対応機種 | PCエンジン(SUPER CD-ROM2) |
発売日 | 1994/06/10 |
価格 | 7600円 |
発売元 | 日本テレネット |
すっかりPCエンジンではお馴染みのRPG、越智一裕が手がける「コズミックファンタジー」シリーズの第4作目。
4作目は、ソフト1本では完結しない二部構成を採用したり、戦闘がリアルタイム制になったり、「アドベンチャーパート」が導入されるなど、数々の冒険が見られる意欲作に仕上がっている。
まず、「アドベンチャーパート」について触れる。
これは、デジタルコミック風の軽いフラグ立てと、ふんだんなボイスで進んでいく、なんとも豪華な代物に仕上がっている(ボイスに関しては音質の悪さが気になるが)。
が、フラグ立てが渋く、総当りしないと先に進まないのでテンポが悪い。また、ゲーム冒頭にしか、このパートが無い。
ゲームの要所要所で、てっきりこの「アドベンチャーパート」に切り替わると思っていただけに、拍子抜けした格好だ。
(そう言う作りにしてくれれば、かなり面白くなっただろう)
続いて、「アドベンチャーパート」を抜けた先で始まる「RPGパート」について。
「どうしてこれだけ作ってきたのにこんなに出来が悪いのか!!」と言いたくなるほど、全般的に質が悪い。
さすがに、PCエンジンで4作目ともなると、ドットの色使いやイベント演出及びプログラムなど、それなりにこなれた作りにはなっている。
だが、ゲームバランスの悪さ、ゲームシステムと操作性の悪さが際立ってしまっており、ゲームとしては正直かなり苦しい。
エンカウント率が異様に高く、また、ザコ敵もたくさん出てくることが殆どの割に、HPが高いので、中々倒せない。
攻撃が外れる頻度も高いので、必然的にテンポが悪くなる。それに輪をかけて、戦闘時の操作性が壊滅的に悪いので、とにかくストレスが溜まってしまうのだ。
戦闘はスクウェア「ファイナルファンタジー」のようなリアルタイム制なのだが、これには大きな問題点がある。
FFのような戦闘システムを、対面式で強引に再現している上に、仕様が「わかってない」作りになっているために、相当イライラする代物になってしまっている。
通常、このタイプのゲームは、ターンが回ってきたキャラのコマンドが自動的に表示され、行動を選択する。
しかし、このゲームでは、“ゲージを貯める”という選択肢があるせいか、ゲージが溜まったキャラクタを選んでコマンドを開くという一手間が入る。
さらに設定で、時間の流れを変更したりということも出来ない。
これらが何を意味するのかというと、煩雑な操作性によって、本来面白くなるはずのリアルタイム制の戦闘が、逆に煩わしく感じられてしまうのだ。
ゲージが溜まったキャラを素早く選択しないと、戦闘が進まない。
それに輪をかけて、現在どのキャラにカーソルが合わさっているかも見づらく、キャラを選んでいるこの間も、ガンガン敵の攻撃が飛んでくる。
このせいでRPGのくせに、やたらせわしなく、疲れる戦闘を毎回強いられる。
微妙にレスポンスも悪いうえ、メッセージ送りも遅く、Iボタンで飛ばせるのだが、これのせいで勢いボタン連打のプレイになってしまい、やっていてかなり疲れてしまう。
「RPGやってるのに、なんでこんなに疲れなきゃならないんだ!!」と思うこと必死。
細かい所で言うと、フィールド上の村人との当たり判定だとか、メニュー画面のカーソル操作に至るまで、どことなく「動かしていて気持ち良く無い」感じになっている。
全く、どうやれば、ここまで出来の悪いゲームになってしまうのか、疑問に思ってしまうほど、とにかくゲームとしては遊べたものではない。
ダンジョンのギミックがイライラする物が多くイマイチ。情報の与え方も悪く、方角で西と東を間違えているのは致命的といえるだろう。
ただし、相変わらずビジュアルシーンの出来が良い。
もはやこのシリーズの見所はここしかないといっても過言ではない感じかもしれない。
ただ、残念なことに、自慢のビジュアルシーンも、盛り上がってくるゲーム終盤に固まっており、量もそれほど多くない。
ゲーム後半までは、ほとんど、このビジュアルシーンを拝めず、チープなイベントシーンのやり取りしか無いので、かなり辛いだろう。
今作は、二部構成のため、これだけでストーリーが完結しない。物語の全容を知るためには後編も遊ぶ必要がある。その点には注意が必要。
声優に主題歌を歌わせたり、お色気シーンにやたら力が入っている点などから、ゲームとして面白くというより、どこに力を入れればいいのかそもそもわかっている感じだ。
原作持ちゲームではないが、このゲームはまごうことなきキャラゲーといってもいいかもしれない。
(OVAも出しているので、個人的にはもうゲームじゃなくて、OVAでいいジャン、ゲームとしても、RPGじゃなくてデジコミでいいジャンと思う)
そこで結論。
RPGとしては駄作、キャラゲーとしては中々。