ドラゴンクエスト10 おでかけモシャスdeバトル


対応機種ニンテンドー3DS(ダウンロードソフト)
発売日2012/12/12
価格600円
発売元スクウェアエニックス

(c)2012 SQUARE ENIX / ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / KOICHI SUGIYAMA / ORCA
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ドラゴンクエスト10と連動したダウンロード型のゲームソフト。
発売直後に、「おでかけ便利ツール」というアプリが無料で配信されているが、今後も有料でこのようなラインアップが増えていくと思われる。
(余談になるが、体よく小銭稼ぎしたいというのもあるだろうが、それよりも、このゲームの運営方針的には、途切れずに話題を提供したいという意図の方が強い気がする)

カメラ機能を使って、顔を撮影すると、その顔に合わせた(近いと思われる)モンスターがゲーム上に誕生する。
モンスターには個体差があって同じ種族でもパラメータが違ったり、使える特技、(性能には無関係と思われるが)性格がそれぞれ設定される。
撮影する前に、レンズを選択する。ゲームを進めると、新しいレンズが手に入り、(ゲーム中で選択した)レンズによって、同じ顔でも異なるモンスターになる。
当然先に進めて、手に入れたレンズのほうが、候補となるモンスターが強いものになっている。

ゲームの流れとしては、予め用意されたドラクエ形式のターン制パーティバトル(最大4vs4)を攻略する。
そして、特定のボスを倒すともらえる、より強いモンスターが生まれるレンズを入手して、強いパーティを作成し、先へ進めるという繰り返し。

もちろん舞台は、ドラクエ10のアストルティア大陸だ。
おなじみの5大陸に加え、レンダーシア(オフラインモードのエリア)の全6エリアで、1エリア8ステージあるので、全部で48ステージという結構なボリュームだ。
今後、配信ステージも追加されていく予定で、既に「ジャンプフェスタ2013」と「スライムのおへや」の2つが配信されていて、実質、全50ステージだ。

ただし、追加ステージは、特定の画像をカメラで撮らないと遊べないようになっており、「ジャンプフェスタ2013」はイベント会場に行かなければ遊べない(これは後日誰でも遊べるようにフォローされる)。
「スライムのおへや」も、サイト上の画像を撮影する必要がある。
これら2つのようにわざわざ画像を撮影しなくても、そのまま遊べるステージも配信されるようだ。

ドラクエ10の戦闘BGMが使われていて、登場モンスターも勿論ドラクエ10からのものだ。終盤では、本編でお馴染みのボスが登場して戦えたり、雰囲気はなかなか出ているといえる。
ただ、ステージや敵の配置が、並行して開発していたからか、イマイチわかってないなあってところがあって、それだけが残念だった。
例えば、プレイヤーの間で有名になった、トンブレロやピンクモーモンが敵として出てこないとか、舞台となるステージの順番が、ドラクエ10本編で通常訪れるだろう順番とかけ離れていたりなど。

カメラ機能を絡めた部分は、技術的には面白いし、良く出来ているのだが、ゲーム的には、勝てるモンスターを作るために、何度も顔を撮り直すという作業がかなり辛く、全く面白いと思えなかった。
中盤ぐらいまでは、適当でもクリアできる難易度だが、終盤になると、かなり難度が上がって、厳選しなければクリアが不可能になってくる。

また、肝心の戦闘シーンが面白いかどうかというと、安価なダウンロードタイトルだからしょうがないのではあるが、値段相応のミニゲームレベルで、特筆する面白さはない。

少し踏み込んで解説すると、個体差のあるモンスター同士がパーティを組んで戦う点から「ドラクエモンスターズ」にかなり近い。でも対戦モードがなく、一人用のモードしか無い。
また、自由度や戦略性の面に関しても、割と作りこまれているのだが、物足りなさは否めない。

モンスターは、「たたかう」の他に1つ特技を覚えていて(種族によって覚える特技が3,4つ決まっているが、そのうち使えるのは1つだけ)、戦闘時に「戦う」「特技」を使い分ける。
当然ながら、敵にはそれぞれ弱点属性や防御属性が設定されているので、得手不得手が存在している。

どんなに素早さが高くても先頭に配置したモンスターから順番に行動するので、パーティの並び順を工夫する。
それから、「おうえんゲージ」があり、コマンドを選択する、ダメージを受ける、などで溜まっていき、ゲージが満タンになったら、「おうえん」を行うことが出来る。
倒れたモンスターを復活させたり、味方モンスターのテンションを上げたり出来る。これを任意のタイミングで発動する。

なんだか、ちょっと作りこめば1本のゲームとして売れそうな感じはするが、既に遥かに優秀な「ドラクエモンスターズ」というものが出てしまっているので、この方向性で作品を作るのは難しいと思われる。

最後に、このゲームの存在意義についてだ。
ドラクエ10をやってない人が、このゲームを遊ぶことは考えづらいので、メインターゲットは現役でドラクエ10を遊んでいる人ということになる。
特定のステージをクリアすると、ドラクエ10本編に持ち越せるアイテムが報酬として手に入り、アカウントを紐付けしておくことで、そのアイテムを送ることが出来る。

この報酬が、はっきりいってショボいと言わざるをえない。少なくとも600円払ってまでして「買う」報酬ではない。
まず、特定のステージをクリアするともらえるラッキーチケットは、ドラクエ10内で使うことで特定のアイテムにランダムで変化する。運が良ければ高めの素材に化けるかもしれないが、およそゲーム外で苦労してまで手に入れる程のものではない。
もう一つは、1エリア(大陸)のステージ8つを全てクリアした際に手に入るのが「ちいさなメダル」で、全部攻略すると6枚手に入ることになる。

ちいさなメダルも、レアアイテム扱いではあるが、本編のゲーム内で頑張れば手に入れることができるので、わざわざ外部のゲームをプレイしてまで欲しいと思える代物ではない。
ここは「エグい」と非難を浴びるかもしれないが、このゲームをプレイしないと手に入らないアイテムを最低1個ぐらいは用意しておくべきだと思う。そうじゃないと、はっきりってこのゲームを買う価値がない。

最大の不満点は、ゲームバランスを気にしてか、手に入れた報酬は1日1個しか送ることが出来ないことだ。
こっちのゲームでいくら頑張っても、1日1個ずつしか送ることが出来ない。
ご褒美の方は、今後の追加ステージで改善の見込みはあるが、これだけ不便だとわざわざお金出してこのゲームを買おうとは思えない。

クリア報酬に重点を置いたいびつなレビューになってしまったが、これはそういう位置にあるゲームと解釈している。

なお、ダウンロードソフトにしては容量がデカイ(約2600ブロック)ので注意。後、立体視対応と書かれているが、通常のゲーム画面では対応してない気が(カメラ撮影の時だけという感じ)?そこで結論。

今後のテコ入れにもよるが、金出すほどのものではない。





[2012/12/17]
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