カオスヘッド らぶChu☆Chu!


対応機種Xbox360
発売日2010/03/25
価格5800円
発売元5pb.

(c)2008-2009 2010 5pb. / Nitroplus / RED FLAGSHIP
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「カオスヘッド」の後日談が描かれたビジュアルノベルで、ファンディスクという体裁で発売された。
限りなく現実に近い夢の世界から抜け出せなくなった主人公が、そこから脱出するために女の子たちと時にハレンチな行為を繰り返しながら七転八倒するストーリー。

ゲーム内容は本編とは異なり、ホラーでグロテスクな要素は息を潜め、オーソドックスな学園ラブコメディになっている。
本編のシナリオ構成では、せっかく作ったメインヒロイン達が活かしきれていない印象があった。恐らくスタッフもそれを勿体無く思っており、せっかくだからキャラ設定を全面に押し出したゲームでも作るかー!!ってな軽いノリで出したんじゃないだろうか。
本作では彼女たちを「攻略」出来る。ちなみにXbox360版では前述の弱点を補うために個別シナリオが追加されていた。

方向性があまりにも違いすぎることや、題材が安直すぎる点が目立ち、粗製乱造品といった向きに見られがちだが、脚本は同じ人が書いているし、一応メインスタッフが関わって作られているので、クオリティに一定の安定感はある。
特に脚本家が同じというのはこの手のゲームではでかいウエイトを占める。作風にブレがないし(つまり、看板に偽りなしというわけだ)、シナリオ展開にきちんと一体感がある。キャラの魅力の引き出し方も無理なく出来ていて上手い。本編のテキストが気に入った人なら、こちらをプレイしても期待は裏切らないだろう。

割と好意的に書いているが、不満点も目立つ。
実質的にメインシナリオはなく(ストーリーに中身が無いという意味だ)、個別ルートへ分岐するためだけの存在になっているが、そこまではいい。そもそもそういうゲームなのだから。
個別ルートのシナリオ構成の骨組みが同じなので、それがバレてしまう2人目をクリアした辺りで、とたんに飽きてくる。つまり、オチが分かっている話を過程が違うだけで、それを延々ヒロイン人数分見ることになる。
好きなキャラの話だけ見ればいいって言う楽しみ方もある。が、ボリューム的には大体全キャラ分見てやっとゲーム一本分といった感じだ。
せめて、全キャラクリア後に締めにふさわしいトゥルーエンドみたいなものがあれば、また印象が変わったかもしれないが、残念ながら存在しない。自分は、なんだかんだ言っても、そういうものがあると過剰な期待をしていたのだが、ジャケット裏に書かれている通りのいちゃいちゃするだけの内容で、買う前にいだいていたその考えが愚かだったと悟った。

ちなみに、ゲーム・ボリュームが物足りないという声もあるかもしれないが、シナリオが分岐するゲームなら、ゲームの規模や1プレイはこれぐらいが丁度良いと思う。
また、本編作品では、多少無理矢理感の否めなかった妄想トリガーが、本作ではシナリオ分岐するための選択肢として、上手に作用している。ただ、ネガティブ妄想とポジティブ妄想の区別が薄れてしまったと感じた。ただの二択にしかなっていない。

価格が安いことからもわかるように、はなから(前作ファン向けに)ニッチ狙いで低予算で作ったのだろう。絵や音楽といった素材はほとんど使いまわしているし、登場人物も限界まで減らして(ぶっちゃけヒロイン以外のキャラはほぼ出て来ないといっても差し支えない)いる。

本編では、主人公の性格設定やアクの強いキャラクタに加え、Z指定(18禁)になるほどの残虐演出などが、良くも悪くも人を選ぶところがあった。今作ではそこは反省をしているらしく、主人公も人並みに動くようになり、それ以外にもラブコメやるために都合の悪い要素はバッサリカットしている。また、暴力的なシーンは全く無い。
これを良い変更と取るか、安直なやり方と取るかは遊ぶ人次第だろう。
個人的には、個性が薄れたと感じた。まさに王道学園ラブコメディに成り下がってしまったと思う。たまに2ちゃんねる語で茶化したりする辺りが、他作品との差別化を図っている唯一の点。

システムエンジンは、優秀だった同社「シュタインズゲート」を流用しているので、インターフェイスはすこぶる快適だ。
しかし、メニュー周りのデザインがごてごてで見づらくなり、演出周りもうざったい。改悪してどうするって話だ。他に細かい改良点といえば、デフォルト設定のBGMとキャラボイスのバランスが丁度良くなっている。これまでだとBGMに声が負けている箇所があり、オプションで調整してやる必要があった。

最後になるが、このゲームは、「カオスヘッド」をプレイ済みでないと面白さがわからない。物語が密接につながっているためだ。過去に何があったか軽く解説は入るが、直接的なネタバレは避けているため、これ単体で内容を全部把握して楽しむことは出来ない。

テキストやシナリオのクオリティは悪くないのだが、やはりどこか平々凡々としたレベルで、詰めが甘い。実に惜しい作品だ。そこで結論。

これは公式の二次創作と言える。まさにファンディスク。





[2010/10/28]
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