ドラッグオンドラグーン3


対応機種プレイステーション3
発売日2013/12/19
価格7980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2013 SQUARE ENIX / ACCESS GAMES
戻る
Amazonリンク:ドラッグオンドラグーン3

10年前に発売され「衝撃の問題作」という形容がまさにふさわしい内容だった「ドラッグオンドラグーン」。
シリーズ3作目が、実に8年ぶりに発売された。

最初に但し書きをしておくが、このサイトのゲームレビューは、ネタバレをなるべく避けたものにしており、この項目でもその方針は変わっていないが、
終盤のゲーム内容に(なるべくネタバレを避けた書き方にしているが)触れていることを予め断っておく。

制作会社だったキャビアは、2010年に「ニーア」を制作後、会社自体がなくなってしまったため、企画などトップを構成するスタッフは今作でもそのままであるが、
実開発に当たるメーカーは「アクセスゲームズ」が担当している。

アクセスゲームズが開発するということで、あまり期待が持てなかった。
開発会社だけで品定めするつもりはないのだが、「ロードオブアルカナ」「ロードオブアポカリプス」で、ちょっとアレな会社だという印象を持っていたからだった。

やりたいことはわかるのだが、細かいインターフェイスや操作性に難が出るゲームになってしまう傾向があり、今作でもそういった部分が出てしまっている。
主に目につくのが、3Dフィールドマップ上で、ロックオン時のカメラワーク(主に壁際の処理がひどい)、切り替え操作の挙動。
ロックオンターゲットとの間に遮蔽物(オブジェクト)が入ると、強制解除される仕様。なおかつ、その仕様によって、著しく難易度が引き上げられる一部のステージマップ、といった所だ。

後は、この会社的に、据え置きゲーム機のHDゲームを作れるのか?という心配があった。

ゲームは、Unreal Engineを使って作られている。
そのため、このエンジン特有の色が強く出たゲームになってしまっている。

具体的に書いていくと、動作(描画周り)が不安定。
発色が非常にシャープで、そのせいか、エフェクトの表示などが機械的で、どことなく無機質な雰囲気を醸し出している。
爆発エフェクトが重なると、激しい処理落ち(コマ落ち)が起きてしまう。描画の表示が崩れがちなど。
これは、エンジンの問題では無いかもしれないが、ステージマップのロード時間が長い。

前2作は、思いっきり「三國無双」系アクションゲームだったが、今回は、その路線から離れた作りとなった。
1本道のフィールドマップを、敵をなぎ倒しながら先へ進めていく。途中、大部屋があり、敵を全滅させることで、先へ進めるようになるといった構成。

アクションとしての操作性は、「ニーア」に近いものとなっている。もっさりとしたモーションで、少々癖がある。
剣、槍、格闘(拳)、チャクラムの4つの武器を、好きなときに切り替えて戦うことが出来る。
「ニーア」の時は、槍が万能で強いということを書いたが、今作は、状況に応じて武器の使い分けが有効なバランスになっていて、面白かった。

ガードの固い敵には槍で攻撃して豪快に蹴散らしたり、でかい魔物相手には、威力の高い格闘武器で一撃離脱的な戦い方をしたり、これといった特徴のないザコ兵士相手には大剣でなぎ倒す。
チャクラムの使い道に乏しい感じがしたが、このへんは個人の好みによると思う。

3Dアクションとしては、厳しい物言いかもしれないが、正直イマイチだ。
グラフィックは貧弱だし、ステージ構成、敵の配置、動きは悪くはないのだが、どことなく単調さがあり、作業感がある。
ドラゴンに乗って戦うシューティングステージも、PS3のゲームにしては地味で、爽快感に欠けている。

サブミッションのバリエーションも乏しく、厳しい制限時間内に一定数の敵を倒す、同じく時間内に固い宝箱を壊してアイテムを取る、後は闘技場のサバイバルの3つだけ。
ゲームとしては、質・量ともに、物足りなさは否めなかった。

しかし、ストーリーはなかなか面白い。
事前情報を全く見ずにプレイしたが、意外性に富んだシナリオ、設定。王道から外れたゲーム展開、人間としてのたがが外れた狂ったキャラクターたち。これぞドラッグオンドラグーンといった所だ。
ただ、その新鮮な面白さも、最初のエンディングを迎えて以降、失速してしまったように思う。
また、面白いと言っても、メタ的演出と下ネタに終始頼りがちな節があり、このへんのやり方には、好き嫌いが分かれそうだ。

このシリーズではお馴染みのマルチエンディング方式だが、今作では、全てのエンディングを見るまでが一本のゲームといった形になっている。
最後のエンディングを見るためには、これもシリーズ恒例となっている、武器をすべて集めるという条件が課せられている。
ただ、作業量的には、それほどキツくは無い(お金も闘技場ミッションを1周するだけで結構貰える)。しかし、サブミッションをクリアすることでもらえる武器もあり、それを攻略するのがアクション慣れした人でないと、やや辛い感触があった。

ネタバレを避けて書くが、ラストステージが本当に難しく、正直言って、何度も諦めかけた。
分かる人だけに書くようにするが、小細工を使ったり出来ず、正攻法でやらなければならないようになっているのだが、カメラワークなどの演出が意地悪で(それが何を意図してやっているのかも理解している)、とにかく難しい。
これだけ、突き放した難しさにすると、諦めて挫折する人も多数出ると感じた。個人的にも、諦めるというより、リトライ時の長いロード時間とデモ画面も合わさって、飽きた、付き合ってられないという気持ちになりつつあった。

最初のエンディング以降、物語の核心に迫るため、ゲームを進めていくが、これといった中身がなく(もちろんそれなりの伏線の謎が明かされたりはあるのだが)、それは最後のエンディングまで見ても、苦労した割には大した内容がなかったのが非常にガッカリだった。

冷たい見方かもしれないが、今作の「ドラッグオンドラグーン」というゲームは、こういうことをやれば喜ぶだろうというスタッフの浅はかな考えが透けて見えるような部分が節々に見えて、あまり好きになれなかった。
狂気を描いた世界観やセンスは、それなりの魅力はあるし、独特の台詞回しなどは、他では見れない面白さが漂っているのだが、どことなく中身が薄い。時間と労力をかけた割に、得られたものが少ない感じがした。

だが、先ほど書いたラストステージは、シチュエーションと演出が非常に凝っており、高揚感あふれる作りで、クリアした時の達成感もひとしおであった。

ある意味、期待通りのゲームではあるが、3作目になっても、どこか期待を外すところは相変わらずで、ちょっとさびしい。
ただ、王道路線に飽きた、奇妙で変わったゲームを求めている人には、楽しめるものになっていると思う。

トロフィーについて普段あまり言及しないが、トロフィーリストのバランスがいい。全エンドを見た辺りで9割のトロフィーを自然と取れる内容で、残り1割は頑張れば取れるものとなっている。
たいていのゲームは難易度変えて2周しなければいけなかったり、不毛な作業をこなさなければいけないトロフィーが多くやる気にさせるゲームは少なかった。
そのため、トロフィー収集にあまり興味をもてず、ノベルゲーム以外はプラチナトロフィーを意識して取るまでやらないのだが、このゲームは、プラチナトロフィーまで取ってやりたいと思った。
そこで結論。

ゲームとしてはイマイチだが、ありきたりなゲームに飽きた人には、それなり。





[2013/12/24]
戻る

inserted by FC2 system