ドラッグオンドラグーン2 封印の紅 背徳の黒


対応機種プレイステーション2
発売日2005/06/16
価格6800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2005 SQUARE ENIX / cavia
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良くも悪くも強烈なインパクトをプレイヤーに残した「ドラッグオンドラグーン」。
2年振りに続編が発売された。
新規作品ゆえ多くの難点も見受けられた作品だが、2作目になってどう変化しているのかも気になるところだ。

全体的に手堅く前作のシステムを強化させているため、意外性は見られないが大雑把さが鼻についた前回より丁寧な印象を受ける。
問題点として指摘された部分のほとんどは解消されている。

この作品は欲張りなごった煮感が逆に各パートの作り込みの甘さに繋がってしまったわけだが、
1作目を踏まえて作られているので、今回はだいぶまともに遊べるレベルまでそれぞれ持ってくることが出来ている。

地上戦では、キャラクターの切り替えが出来て、キャラごとに必殺技コンボが用意されている。
□(通常攻撃)、△(浮かせ攻撃)の2つの攻撃を組み合わせることで、強力な必殺技が発動する(一例として□□□□□や□□□□△などで、タイミングは緩く出しやすい)。
魔法や敵の種類もだいぶ増えており、戦闘での自由度がグッと高まっている。
ただ、必殺技は武器ごとでなくキャラ(系統武器)ごとに数種類なので、ちょっと使っていると全部の技が見れてしまい物足りない(但し使える技は武器の成長具合に依存している)。
敵の動きも編隊単位の機械的なものでなく、個体個体が自然に動き回るので違和感が少ない。
ただし、味方NPCの動きはまだ馬鹿なところが残っており、近くに敵がいないと壁に向かって動き続けるなどおかしな部分はある。
こちらの入力に対しキャラはきびきび動いてくれて、派手になったエフェクトとともにだいぶ爽快感が出てきた。
真三国無双の劣化バージョンと言ってしまっては見も蓋もないが、まぁこれはこれでこのシリーズなりの味が出てきたとは思う。

ドラゴンパートもグッと操作性が向上し、こちらも派手な必殺技攻撃が追加されたことなどでなかなかに痛快な気分を堪能出来る。
対空戦のスピード感もさることながら、地上の敵を必殺技で一掃する快感はなかなかのもので、気持ちよく楽しませてくれる。
しかし、地上戦に比べ、こちらはまだ作り込みの甘さがあり、特にゲーム終盤での高い難易度のステージでそれが足を引っ張っているのは相変わらず問題で、
用意された要素で恐らく想定されていたものより遙かに高度な操作を要求されるバランスには本当にストレスを貯めさせられた。

この理不尽さは空中戦だけでなく地上戦にも言えることなのだが、そもそもが大味なゲームコンセプトに合わせたシステム設計なのに
終盤ではそこの穴を突いたような意地悪なバランス調整が前作同様施されており、インチキ臭いステージの連続は一考するべきであった。
どうして変に戦略性みたいなものを持ち込もうとするのだろう。対処法が分かり辛く毎度毎度突っかかるたびにイライラするだけである。
1vs1で戦うボス戦の出来はそこそこしっかり出来ているのに、これは惜しい。
まぁそれでも、回復アイテムを予め持ち歩くことが出来るようになったので、難易度ノーマルでも前作より易しくはなったと思う。

やはりこの中でも視点関係が最悪で、前作より融通がきくようになったものの、カメラが寄ってしまったのでその分視界が悪く帳消しに。
とにかく敵との位置関係や状況が把握しづらく、回避やバックステップという操作のやりづらさも相まって、この辺りの操作が非常にしづらい。何とかして欲しい。
操作の割り振りがやはり煩雑なので、手元が忙しく非常に疲れる。コナミの「ANUBIS」は、それほど忙しくない操作で色んなことが出来るのに
この落差はなんなのかと言いたくなる。操作性が練り込まれてない証拠である。

あと、いちいち町で買い物するなど場所移動のたびにセーブ画面に強制的に移行するのもなんだか余計なお世話である。

システムの内容は改良されているが、全体の内容に変化がないので、根本的な問題点はそのままである。
例えば、ステージごとのクリア条件がまちまちなため、毎回毎回間の悪い時に指示出しが入りゲームを中断される。
それに伴うあの「やらされ感」も健在。
今回は、クリア目的をさらに豊富にして単調さを解決しようとはかったようであるが、これは逆効果で
敵を全滅させるのが基本なゲームなのに、突然フィールド上で人捜しやフラグ立てに謎解きという破天荒さは混乱するだけ。

グラフィックはリアルタイムポリゴンがさらに綺麗になり、それが逆に時折挿入されるムービー映像を貧相に見せてしまっている(実際あまりクオリティは高くない)。
リアルタイムポリゴンのイベントも、それなりに動きのあるものを見せられるようになったようなので、もっと頑張ってムービーに頼らないように出来れば良かったように思う。

購買層に合わせたのか前作のハードさは薄れ、全体的にガキっぽくおとなしめで平凡なシナリオ。
前作と世界が共通でストーリーも絡めているが未体験でも問題なく、どちらかというと無理に絡めた印象がある。
音楽も前回のがよっぽど不評だったのか普通になり、これはこれで逆に普通すぎてつまらない。
リッジレーサーのコンポーサーがプロデュースしているらしいのだが、それならばもう少し強烈なものを作ることは出来なかったのかという気もする。

前作でもピーターや唐沢寿明という俳優を声優に起用していたが、本作ではさらに俳優をメインに使っている。
これは、今回の場合はっきり言って役者を使うこと自体が話題作りなどの目的に使われている感じで、好きになれない。
実際、原田芳雄以外はどうしようもなくヘタ。
話題作りとしてチョイ役などで有名人を使うことは珍しくないが、ここまでメインキャストが大根役者揃いだと本当に救えない。
このキャストが最善だったとはどうしても自分には思えない。
主題歌が中島美嘉というのも激しく違うと思う。違和感バリバリである。
フジテレビの月9ドラマのような路線をやりたかっただろうか?それにしても、何か違う気がする。

今回もマルチエンディングになっていて、2周3周と遊ばないと全て見ることが出来ない構造である。
しかし、面セレクトが出来なくなっているのは改悪点。データ引き継ぎされたりする配慮はあるが、
あの長い道のりを再びやり直さないとならないのは苦痛でしかない。

そもそもこのゲームで最も面白いのは育成である。それを分かっているから複数キャラを用意したのだと思うのだが。
一回見たストーリーはもう正直どうでもいい。何度も見るほどのものではない。
この辺りをもっと開発者は自覚した方が良い。物語を軸に据えること自体辞めてもいいぐらいにも思う。
進行上、気に入って使い込んでいたキャラが突然使えなくなったりという強制っぷりもイライラするだけ。
てっきり今回も面セレクトが出来ると思っていて、面白かったあのステージやこのステージを何度も遊ぶ気でいたのにゲンナリ。

続編らしく、そこそこ遊べるようになってきたが、まだまだ厳しい。





[2005/06/30]
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