ドラゴンボールZ超悟空伝 突撃編


ドラゴンボールを題材にしたゲームというものは沢山発売されているけれど、
全部遊んでいない俺が言うのも難だが、その中でも最も出来が良いゲームだと思う。

時として、原作物のゲームは、その作品によってある程度ゲームとしての「引き」が
必要なこともあると思う。
その点で、ドラゴンボールのゲームは、どれもが浮ついていて、しっくり来る物がなかなか無かった。

これの前に出ていた、2D格闘の超武闘伝もDBの格闘部分をクローズアップした点では
かなりクオリティの高い作品ではあるのだけど、
一方でDBにはDBのストーリーがあって、そこを上手く描けているゲームというのは本当に少ない。
それは、DB以外の原作物ゲームにも言えることだけど。

本作は、DBのバトルもそこそこにストーリーも楽しめますという贅沢な代物。
ストーリーは限りなく原作に沿う形で作られていて、要所要所の選択肢によって
原作とは異なる展開も体験することが出来るようになっている。
このゲームが出た時点では、まだ連載は終わっていないので当然最後まできっちり描けないのは残念でもあるし、
あまりにも原作が長すぎることもあって、SFC用ゲームとしては珍しい二作に分けての発売となっているのだけど。
(その代わり、しっかり原作第一巻の子供時代から描いている)
半年後に発売された後編の「覚醒編」は、突撃編が売れたのかやたらCMも流れていたが、
ちょっとオリジナル色を出そうと欲張りすぎてイマイチな印象を受けた。実際どうなのかはやってないから分からないが。

とにかく、原作への忠実度は半端じゃない。
それでいて、バトルシーンは自分で動かせるのだから、感涙物だ。
シンクロ度が堪らなく高い。
遊んでいて、ああ、分かっているなぁという感触がきちんと得られる。

そして際だって目立ったのが音楽の良さ。
もうだいぶ長いことこのゲームを見てないが未だに旋律を克明に覚えているぐらい凄い。
どの曲も、時には明るく時には激しく、アニメとは全く違う音楽だけど
勿論、原作の雰囲気を壊していないし、コミカルでテンポが良い印象を強く与える。

バトルモードは、どちらかというとRPG的で、
格闘ゲームのような腕は要求されないので気軽に遊ぶことが出来る。
LVとかも無いし、ジャンルはADVなので、雰囲気的な物に留まっている。

全般的に出来がよいのだが、一つ気になったのは
原作に沿った選択肢を選ぶことで増えていく達成度である。
せっかく、原作以外の展開(ちょっとした違いだけだが)も用意しているのに、
これでは原作を忠実に遊ばせようとしているように感じた。
なんというか、それ以外の選択肢が間違いかのような扱いを受けた感じがする。残念だ。
一応、クリア時にパスワードが表示されて後編にデータを持ち越せるので結構気になった。

SFCなので、PCエンジンみたいにビジュアルシーンで見せつけるようなものは出来ず
文章とそれに合わせた背景に簡単な顔グラフィックで進んでいく淡々とした物ではあるが、
これぐらいの方が返ってゲームとしては親しみやすい。



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