コードエイジコマンダーズ 継ぐ者継がれる者


対応機種プレイステーション2
発売日2005/10/13
価格6800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2005 SQUARE ENIX
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コミック、携帯アプリ、ゲームと密接な繋がりを持たせた画期的なコンテンツ形態を展開中のスクウェアエニックスが送る新プロジェクト。
これはFF7に続き第二弾となるコードエイジプロジェクトのゲーム版。

ジャンルとしてはいわゆる真三国無双に代表される3Dアクションなのだが、本作は巷に出回っている同ジャンルの作品のような単純爽快アクションとは大きく趣が異なる。
方向としては全く反対のマゾっ気たっぷりの内容である。
(ただし、ジャンプが出来ないので実質的には2Dアクションと言えるか)。

まず、攻撃コンボを繋げていくには、○ボタンと×ボタンを交互に押していかなくてはならなくなっている。つまり、ボタン連打が封じられているのだ。
タイミングはゆるめに設定されているが、このゲームのつらいところはそこではない。
どのアクションを取っても前後に大きな隙があり、かつ、敵のルーチンもザコの時点からだいぶ賢く、考え無しに敵の密集地帯に突っ込むと袋だたきに合ってあっと言う間に死んでしまうし、
複数の敵を相手にした時、一体の敵を集中攻撃してごり押しで倒そうにも、別の敵がこちらの動きを的確に止めてくる。
勿論、中クラス、ボスクラスになるとさらにシビアな立ち回りを求められる。

つまりは、しっかり考えて戦う必要があるというわけだ。既存のゲームに対する薄っぺらさを否定する心意気は高く評価したいところだ。
しかし、大味なプレイが否定されている割に、融通の利く操作ができないので、その面で無駄に難易度を上げてしまっていて、理不尽な状況に追い込まれることが度々あり、ストレスの元となっている。
特に、ゲームを進める上で重要なアクションであるダッシュ移動が、スティックをはじくという操作なのだが、これがとんでもなく出しづらい。困ったものである。
なぜか、敵をロックオンした時に、移動速度が極端に落とされてしまうという制限が、さらに戦闘の不自由さを強めてしまっている。
このあまりの難しさに、HPが0になっても即座にその場でHP全快で復活出来るモアチャンスという特殊能力(最大3回まで付けられる)と、
必殺技を発動した後に低確率で起こる無敵化という付け焼き刃的な対応がなされた。
この2つを使えば、とりあえずはクリアは出来る。同時に、しっかりしたバランス調整を放棄したとも取れる。

ステージによって、簡単だったり難しかったりバランスの付け方がいい加減である。
これは、狙ってやったとはどうしても思えない。敵の配置、行動ルーチンといった様々な要素が噛み合ってないまま出してしまったという印象が強い。
特に一緒にNPCが戦ってくれるところでは、敵の賢さとは裏腹にこちら側のキャラは弱く、勝手に動き回ってこっちが指示を出すことも出来ない。
ステージ内容によっては、希におかしな動き方すらする。NPCの護衛という目的の面でも、やはり勝手に非力なくせにうろつきまわるので、イライラすることこの上ない。
結局、馬鹿なNPCに合わせた動きをしてやって戦力になるNPCはそいつらを盾にして戦うぐらいしか使い道がない。
頻繁に台詞の挿入があったりと、ネットゲーム的なライブ感が感じられただけに実に勿体ない。

オテロという小さなモンスターを吸収することで対象に合わせた能力(アイテムみたいなもの)をストック出来る。
しかし、オテロは特定の敵の周辺(しかもその敵を倒すと周りのオテロも一緒に消滅してしまう)か、一定の場所にしかいないので、使い勝手が非常に悪い。
おまけに、狙ったオテロを吸収するのが難しく、見かけだけでどんな効果をもたらしてくれるのかすら分からない。
これでは面倒な手順を踏んでまでして積極的に使おうという気になれない。

