チョコボと魔法の絵本


対応機種ニンテンドーDS
発売日2006/12/14
価格4800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2006 SQUARE ENIX / h.a.n.d.
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プレイステーション時代に誕生したチョコボシリーズの新作が、実に久しぶりに登場である。
キャラクターデザインも、板鼻利幸に戻り、初期の暖かみのある雰囲気が舞い戻ってきた感じ。
以前手がけていた頃からだいぶ経っているせいもあって、絵のタッチが結構変わっているのも特徴の一つ。
全編ポリゴンでありながら、再現度はかなり高く、感心させられる。

児童向け絵本をモチーフとしたミニゲーム集で、クリアしていくことで行動範囲が広がり、物語が進んでいく。
この手のゲームは、「ボンバーマンランド」「マリオパーティ」など、ハドソンが得意とする分野(マリオパーティの開発元はハドソン)だが、それのスクウェアエニックスバージョン的な位置づけにある。

一つのミニゲームに7つのノルマが設定されていて、それをこなすことで、フィールド上で何か変化が起こって、先に進めるようになったり、カードバトルに使用するカードが手に入ったり、悪役によってカード化された仲間が救出出来たりする。
この辺のヒントの与え方は、丹念で、ゲームに不慣れな低年齢層や女性層のターゲットを強く意識したと思われる。
非常に親切丁寧で、アドベンチャー要素が強いにもかかわらず、途中で何をすればよいかわからなくなって引っかかることはまず無い。

一通りエンディングまで到達する分には、難しいノルマをクリアする必要はないが、最高難度のノルマのハードルはかなり高めに設定されていて、ゲームおたくでも手こずること必至のバランスである。
そのため、額面通りのヌルいゲームというわけでもなく、熟練ゲーマーにも満足出来る間口の広さを持つ。

ストーリーのテキスト周りも割とレベルが高めで、適当に作られた感は無い。

肝心のミニゲームは、分量勝負みたいな部分があり、一つ一つ取ってみていくと、練り込み不足なところが目に付いたり、一部極端に遊びにくいゲームも目立つ。
こういうゲームだと、どうしてもそういう傾向に陥ってしまいがちなので、しょうがない部分ではあるが、全体的なレベルを考えると、もうちょっと頑張って欲しかったところである。
既にほかのゲームで全く同じのを見たようなものもあるし、ここまで露骨だとさすがに「うーん」と唸ってしまわざるを得ない。

ミニゲームは全て、タッチペンを使うもの。ごく一部では息を吹きかけるものもある。

これらのゲームはどれも良く考えられており、出来も良いが、底意地の悪いバランス設計をしているものがほとんどで、
たとえば、制限時間のないミニゲームでは、一定時間を過ぎると、常人では反応しきれない速度にいきなりあがったり、コンピュータとの対戦でも、明らかにプレイヤー不利な状況に放り込まれるなど、そういうゲームが非常に多い。
このようなゲームばかりなのと、広く浅いゲーム構造をしていることもあって、フルコンプリートまで遊び込む気にはなれなかった。

納得がいかなかったものとして、フィールド徘徊系のミニゲームはタッチペンを使わせない方が良かったんじゃ?と思わせるものもいくつか。
据え置き機のアナログコントローラで遊ばせることが最善のようなゲームも多く見られた。
まず、このゲームの開発者は、タッチペン操作が標準だとタッチスクリーンの画面が自分の手で隠れてしまうことを知った方がいい。
画面の半分近くが隠れてしまうのに、画面全体を見ていないとつらいゲームを遊ばせる。実に理不尽な仕様だ。結局、なるべく画面が隠れないようにこちら側で工夫して操作するしかない。
ほとんどのミニゲームが、画面下をメインに使っているというのも原因の一つとなっている。
あと、やり始めてみないと説明を読んだだけではさっぱり理解出来ないミニゲームもいくつかあった。

フィールドマップ、キャラクタはすべてポリゴンで描かれている。アニメチックなグラフィックということと、カメラ固定の見下ろし型ということもあって、テクスチャーの荒さはあまり見られず、映像面での水準は高い位置にあると言える。
一部では飛び出す絵本や色鉛筆で塗ったような描写をしているところもあり、なかなか見ているだけでもなごめる。

実はWi-Fiコネクションにも対応しており、ポップアップデュエルというカードバトルで対戦することが出来る。
このカードバトルは、一見複雑そうに見えるものの、やり始めてみると意外とわかりやすく、単純ながら奥深いルールとなっている。
ただ、デッキ編成は、タッチペンだけでなくキー入力でもやりたかった。あれこれコマンド選択することが多いので、それをすべて画面をタッチするという行為はちょっと面倒である。

また、狙ってやっているのだとおもうが、手札3枚のうち、選んだ一枚以外のカードは隠れてしまっているのも気になる。
全体的に、画面上の莫大な情報を瞬時に判断し選択していくというような、反射神経も重要なウエイトを占めているようなところも見られるので、頭脳プレーだけでなく、そういうゲームなのかもしれない。

ファイナルファンタジーシリーズのオマージュがふんだんに盛り込まれており、この辺のネタの拝借は上手に感じた。
割合として古めのところからの拝借が多く、特にファミコン時代のものが多く見られた。

どうでもいいところでの遊び心も多く盛り込まれ、児童向けゲームとしての向きも強くありながら、全てのミニゲームを極めるには、熟達したゲームおたくでも歯ごたえのあるゲームチューニングは、幅広いユーザーが楽しめる作品として十二分に機能しているだろう。
これで全体的にミニゲームの質がもうちょっと高ければ文句なしだったのだが。まあ一作目としてはこんなところだろう。

個人的には、チョコボじゃなくて、デフォルメ化されたFFキャラの方がもっと受けが良いように感じるが。それだと安易なキャラゲーになってしまう懸念もあり、ひとまず苦しいところはありながらもチョコボというキャラクターでこれからも行くのだろう。

意外と人を選ばない作品。次回作に期待。





[2007/01/24]
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