ディシディア ファイナルファンタジー


対応機種プレイステーションポータブル
発売日2008/12/18
価格5800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2008 SQUARE ENIX
戻る
Amazonリンク:ディシディア ファイナルファンタジー

ファイナルファンタジーシリーズの歴代キャラクター達が3Dアクションで戦う!!お祭り的なゲーム。
味方キャラ10人、敵キャラ10人、隠しキャラ2人の合計22人が参戦した夢の作品。

各ナンバリング作品から主人公1名、ボスキャラ1名が入っているが、数的には決して少なくないのだが、なんか足りない感じがする。
せめて操作キャラには出来なくてもいいから、なんかもっとゲームに絡んで欲しかった(TIPなんかには結構出てくるけど)。
任天堂「大乱闘スマッシュブラザーズX」では、サポートキャラとして、かなりマニアックなところからも、多数のゲームを参加させていた。

ファイナルファンタジーシリーズは今や外伝や派生作品が非常に多く、収集が付かないとはいえ、FF11やFF12のキャラが隠し扱いになっているのは納得いかない。
FF11はオンラインゲームという特殊なものだからまだいいとして、FF12だって一応本編作品だろう。
キャラクタ性能に個性を出しているのもあって、安易に似た性能を持たせたキャラを出したくなかった思惑もあるのだろうが、そこはプロである。なんとか頑張って作って欲しかった。

ゲーム内容は、広い3Dフィールドを1対1で対決する、対戦アクションである。
レベルや装備品、アビリティをカスタマイズさせるRPG要素も強い。どちらかと言うと1対1になった「三国無双」と言った方が近い気がする。

基本パラメータだけで強さが決まってしまうと、対戦アクションとしてはつまらないという考えからだろう、ブレイブというパラメータが、ダメージを与える数値として、より直接的に機能している。
ブレイブは、レベル差や能力値、装備品から基本的な値が決まるが、敵にブレイブ攻撃を当てて奪い取ったり、逆に敵に通常攻撃をしてダメージを与えると消費され一時的に0になってしまう。
0になった時にブレイブ攻撃を食らうと、ブレイク状態となる。相手にブレイクされると、マップ上に蓄積されたブレイブが入ってくるため、一撃必殺のチャンスを取られてしまう。

こうやってブレイブをいつ使うか(攻撃するか)、相手から奪ってため込むか、駆け引きを楽しむようにデザインされている。

この辺りのシステムも蓄積ダメージ制を導入した(ダメージを受ければ受けるほど画面外に吹っ飛びやすくなり、やられる確率が上がる)「大乱闘スマッシュブラザーズ」を参考にして作ってきたっぽい気がする。
しかし、「大乱闘スマッシュブラザーズ」ほど、プレイヤースキルの差をシステムでなくそうという狙いは、成功してないように感じた。

育成要素を入れてしまった時点で、結局よりレベルが高く、レアな装備品を持ったプレイヤーが有利になるのである。
「ファイナルファンタジー」ということで、そういったやり込み要素も意図して入れているし、対人戦はフェアーな環境で遊べない分、つまらないだろうし流行らないだろう(一応レベルを下げたりは出来る)。

エンディングを見て、そこそこプレイした感じでは、いったんブレイブを溜め込まれると、膨大なブレイブをなくすには、攻撃を受けるしか手が無く(召喚獣に頼る手もあるが、制限が多い)、状況を覆す手段に乏しく、展開が一方的になりやすい感じがする。
それもわかってるのか、クリア後に、状況を一変させるルールをプラスした、コスモスルール、カオスルールといったシステムが追加されるが、最初から入れててもいいぐらいだ。マップブレイブシステムも。
いろいろシステムが複雑になりすぎたから、段階的に遊ばせたかったのだと思うが、どちらかというとチュートリアルの説明がごちゃごちゃ下手くそなだけで、システム自体は複雑ではないと思う。

携帯ゲーム機だと、画面がどうしても小さくなってしまうので、めまぐるしく動く3Dフィールドを舞台にしたゲームは、非常に相性が悪い。特にPSPはアナログパッドの操作性が最悪である(キーコンフィグで変更出来るぐらいだ)。
視点が狭くなってしまうので、つまりは、それにあわせたステージ設計やカメラ配置を求められるのである。
ワイド液晶であるプレイステーションポータブルでは、上下の視認性が悪く、思い切って、全部平坦なフィールドにしてしまうのもアリだと思えるぐらいだ。
敵が見えなくなってしまう。見えないところからいきなり攻撃を受け続ける。これは大きなストレスになる(矢印でガイドはあるが)。

操作性や挙動は、同社「キングダムハーツ」のものを流用しているらしく、見た目こそ違えど、ほとんどまんまだ。インターフェイスなんかどことなく「キングダムハーツ」っぽいところが残っている。
良い点(多数の敵をなぎ払う爽快感、簡単操作で豊富なアクション操作が出せるetc)はあまり継承されてないが、悪い点(ロックオンの追尾性能の悪さ、独特のもっさりしたモーションetc)が妙に目立つ。

しかし、簡単な操作で派手な技が出せて、3Dマップを縦横無尽に駆け巡れる、操作性の敷居の低さは高く評価出来る。
見た目ほど難しいゲームではなく、相手の隙を狙って攻撃するという、いたってシンプルなゲーム性も良い。
ただ、Rボタン押しながらのアクションの使い分けは行きすぎにも感じるが...。その点は惜しいとは思う。極めるまで行かなければそこまで高度な物は求められないので、あまり厳しく指摘はしないが…。

アクションが苦手な人に向けて、コマンド操作だけでキャラクタを操作出来るコマンドバトルモードも搭載されている。が!正直普通に遊んだ方が良い。コマンド入力の方が段違いに難しい。これではなんの解決策にもなっていない。
むしろ最初は「キングダムハーツ」のようにコマンド操作も併用させるつもりだったのではないだろうか?

