山手線命名100周年記念 電車でGO!特別編 復活!昭和の山手線


対応機種ニンテンドーDS
発売日2010/07/22
価格5480円
発売元スクウェアエニックス

(c)1996 2010 SQUARE ENIX / TAITO / 音楽館 / JR
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タイトーのドル箱タイトル「電車でGO!」が久々の登場である。
ハードはニンテンドーDSで開発され、手軽さや間口の広さを重視している。

長いこと新作が作られていなかったが、内容の特性上、おおかたメジャーな路線を出しきってしまったことや、ゲームシステムが煮詰まってしまったことが制作できなかった要因ではないかと思う。
シリーズ初期は、その斬新さが一躍ブームを巻き起こしたほどだったのではあるが、マニアを満足させることと、ライトな一般人を満足させる(新規層の開拓)ことを両立させることは難しく、当時企画力で人気を博しシリーズ化されていった音ゲーなど共々、マニア路線に走っていってしまった。
しかし、「電車でGO!」は割とシリーズ末期まで取っ付きやすさを意識していたと思う。ただ、この手のゲームは一発屋な一面もあり、シリーズとして長く売っていくのは厳しい側面もあった。よくこれだけ売り続けたものである。

今作は、タイトーを吸収合併したスクウェアエニックスからの発売。でもNDS「エストポリス」同様、販売だけでなく、企画・プロデュースもこの会社がやっていると思う。

日本一メジャーな路線「山手線」を完全収録。内回り外回りだけでなく、昔運行していた電車で、当時の景色で走ることも出来る!ゲームボリュームとしては過去作と比べるとちょっと弱いが、敢えて山手線に焦点を絞っているのは良い判断だと思う。

グラフィックは、ニンテンドーDSということであまり期待は出来ないが、ほぼ同等の性能で出していたプレイステーション1の頃と比べると、制作ノウハウが蓄積されていることもあって、裏データを誤魔化したり小技を駆使することで、見栄えはだいぶ良くなっている。
ファンはハイビジョンで精細なディテールで進化した「電車でGO!」を見たいかもしれないが、本作の立ち位置としては正しいだろう。

タッチパネルのみの操作ということで不安を抱いていたが、非常に分かりやすいアイコンをタッチして操作するために、遊びやすい。多分、開発初期はアイコン操作ではなく、直接マスコンレバーの画像をタッチする作りだったのではないかと思う。
それだけでなく、簡易的な操作性に変更できるビギナー操作も導入されている。勿論、本格派仕様のプロフェッショナル操作も選択できる。
従来のプレイヤーのために、意固地にパネルのみにせず、ボタン操作にも対応するべきではないかと思ったが、選択制にすると、やはり新規のプレイヤーが迷うことも考えられるので、これで良かっただろう。

ゲームシステムは、末期の頃は迷走気味でこれといったルールが定着しなかったが、これに関しては一番いい時期のシステムを持ってきていると感じた。洗練されたゲームシステムとはこのことだ。余計な物が無いし、物足りなさも無い。絶妙の位置にあると言える。

ゲームプレイを重ねることで、スコアが蓄積されて、ロールプレイングのようにプレイヤーに設定されたレベルが上がっていったり、車両や駅の解説が入った図鑑が手に入っていく。
Xbox360の実績解除のような勲章・称号システムもあり、たくさんプレイすることでおまけが増えていくのが嬉しい。コンプリートしようと義務的にやると一気に辛くなるが、元々このゲームは今詰めてやり込むのが目的のゲームではない。
スタッフクレジットも、山手線を一周するコースをクリアーすると流れる。ゆるい作りだ。

電車を運転させるだけでなく、山手線検定というクイズモードも搭載され、鉄ちゃんが知識自慢できるのも面白いところだ。勿論、あまり詳しくない人がテレビ感覚で知識を蓄えることが出来る点も良い。

チュートリアルモードも非常に親切丁寧で、全体的にこれまでシリーズを触れたことのない人を意識して作っているように感じた。逆に熱心なシリーズファンにとっては物足りなさが気になるかもしれない。
演出面も割と頑張っており、視覚的な面でのクオリティも割と高いのもポイント。今更新鮮味に乏しいこのシリーズを興味のない人に手にとってもらうのは難しいかもしれないが、ぜひシリーズ未経験者にこそ体験してもらいたい作品だ。
スクウェアエニックスに吸収合併され、悪いイメージばかりもたれるかもしれないが、タイトー時代のマンネリ化してきていたこのシリーズと比べると、企画力は高いと思う。そこで結論。

新たな次元に突入した「電車でGO!」。未体験の人にこそ遊んで欲しい。





[2010/07/27]
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