コズミックファンタジー3 冒険少年レイ


対応機種PCエンジン(SUPER CD-ROM2)
発売日1992/09/25
価格7600円
発売元日本テレネット

(c)1992 TELENET JAPAN / KAZUHIRO OCHI
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越智一裕デザインのキャラクターがビジュアルシーンでバリバリ動き、人気声優が声を当てるという
CD-ROMらしさ満載な作りの大作ロールプレイングシリーズの本作も気付けば3作目の発売である。

この会社は、コズミックファンタジーという作品で、早い段階からCD-ROMに大作RPGを制作してきた意欲的なメーカーである。
他に作っていた会社と言ったらハード設計をしたハドソンぐらいだろうか。

ハドソンとの違いは、ずばりサードパーティという点。つまり、隅々まで仕様を熟知したハドソンの作る作品はプログラムレベルから
効率の良い動かし方を分かっているので、技術的な面でも高いものを出せるし、作品自体の出来も他とはずば抜けたものがあった。
制作手法は、ハドソンの人気RPG「天外魔境」とさして変わらない。だが、頑張っている節は見え隠れするのだが、それ以外の面でかなり差を付けられてしまっている。

問題とされてきたディスクアクセスはスーパーCD-ROMに対応したことで完全に解決した。
待たされるという感覚を感じることは一切無い。
ビジュアルシーンの作画や塗りも3作目になってかなりクオリティがアップしてきて、ひとまず完成の域に達したと言っても過言ではない。

しかし、相変わらずゲーム内容は貧弱で、ビジュアルパートに負けてしまっており、苦しいものとなっている。
行き当たりばったりで強引なシナリオ。しょーもないテキスト群。イベントの見せ方のちぐはぐさなど、いい加減なところが目立つ。
せっかく、キャラクタデザイン、声優と良い材料を揃えたのに、全然そのすばらしさを感じられないのである。

戦闘バランスも適当で、途中のザコより弱いラスボスには泣けてしまう。
また、台詞を勝手に送られてしまうので、設定で表示を早くしていると読み切る前に次の台詞に飛ばされてしまう謎の処理や、
一瞬だけパーティから離脱するキャラが再び戻ってきた時に、何故か装備品とレベルがリセットされてしまうという
かなり酷い見落としバグが残っていたりと、ゲームパートの出来の悪さには殺意さえ覚える。

戦闘システムは色々と新しいことをやっているが、オーソドックスな作りのRPGと比べてたいして違いは無い。
ただ、新システムによって、コマンド入力の手順が増えて、煩わしくなったのは問題。
攻撃のカテゴリをもっと整理して、基本的なコマンドと一緒くたにまとめてしまっても良かったと思う。
結局通常攻撃以外は使うことが殆ど無いわけだし。
敵の配置が適当で似たり寄ったりだったのが逆にいきなり新しい敵だらけだったり、クリーチャーデザイン、名称もださくて印象に残りにくい。
パラメータ調整やバランスのいい加減さなど突っ込みどころ満載だが、なにより一番指摘したいのは攻撃の当たりづらさだ。
4人がかりで、数ターンかけてもちっとも攻撃が当たらない。これのせいで、ちんたら無駄に戦闘が長引いてしまう。
代わりに攻撃魔法はかならず命中するが、消費MPが多く、怒濤の勢いでエンカウントするので、そればっかりに頼るわけにもいかない。困ったものだ。
しかも、エンカウントはどうやら決められた歩数を歩いたらかならず発生するらしく、一定間隔でやたら戦闘にぶち当たる。
さいわい、逃走しやすくなっているのが救いだが、とにかく退屈で、何とかして欲しい。

フィールドマップも新しい試みで町と外との区別を無くしている。しかしこれは逆効果。
無駄にマップが広い上に段差が多く入り組んでいて、前述のエンカウントの高さとあわせて、探索する気になれない。
特別サブイベントがあるわけでも、宝箱がふんだんに置いてあるわけでもなく、ただただつまらない。
似た風景が続いているので、造形を楽しむといったことも出来ず、ゲームの単調さに拍車をかけているだけ。
それと、こういった縮尺なので、フィールドマップの全体像が把握しづらく、どうも足を引っ張ってるだけにしか思えない。
付属の世界地図を見ないとどこにいるのかがさっぱり分からないってのはどうかと。

前作、前々作のキャラクターが登場し、パーティキャラとして操作出来たり、ファンサービスも充実…というよりかは、シリーズ未経験者置いてけぼりみたいなノリがあって、悪い印象を受けた。
どうも4の制作も既に進んでいるらしく、今度は人気が高いらしい1と2のキャラが主人公で活躍するらしい。方向性としては結局そういうほうを狙っているのか?

やっぱりストーリー重視のRPGというよりは、まずアニメ的な演出が出来るビジュアルパートが先にあって、ゲームは二の次なわけだ。
RPGとしての作り込みを放棄するならば、ADVにするなりOVAでやるなり、最適なメディアを選択すべきだ。
骨格となる部分の(ようするにやりたいところの部分)出来は悪くないので、それをもっとRPGという媒体で上手く演出してやることが重要。
さすがにもう3作目だし、時期的にも技術的なハードルなどは低まってるはずだし、4を出すなら出すでしっかり作り込んで欲しい。
半年前に出た「天外魔境2」とこうまで出来に差があると、呆れてものも言えなくなる。

がんばりは分かるが見かけ倒しのRPG。





[2005/10/07]
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