この点をふまえ、さらに、プレイステーションポータブル用ゲームということを考慮に入れると、総合的に見て、3Dアクションとしての完成度は、かなり高いと言える。

マップは、歴代シリーズの舞台を3D化しているのだが、とくに過去の2D時代の作品は、それっぽく見えない。これは痛い。
マップデザインは、見た目重視で作っている感があり、造形がいまいちなステージが見受けられる。ギミックを沢山入れたのはわかるのだが、だからといって面白くなるわけではない。時に不愉快な気分になるだけのこともある。

キャラクタデザインも、FF7から野村哲也に変わって、7以降はそのままにデザインされているが、それ以前の天野喜考がデザインしていた頃の作品は、今回野村哲也がデザインし直している。
そのせいか、なんか雰囲気が違って見える。バッツなんか誰?という感じだ。
ドラゴンクエストシリーズは、一貫して鳥山明がキャラデザインをしていたので、並べて出演させても違和感が出ないのだが、
その点ファイナルファンタジーは、場当たり的に作ってきたので、こういう作品を出そうとすると、作風の違いがモロに出て、統一性がとれないのである。
そういったリスクを考えると、良くまとめきれた方だと感心してしまう。1や3なんて、もともと特定の主人公が設定されてなかったぐらいだしねぇ。

音楽はシリーズ作品のものをアレンジさせたり、原曲をそのまま入れたりしている。これも「大乱闘スマッシュブラザーズ」の手法だ。
しかし、曲のアレンジの仕方に、バリエーションがないので、似たような音楽ばかりでつまらない。任天堂とスクウェアエニックスの力量の差が感じられる一面である。

客寄せ的にストーリーモードが付いているが、イベントムービーも話もイマイチだし、ゲーム自体もとってつけた感が否めなくて、はっきりいってつまらない。
おまけに、ラストボスが異様に強い。弱いキャラを使っていたというわけでもなく、どうやら普通に難しいようだ。
なにせ、攻略法がゲーム中で披露されるぐらいである。個人的にこれだけで、このゲームの評価が2段階は落ちた。

ただ、このモードがないと、淡々とキャラクタ育成をするだけの作業的なゲームの印象が増すだけなので、あってしかるべきではある。
その中身のクオリティの低さが問題なのである。

プレイ時間や戦闘回数など、条件を満たすとアイテムが得られるミッションという要素はやり込む意欲を出させるものとして面白いが、
ゲームモードを増やしていく(使用キャラを増やす、音楽が増えるetc)PPカタログというモードは、特定のポイントを消費する。
これはゲームクリアするだけで集まるポイント数では、全然足りない。

で結局、行き着く先は、せっせと経験値やポイント稼ぎなのである。はっきりいって、だるい。つまらない。
「大乱闘スマッシュブラザーズX」のクリアゲッターは面白く遊べたものだが、あれもフィギュア集めやシール集めにコインシューターで大量のコインが必要になると、プレイが煮詰まってきて飽きてしまった物だ(それでもかなり長く遊べたが)。

リプレイデータを保存出来て、これまでの格闘ゲームみたいに、単に鑑賞するだけでなく、好きなカット割りに編集出来て(結構自由度が高い)、その動画をわざわざavi形式に変換して保存まで出来る。スクリーンショットも勿論とれる。かなり自由度の高いシステムを導入している。
これはまさに、YouTubeやニコニコ動画などでの宣伝効果を狙った物だろう。
参考までにスクウェアエニックスは、ゲームのプレイ動画は、ゲームの核心に迫るネタバレなどに触れられると困ると主張していたが、基本的に合法という見解を出している(この手の話題はグレーゾーンとしてメーカー自らが普通話題には出さない)。

アドホック通信を使った、対戦モードも充実していて、特に、プレイステーション3を使ったアドホックパーティを強く意識して作られてる印象がある。
じっさい、このゲームでは通信対戦のことをオンライン対戦と呼称している。フレンドカードの存在など、オンライン通信を強く意識している。
しかし、ネットワーク経由で遊ぶには、プレイステーション3が必要で、間口が狭い。これはソフト側でどうにか出来る問題ではないので、KONAMI「メタルギアソリッド ポータブルops」のように、自前でサービスするといった力業をおこなうぐらいしか解決策はない。

全体的にディスクアクセスが長い。そのためメディアインストールが出来るようになっている(あらかじめゲームデータをメモリースティックに入れてしまう方法)。遊ぶ際には、メディアインストール推奨。ギガクラスのメモリースティックも今なら安く手にはいるだろう。

EXモード(いわゆる格闘ゲームで言う怒り状態)の各キャラクタのこだわりや演出の豊富さから見るに、長い発売延期を経て作られただけあって、練り込まれた良くできたゲームではある。
だが、ストーリーモードにしろ、根幹のゲームシステムにしろ、今一歩の感はぬぐえない。惜しいゲームだ。
少なくとも、自分はエンディングの先まで熱心に遊び込む気にはなれなかった。
こういったゲームは続編を作りやすいので、次回作に期待か?出さない方がいいとも思うが。そこで結論。

頑張りは伝わるが、総合的な完成度は低い凡作。





[2008/12/23]
戻る

inserted by FC2 system