ドラッグオンドラグーン


対応機種プレイステーション2
発売日2003/09/11
価格6800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2003 SQUARE ENIX / cavia
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スクウェアエニックスが送る、未だかつて無い規模のダークファンタジー超大作。
ナムコでエースコンバットやリッジレーサーを制作してきたスタッフが独立して設立した「cavia」が制作を担当。

三国無双とパンツァードラグーンのシステムを組み合わせ、重厚なストーリーを美麗なムービーで描く、
他社の成功した作品の良いトコ取りというプライドもへったくれもないとってもゴテゴテなゲーム。
予算の関係や、流行に合わないなどの理由からこのような所謂映画的ゲームは久しく見なくなったわけだが、
そこら辺は、さすが映像主義なメーカーだけあって、未だにこういう企画がまかり通るようである。

ゲームのベースコンセプトが絞り込めてないので、どこが楽しみどころか分からない。
ゲームのクリア条件も統一されてないので、ステージごとにその都度支持出しが間の悪い時に入り、ゲームが寸断されストレスが溜まる。
また、頻繁にそういう命令がゲーム側から示されるうえに強制イベントも多く、非常にやらされてる感覚が強い。

地上戦の三国無双パートと、ドラゴンに乗って戦う空中戦のパンツァードラグーンパートの2種類に大別される。
当然操作やルールも全く異なるので、覚えることが多いために取っつきが悪い。
操作方法も決して洗練されているとは言えず、無駄にボタンを使わせてる感じが煩雑さを強めている。
操作性そのものもあまり気持ちの良い物では無く、特にドラゴン搭乗時のカーソル操作の反応が悪く、きめ細かい操作ができない。
視点の動きも緩慢として実にひどいもので、この雑な作りのせいでゲーム終盤の難易度の高いステージで足を引っ張られ無駄に苦戦する。何とかして欲しい。
それから、ドラゴンで地上の敵を一掃する状態では、一定の回数ダメージを受けると強制退出されるという謎の仕様のおかげで果てしなくイライラさせられる。
あまりにこちら側が優位すぎるからという配慮だろう。
しかし、ドラゴンに乗れる状態のマップでは、それに合わせたバランス取りをしているのだから、ダメージを受けるだけで十分にも思う。

当然、ゲームとしての作り込みも散漫で、詰めの甘さから来る大雑把さが非常に気になる。
地上戦では、攻撃の自由度が低く、とにかく沢山の敵が出てきてそれを倒していく爽快感を出したかったようではあるが、
エフェクトは地味だし、取れる行動の少なさからただただ単調になりがちで、ときたま現れるイカサマ的に強い敵との強制的な掛け合いにイライラさせられるばかり。
全般作りが大雑把なせいで、敵との機敏で繊細な駆け引きが出来ず、大味な操作しかできないので
そこに強い敵を出されても面白くなるはずがないのである。
あと、視点操作ももう少し自由にやらせて欲しい。
これのせいで、敵との間合いが取りづらく、とにかく遊びづらい。爽快感どころの話ではない。
敵を倒すと希に回復アイテムが出るのだが、消えるのが早く欲しい時ほど取ることが出来ない。困ったものだ。

難易度設定もあり、イージーとノーマルが選べるのだが、ノーマルのバランスがやや厳しく、初見では苦しい。

装備武器や操作キャラのレベルアップという概念があるが、どちらかというと余計なものという印象が強い。
がしかし、これがゲーム中で最も楽しみとなる要素になってしまっているのも事実。
だからこそ、もう少し成長して強くなったという実感が欲しいものである。

マップが異常なほど広大で、壮大感を得ることが出来る反面、無駄に広いだけという側面もあり、
広いだけで何も無く、造形もありきたりの淡泊なもので、探索の楽しみが薄い。
配置されている宝箱から新たな武器を入手するというようなRPG的要素もありつつ、
そういう仕込みがマップの広さに対してほとんど無いので、実につまらない。
しかも、一つのステージでクリアまでの制限時間が設定されているのはまさに謎で、
好きに寄り道すらさせてくれないという強引さには閉口。

グラフィックは売りの一つだけになかなか綺麗な方で、しかし敵キャラクターの表示がかなり近づかないとされないのは何とかして欲しかった。
また、空中ステージでは一枚絵でごまかされているのがほとんどで、迫力に乏しいのが気にかかったし手抜き臭い印象が残る。

ゲームシナリオがなかなか炸裂している。
ちょっと行き過ぎな感はあるが、大手メーカーだからこそ出来た暴挙だろう。
狂気的な感覚やダークな雰囲気がとてもうまく出ている。
プレイヤーを不愉快にさせる演出を取り込むほどであり、制作者側にとってみれば一か八かともいうべき諸刃の剣的な手法まで使うほどの独りよがりさで
好き嫌いが分かれるだろうが、これは英断であると取りたい。
残念なのは、シナリオ分岐が採用されていて、一周目では絶対に見られないものが存在し、
すべて堪能するにはある程度のやり込みを要求される点である。
ゲーム側で、分岐条件などを教えてくれる親切さはあるのだが、一度エンディングを見た後のプレイはどうしても作業的になってしまう。
この辺り、もう少し工夫が欲しかった。

ゲームの雰囲気に合わせるような音楽はさすがにやりすぎで、不快感を煽るような抑揚のないBGMは単純に耳障り。
ゲーム内容がどうしようもなく救えない描写をしているのだから、音楽で少し引き戻すぐらいで丁度良かったようにも思う。

全体的にB級中世映画のような、渋めな雰囲気は他では見られずなかなか良い。
ただし、ゲームそのものは見た目通りで、もう一がんばり欲しい。
インターフェースも大作ゆえに陥りがちな頭でっかちさがあり、硬く、もうちょっとゲームっぽさを出して欲しかった。

良い意味でも悪い意味でも映画風ゲームです。微妙。





[2004/05/11-2005/06/20]
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