チョコボの不思議なダンジョン 時忘れの迷宮


対応機種Wii
発売日2007/12/13
価格6800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2007 SQUARE ENIX / h.a.n.d.
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「チョコボの不思議なダンジョン」が8年ぶりに発売された。開発元は以前DSで「チョコボと魔法の絵本」を制作したh.a.n.d.。

本家「不思議のダンジョン」系列と比べるのは筋違いである。緊張感や難易度のバランスは意図的に調整され、人を選ばない作風を敢えて取っている。
「ローグから緊張感を取ったら何も残らない」と言うヘビーなプレイヤーは、最初から購買層からはずされている。但し、本編からはずれた、おまけのダンジョンステージは、「制限ダンジョン」と呼ばれ、従来のローグ系作品並の緊張感を与える要素として登場している(エンディングを見るだけなら遊ぶ必要は無い)。

本筋に限って言えば、10Fごとにワープ装置が解禁される(一度出ても次はいるときはそこから始められる)、一部罠が最初から見えている、LVが上がりやすい、死んでも装備品とレベルは残る、嫌らしい攻撃をしてくる敵が少ない、強力なアビリティシステム、階段でも脱出出来る等、かなりやさしい作りだ。
しかし、経験値を稼ぎ、引き際をしっかり見極め、武具の合成をおこなってキャラを強化していかないと、クリアするのは容易ではない。

ライト向けローグと考えた場合、他のローグクローン作品と比べ、だいぶん出来が良い。深層の敵やボスはある程度手強く歯ごたえがあり、やられた時のペナルティも適度に痛くて緊張感がある。モンスターハウスもあるしねえ(緊張感は全然ないけど)。
SPを消費して強力なアビリティで敵を退けたり、ジョブチェンジで自分好みの戦略性を編み出すなど、ゲームとしての幅はなかなか広い。
装備品の合成システムも、トルネコ3やシレン辺りから引っ張ってきたもので、本格的である。
ただ、アイテムの効果が弱いのに違和感。アビリティとセットで考えてるのか、アイテムの効能が弱いので、アイテムで切り抜けるというよりも結局倒すことに重点が置かれてしまっている。

バランスの付け方が荒っぽいのはまあご愛敬だ。かなり拡張出来るとはいえ、余るほどアイテムが手にはいるとか、未鑑定品に仮の名前を付けられないとか(そもそもそこまでシビアなゲームでは無い)、敵やアイテムの配置がちょっとおかしいとか、そんなのPS「チョコボの不思議なダンジョン2」のアレに比べれば…!(あのアクの強さは独特で別の意味で面白かったが)
視界が遮られたりするが、ちょっと暗くしてるだけなので本来隠すつもりだった敵が見えていたりする。そもそも、斜め上の視点なのがねぇー。
不満点といえば、メッセージウィンドウとマップがかぶってしまうことがある構成と、部屋が無駄に入り組んでいて移動しづらいことがある点。
町では、お店や預かり所などが離れて配置されているので行き来が面倒というのがあった。何回時計塔を挟んで預かり所と合成屋を往復したことか。

ファイナルファンタジーの派生作品らしく、かなりストーリー色が強い。節目節目にはリアルタイムムービーで物語を盛り上げる。
しかしこのムービーが今ひとつ時代遅れな感が否めないのが悲しい。少ないモーションとありきたりのカメラワーク。イマイチな画質があわさって、総合的に見劣りするものとなっている。
特にグラフィックは、任天堂製品特に「スーパーマリオギャラクシー」なんか見てると、もっとWiiを使いこなせないものかと思ってしまう。町の壁のテクスチャが近寄るととギザギザしてるし。とほほー。

DS版と同じキャラクターが登場するが、特に話がつながっているわけではなく、まったく異なった世界観に設定されているようである。

操作性でいえば、本作はリモコンでも操作出来るが、クラシックコントローラに対応している。対応しているというか、それじゃないと快適に遊べない。
ちなみに、対応させるのが面倒だったのかゲームキューブコントローラは使えない。ゲームキューブコントローラも使わせて欲しかったなぁ。

一転して、ミニゲームはリモコンで操作することになる。DS版でも入っていたポップアップデュエルというカードバトルゲームにやたら力が入っていて、Wi-Fiで対戦出来るほどの過熱ぶりである。
そのほか、カードの入手方法が、制限ダンジョンをクリアしたり、ボスを倒したりという入れ込み具合で、制作者はどうにも相当これがお気に入りのようである。
ほかにも釣り、ダーツなどWiiリモコンならではのミニゲームがいくつか収録されている。低年齢層向けのチョコボシリーズという側面もあるためか、このような要素にも力が入っている。
DS版はミニゲーム集で、嫌らしいものが多いと書いたが、今回はシンプルで面白いものばかり。但し、あらかじめ設定されたハイスコアが高すぎないか?数回プレイしただけでブロンズに届くぐらいのポイントでいいと思うんだが。
しかし、Wiiリモコンを無理矢理使いたいのか、ポップアップデュアルでカード選択時にリモコンを振らせる操作をさせるのはどうかと思った。必然性を持たせた操作なら納得出来るが、そうは思えない操作をどうにも入れたがる。

BGMは全てFFシリーズの音楽をアレンジして使用している。勿論敵キャラクターなんかもFFシリーズから拝借しているが、今作も相変わらずマニアックである。
町のBGMが、「ファイナルファンタジー11」のキャラクター作成(タルタル男)のものだったとか、どれだけの人が気づくのだろう。あと、ゴブリンがなぜ爆弾を投げるのかとか。今回はFF11ネタが多い気がする。
こういう人気楽曲をアレンジして使うことで、サウンドトラックも一緒に売ろうって言う魂胆だ。なかなかにしたたかな会社である。

声優の演技も光る本作品だが、ラファエロというキャラだけ演技が棒読みでひどいなあと思っていたら、主題歌になっている川嶋あいという女性ミュージシャンが演じているのだそうだ。
歌自体も強引なねじ込みに感じるが、こういう展開はプロモーション的にはおいしいのだろう。しかしゲーム的にはどうかなあと思う。

チュートリアルは丁寧だが、一部説明不足(ジョブチェンジや昼夜を切り替える方法)なところも目立つ。しかし基本的にインターフェイスの作りは良い。
シリーズ化するなら、次は何を題材にするのかわからないが、チョコボというキャラクターは料理しづらいものだなとつくづく感じる(ムービーの不自然さを見る限り)。そこで結論。

チョコボじゃなくてもいいんだけどチョコボです。ダンジョンよりもチョコボを愛する人に。





[2008/01/16]
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