ドラゴンクエスト6 幻の大地


対応機種スーパーファミコン
発売日1995/12/09
価格11400円
発売元エニックス

(c)1995 ENIX / ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / HEART BEAT
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人気ロールプレイング「ドラゴンクエスト」のシリーズ6作目。
今作は、ダーマ神殿でキャラを転職させ、沢山の特技や呪文を身につけていくゲームシステムを売りにしている。

前作から3年経ち、様々な面で洗練されてきた感じだ。
マップ上の歩行速度が上がり、グラフィックは細かいディテールまで書き込まれ、戦闘では敵キャラクターが攻撃に合わせて動く。
全体的にシリーズとして一回りグレードアップした感じだ。

マップチップは豊富になったものの、調べられるもの調べられないものが一目見ただけで一目瞭然なのは、さすがドラゴンクエストと言わざるを得ない。
グラフィックは、多重スクロールなどもうまく活用し、立体的に見せており、ダンジョンもバリエーションが豊富である。
しかし、映像の緻密さや演出面は他のゲームと比べるとイマイチ地味目なのは否定出来ない。

今回の冒険のテーマは「発見」ということで、筋道立てたストーリーがどっしりあるわけではなく、自分の足で情報を集め探索することに比重を強く置いている。
ある程度ゲームが進むと、自由度が一気に広がり、かつ、具体的な目的地なども言われないので、自分で考えて行動していく。割と古風なスタイルの構成である。
ここまではまだ、やりたいことはわかる。町の中で得た情報を記憶する「おもいだす」という機能を使ったギミックも面白いと思う。紙などにメモしないで済むし、プレイヤーに変な負担をかけさせない点も良い。

だが、2つの似た世界を行き来するという舞台が、プレイヤーを訳もなく混乱させている原因だと思う。
もっと明確に、世界観の違い、味というか色合いのようなものが出せれば、面白くなったんではないだろうか。

これといった物語が無く、各地で細切れのサブイベントのような展開をするので、ゲームを終わらせた後に、残る物が無い。
これまでのドラクエだと、何かしらインパクトのあるシーンがあり、クリア後にもそれを思い起こさせるものが必ずあったのだが…。
いわゆる、世界を救う必然性が乏しい感じがする。不思議な2つの世界を探索して、気が付いたら最後のボスだったという感じだ。
それも、行ける場所がいきなりドカッと広がるので、本来開発者が想定していない順番で攻略してしまって、ゲームバランスを悪く感じてしまいがちである。

割と個々のイベントは、良くできているのだが、演出が薄味過ぎるのか、構成が下手くそなのか、印象に残らず、かなりもったいない。

本作は、ドラクエ3にもあったダーマ神殿があり、そこで何らかの職について、戦闘回数を重ねると、その職業に応じた特技を覚えていく。
ドラクエ3とは異なり、転職してもレベルが1になるといったデメリットはなく、色々な職業の熟練度を上げていき、様々な特技や呪文を習得してキャラクターを強くしていくという成長システムである。
なんだか、スクウェア「ファイナルファンタジー5」のジョブチェンジシステムを半端にまねした感じで、オリジナリティが無い。
堀井氏が言うように、色々な技を集めていくのは面白いのだが、数の割に実用的な物が少なく、しかも似たような技が多い。

職業は多からず少なからずという絶妙な位置にあるのだが、結局みんなが育ってくるゲーム後半になると、似たり寄ったりのキャラになってしまう。

しかも特技の数が多いということは、コマンドが多いということである。
つまり、戦闘時に選べるコマンドが多く、テンポが悪くなってしまうのである。
さらに困ったことにコンピュータがかなり優秀なので、コマンドを選ぶのが面倒くさくなって、結果コンピュータ任せの戦闘になってしまう。勿論わざと馬鹿に作られても困るが。

半端に当時のRPGの風潮に影響を受けて、ドラクエのいつもの良い部分が相殺されているような印象を受けた。
全体的に「うーん」とうなってしまうような出来映えだ。

ちなみに堀井氏は当時のインタビューで「ドラクエ2並に難しくした」と語っていたが、難しいというよりは大味な作りに感じた。

ゲーム的に色々出来ることを増やしてみた物の、どれも見たことある物ばかりで、光る物が感じられないゲームである。そこで結論。

丁寧な作りではあるが、凡作。





[2010/02/07]
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