ドラゴンクエスト7 エデンの戦士たち


対応機種プレイステーション
発売日2000/08/26
価格7800円
発売元エニックス

(c)2000 ENIX / ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / HEART BEAT / ARTEPIAZZA
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待ちに待った国民的人気RPGドラゴンクエストの第7作目。
制作発表が1997年春から、発売は延びに延び、2000年夏になってようやく発売された。

PSになって、フィールドを全てポリゴンで表現している。
「グランディア」や「ゼノギアス」と同じスタイルだが、これらよりカメラは引き気味で
視界は広いが、意図的に物陰で隠してしまっている箇所があり、カメラを回転することで
隠れている宝箱やツボを発見させるよう促す作りになっている。

これは正直言って、少しうっとうしい。
カメラの回転速度もあまり速くなく、R1L1では押したぶんだけカメラが回転するが
はっきりいってR2L2の45度ごとに回転してくれるもののほうが断然使い勝手がよい。

また、マップモデリングはドラクエらしさを第一に考えているのか
ただそれまでのマップを立体にしただけで、平坦なマップが多く
もうひとつ造形に拘って欲しかった。世界が薄っぺらでつまらないのだ。
ゲーム後半になると、若干面白い3Dならではのものも出てくるが、まだまだ数が少ない。
この程度ならば従来の2Dのドットスタイルでも問題ない具合である。

制作期間の長さに比例するように、ゲームのボリュームも相当な物で、
ディスク2枚組で、クリア時間平均100時間という巨大さである。

シナリオに関しては、終盤を除き、オムニバス形式で構成されており、
石版のかけらを集めて完成させる、石版に描かれた昔の世界の事件を解決、現代に復活している世界で石版探し
この繰り返しである。
ストーリーの質そのものは、従来のドラクエシリーズ同様、非常にクオリティが高いのだが
問題なのは、石版の中に用意されている世界がある程度決まり切った分量で、
全体的にパターン化がなされてしまっていて、先もある程度読めてしまう物が多い。
また、世界が完成されてくる後半以降までは、伏線を敷くという気の利いたことも無く
ひたすら細切れのシナリオを渡り歩くということで、正直マンネリになる。
いくら質の高いシナリオといっても、こればっかりでは退屈になって飽きてしまう。

また、いよいよもって堀井雄二の脚本の古くささが際だってきた。
全体的にジジイ臭いのだ。

仲間に話しかけるという新システムも入っているのだが、
仲間になるメインキャラクター達が、どーしようもなくつまらない人たちばかりで面白くない。
また、シナリオが巨大なせいで、せっかく話しかけてみても返答がない場合も多く、
結局あまり活用せずに終わってしまった。

また、6で失敗した感の強い転職システムが、まったくそのままの形で入れられている。
これには失望するばかり。
軸となる戦闘システムが変わらないということは、やっていることは前作と同じであって、
新鮮味に乏しく、意外性が無くつまらない。
相変わらず、膨大な特技、呪文はさらに増え、バランスを崩す一部の特技以外は使われないという
失態は6そのままである。
魔物を仲間にするシステムは廃された代わりにモンスター職につける要素が用意されたが
手間の割に全く使えない。取って付けたような感覚にガッカリ。

一部でドラクエらしくない不親切さも目立ち、ストレスが溜まることも多い。
ストーリー上の強制で、いきなり移動場所を制限されたり(ボスを倒さないと解除されない)、
仲間の一人がいなくなって、そのままずっと戻ってこないなど、なんだかドラクエらしくない。
バランスの取り方も明らかにいい加減な箇所もあり、もう少しなんとかならなかったのかと思う。
4人パーティなのに、仲間になるキャラが最終的に5人というのも今ひとつすっきりしない。
一人あぶれてしまうのだ。外したキャラには当然の如く経験値が一切入らない。
どうせならバッサリと切り分けて4人に絞るべきだった。

絶対に譲れない部分として言われていた、ディスクアクセスを感じさせない作りを実現している。
画面の切り替えや戦闘の切り替えが非常に早く、CD-ROMであることを感じさせない軽快さは凄くいい。
しかし、プログラム的にかなり無理をしているのかフリーズバグに遭遇することも多く、残念。

また、プログラム部分で割を食ったのが音関係で、音楽、特に効果音が安っぽくなってしまって
どうも違和感が残る。
音楽もSFC版の時に比べ貧弱になってしまい、がっかり。
音楽自体は悪くないのだが、重厚感がそがれていて、聴き応えに劣る。

オープニングなどムービーシーンが挿入されているのだが、この質がどうしようもなく悪い。
どうしてこのような水準になってしまったのか。
統一感も全く無く、取って付けたようなものではっきりいっていらない。

6ではシステムが肥大化されたが、今度はボリュームの肥大化でだいぶ粗雑な面が目立って見えるようになってきて
本来ドラクエで魅力的に感じられた、きめ細やかさがどんどん薄れていってしまっている。
見落としで石版のかけらが集まらなかった場合の足止め感も理不尽である。

RPGとしての一定水準はクリアしているが、ドラクエという括りでは、妙な違和感が残る。

シリーズの方向性を見失いつつある凡作。





[2004/03/01-2005/02/02]
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