全体的に操作の割り振りも詰め込みすぎで、忙しいさなか、そんなに器用な操作ができるかー!とも思う。

プレイスタイルによって、腕(武器)の形状が変化したりパラメータが変わったりするようなのだが、
そういった辺りの情報が曖昧にされているので、変化したから何がどう変わったのか実感が得られないのも問題。
また、カスタマイズの自由度の高さをウリにしているが、その割に出来ることは少ないし、同時に付けられる特殊能力も異常に少なく、
前述の必須能力で数少ない枠は埋まってしまうという酷さには参った。あと、飛び道具による攻撃がオテロだけで使いづらいのも辛い。

戦略を練って立ち回れば楽にクリア出来そうな雰囲気を出している(実際そういうステージもあるのだが)わりに、
大半は、ただただ運任せにぶつかり合う消耗戦になってしまっていて、
特にラスボスに値するボスキャラクターのステージは、度を超えた難しさで、必殺技での大ダメージか低い確率で起こる無敵化で強引に倒すという完全な運任せな作りには萎えた。
本当に、コードクライシス(無敵化)は、どうしてもクリア出来ない人への当てつけの救済策か、バランス崩壊の意味合いしか無い気がする。

キーレスポンスが悪いのもなんだかねぇ。アクションゲームなのにメニューでのカーソル操作のあのもたつき具合はかなりマズイと思うのだが…。
シビアなバランスにしたいなら、もっと全体のデザインをそれが何を意味するのか直感的に分かりやすく工夫すべきだが、世界観優先で無駄に分かり辛くしてしまってるのは如何な物か?
一見、操作やシステムの説明が序盤親切丁寧になされてるかと思えば、実は説明漏れや誤解を招く表現をしているところも多く、説明書を開いてようやく分かった操作もあったりと、これはイカンだろう。
説明不足なのは、ステージクリア内容にもあり、最初の指示出しが抽象的で迷う面も多かった。
マップ上の敵を全滅させるステージでは、困ったことにレーダーマップに敵の位置は出ないので、延々とマップをぞうきんがけして探し回るのは面倒。

オテロを使ったミニゲームも用意されてるが、出来は良くない。とりあえず作りました的なものはもうやめて、その分本編のクオリティアップに注いで欲しい。

ゲーム自体の水準は酷いものだが、世界設定やストーリーはだいぶ凝っているらしくなかなか良くできている。
4つの主人公に分けたオムニバス形式なのも、だらだらしてなくていい。
特に、張った伏線をもったい付けずにちゃっちゃと消化されていくので、間延びせずゲーム全体のテンポは軽快で良いと思う。
ただ、一番最初のシナリオのラスボスがそれ以降のシナリオに比べて明らかに強いのはマズイだろう。下手をするとそこで挫折されるおそれがある。
このゲームの各ラスボスは飛び抜けて強いので、完全にシナリオクリアしなくても途中で他のキャラのシナリオも選べるようにしても良かったと思う。
こうすることで、退屈をせずに経験値が自然と溜まって、使える能力を取得出来るからだ。
他のメディアとも連動しているが、あくまでゲーム版を主軸と捉えてるらしく、先んじて展開している漫画は読まなくても十分。
というより、これ一本で大筋の展開は見ることが出来る(最後に若干ぼかした伏線を残すが尾を引くほどでない)ので、そういう面での心配は不要。

イベントムービーはほとんどがリアルタイムだが、細かいところを見ると実は結構面白い処理をしているのだけど、
パッと見た感じでは、演出が地味で強いインパクトを受けるものが無いうえに、ハードスペック上妥協したようなところが目立つので、
イマイチな印象を抱かざるを得ない。これは勿体ないだろう。
イベントで流れる音楽は、そもそも収録曲数が少ないので、同じ曲が何度も使われているのが、くどい感触を持ってしまう。
楽曲そのものはそんなに悪い物では無いので、使い方がまずかったように思う。

しかし、このゲームの異常な取っつきの悪さ、難しさは今後の展開に不安を残させる。
硬派なものを目指すのも分かるが、もっと万人に向けた作りを意識しても良いのではないか。
易しいゲームは何も悪いことではない。手加減の仕方が上手か下手かというレベルの話である。
どうも、実際にプレイせず机上の理論だけで作られた印象を強く受けた。それが全体の遊びづらさに繋がってる気がする。

硬派な作りを目指しすぎて損をしている作品。





[2005/10/17]
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