カオスヘッドノア


対応機種Xbox360
発売日2009/02/26
価格6800円
発売元5pb.

(c)2008-2009 5pb. / NitroPlus / RED FLAGSHIP
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5pb(旧KID系)とニトロプラスのタッグによって生まれた科学アドベンチャー。PC版で出ていた物の移植となる。
いわゆるギャルゲーだが、そのなかでもジャンルとしてはビジュアルノベルである。

ストーリーは、渋谷を舞台にした、不可解な連続殺人を軸に展開される。主人公は高校生で、登場人物も女子高生ばかりだが、良くあるラブコメタッチの明るいものではなく、
どちらかというと、サイエンスフィクション(SF)に近い。全体的に漂う雰囲気もハードなものとなっている。

しかしこのゲームは、ギャルゲーというニッチな市場で売っているので、その手の層を喜ばせるための配慮も怠っていない。

まず、主人公がステレオタイプのオタクであり、ネットスラングを多用したり、動画投稿サイトで深夜アニメを視聴する、ネットゲーム廃人でほぼ引きこもりの生活を送っているなど。
この手のゲームを好んで遊ぶプレイヤー層の共感しやすいキャラクターを持ってきている。

エッチシーン(もしくはそれに近いもの)は基本的に無いが、たびたび挿入される妄想トリガーを引けるシーンで、妄想する選択を選ぶことで、サービスシーンが入ることがある。
コンシューマーゲームとしては、正直下手なギャルゲーよりも、かなりきわどい描写がある。というか、かなりエロい。しかし、コメディタッチで描かれるのでこの手のゲーム独特の嫌らしい感じはあまりしない。

オタクと言っても一言で片づけられない時代だが、このゲームのオタクは、特に2ちゃんねるのニュース速報(VIP)板のノリを強く出している。
前述のVIPから生まれた定型文をふんだんに盛り込み、地の文にも上手に多用しているため、比較的文章は読みやすい。わかりづらい単語はTIPSにリンクを張って解説しているので、スラングがわからない人でもついて行ける。

こういう題材を扱う場合、一つでも“古くさい”と思わせたら失敗である。なぜなら、その時点で「今時これはあり得ない」と冷めてしまうからだ。昔のドラマを見た時に感じる、「携帯がでかい」「携帯ではなくポケベルを使っている」ことで冷めてしまう所に似ている。
今作ではこの辺は割と成功していると言える(数年後はどうなっているかわからないが)。
ただ、個人的にはチャットシーンが、ブラウザタイプの物を使っていて、そこだけが古いなあと感じてしまった。シナリオの関係上メッセンジャーを使うわけにいかなかったから仕方のないことなのだろうが、色々とやり方はあっただろう。

脚本家は勿論、ただのオタクというわけではなく、寧ろ仕事としてこういう独特の文体を絡めて書くということが相当大変だったろうと思う。
小説を書く上で、文法や定型文があるわけで、いくらライトノベルとはいえ、個人ブログのようなノリでシナリオを描いていくことは、普段とは違う技量が求められる。

シナリオはギャルゲーとは思えないほど、グロテスクでホラーで、狂気に満ちあふれている。安易に女の子を使って下ネタに走らないところもいい。
伏線の張り方も凝っていて、登場キャラクタも無駄にせず、意外性もふんだんに盛り込まれている。ちょっと頑張れば、一般向けとしても売り出せるレベルだ。

もちろん台詞は声を当てていてフルボイスで喋る。起用している声優も割と有名どころを使っていて挿入歌も多く豪華である。

しかし、先鋭的な面が評価出来る物の、惜しい点も多く見られた。
ビジュアルノベルは全体的にそういう傾向なのだが、テキストが冗長で、テンポが良くないのである。
これはいらないと思えるようなやりとりが多く見られるし、演出面も(元々がPC向けに作られたギャルゲーなので)かなり弱い。簡素なエフェクトと効果音、たまに挿入される一枚絵で、文章のみで読ませて省略されてしまっている演出も多い。
チュンソフトのサウンドノベルを知っていると、やはりかなりツライ(比べるものが違うという点は置いといて)。
また、つかみが弱い。話が軌道に乗って面白くなってくるまで結構かかる。
基本的に選択肢はほぼ無く(妄想トリガーを除いて)、一本道なのもゲームとしては退屈で厳しいかもしれない。

最大の不満点なのだが、一度エンディングを迎えたあとから見ることが出来る、サブシナリオへルート分岐する条件がだるい。
分岐条件を満たす追加選択肢を選び、新しい話が見れるのが終盤というのは、いくらなんでも面倒くさすぎる。
既読スキップが付けられてるとはいえ、本筋だけでもかなりのボリュームだ。スキップしてもかなり時間がかかる。こういった巨大なゲームは是非チュンソフト「かまいたちの夜2」のように、便利なフローチャートを付けて欲しかった所だ。
おそらく、フラグ管理やプログラムが大変になるから断念したのだろうと思う。

ギャルゲーらしからぬテイストで、ストーリーも(所々ご都合主義に頼ってる感が否めないが)インパクトがあり面白い。
しかし、全体的に好意的に書いてはいるが、主人公がオタクで、はきはき喋らない、消極的で中々動かない、本来なら主人公にはまずならないキャラを主人公にしているので、クセが強く万人向けとは言えない。
グロテスクなシーンや演出も度を超えていて、生半可な物では満足出来ない場数を踏んだゲームおたくでないと、このゲームには付いてこれないと思う。年齢対象がZ指定(18禁)なのは、エッチシーンではなく、残虐過ぎる演出のせいだと一説には言われているようだ。
そこで結論。

自称おたくなら楽しめるかも。ちなみにこれはギャルゲーではない。





[2010/06/06]
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