8つ収録されている。
どのミニゲームも、与えられた情報を記憶して答えるという部分が共通しており、難易度が上がってくると、より沢山の情報を記憶することを求められるようになる。
正解率によって難易度が変動するようにできているため、プレイヤーにとってちょうどよいレベルに自動調節されていく。
つまり、このミニゲームを繰り返すことで、脳の記憶容量を増やして、一度にたくさんの情報を記憶できるようにする意図がある。

1つのミニゲームにつき1日に1ゲーム5分で1回だけしか出来ないというプレイ時間の制限がある。全部のミニゲームをやっても最大で40分となる。
このようにしたのは、5分間という手軽さもあるが、やりすぎても逆効果になるという研究に基づいてのことである。

実際「鬼トレ」自体は、かなり集中力を求められる厳しいゲームだ。
遊んでいて楽しいというよりは、つらいという感想を持つ。
だから8ゲームあったとしても、1日遊べるのはせいぜい3つぐらいが限度だろう。
これではトレーニングを習慣化するのは難しいだろうという懸念から、すれ違い通信や賞状一覧といったアチーブメント機能など、それ以外のモードが充実している。
全部のモードが解禁されてスタッフロールが流れるまで進めるだけでも約2ヶ月程度プレイする必要があるボリュームとなっている。

本編の「鬼トレ」が、つらい、きつい、とは言え、長期間粘り強く続けることで限界はあるが確実に成績が上向いていくので、上達の喜びはある。

個人的な不満点を述べると、「陣取り対局」と「飛石課題」という2つのパズルゲームが入っているのだが、
トレーニングを習慣化させる目的のためか1日1面クリアしたらそれ以上プレイできない制限があるのがもどかしかった。
どちらも全60面あって、全てクリアするためには当然60日必要になる。
最後の方は、このパズルゲーム目的で起動していて、「鬼トレ」がおまけになってしまうほどだった。
パズルのついでに「鬼トレ」をするのだから、トレーニングを習慣化する目的は果たしているのだろうが、プレイ進度を制限するというのはちょっと納得がいかなかった。

「脳トレ」はゲーム業界に一石を投じたが、続編である「鬼トレ」は、ブームが再発したり大きな話題になるほどのものにはならなかった。
しかし高いレベルで作り込みとクオリティの高さがあり、決して過去の栄光にあぐらをかいた作品ではない。そこで結論。

完成された「脳トレ」。





[2014/09/02]
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