ドラゴンクエスト9 星空の守り人


対応機種ニンテンドーDS
発売日2009/07/11
価格5980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2009 SQUARE ENIX / ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / KOICHI SUGIYAMA / LEVEL-5
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国民的人気ロールプレイング「ドラゴンクエスト」シリーズ9作目がニンテンドーDSで発売だ!
ナンバリングタイトルでは初の携帯ゲーム機への供給は、様々な波紋を呼んだ。

発表会の時は、ネットワークRPGを意識した、アクション性の強いゲーム内容で、シームレスなバトルシステム、直接的に明言しなかったものの、Wi-Fiを活用した協力プレイを全面に押し出したものであった。
しかしその後、その革新的な構想はほとんどが頓挫、従来のコマンド型戦闘に戻り、発売直前には、ネットワーク通信プレイも、Wi-Fiには対応せず、ローカルなワイヤレス通信限定のものになってしまった。

以前から、堀井氏はネットワークRPGに興味を持っており、また、自身の代表作である「ドラゴンクエスト」にその面白さを組み入れたいと思っていたのは周知の通りだろう。
それが、「ドラゴンクエスト7」から導入されたパーティメンバーと会話出来る「話す」機能や、「ドラゴンクエスト8」のような、等身大の広大なフィールドマップである。

今作ではその欲求を、DSというメディアを借りて、十二分に発揮したかったのではないかと思う。
しかし、完成品の、発表時と比べて無難なゲーム内容を見ると、あまりに堀井氏の理想が高かったことがわかる。

まず、構想通りのゲームだった場合、Wi-Fi協力プレイを前提としたら、ソロプレイはどうなるのか?シームレスバトルになじめるのか?ストーリーは?という疑問が出る。
それに対して、どんなユーザーでも楽しめる内容にすることを念頭に置いた場合、どう折り合いを付けるかで非常に苦労したのではないかと思う。

今作は、平たく言えば、「ドラゴンクエスト3」のように、ルイーダの酒場で仲間を集い、物語を進めていく体裁に落ち着いている。
さらに、職業を決める以外に主人公や仲間は顔や体格など見た目のキャラメイクが出来るようになっており、装備品一つ一つが見た目に反映されるなど、かなり凝った作りになっている。
しかし、キャラメイク自体の自由度はあまり高くない。
ゲームバランスを取る関係上なのか、最初に主人公の職業が選べない(旅芸人で固定である)というのも何とも…。
すぐさま転職出来れば良かったものだが、転職するまでにも少しストーリーを進めなければならないので、手間がかかる。

この関係で、7から続いてきた、仲間と話すという要素が無くなってしまっている。
その代わり、ナビゲーションキャラとしてサンディという妖精が色々喋ってくれる(まぁ前作にもこの役はいたが)
このサンディというキャラは、いわゆる渋谷系ガングロギャルである。
ゲームの購買層を考えると、開発者の立場から普通はこういう色モノキャラは避けたいものである。
が、敢えて起用してしまう堀井氏の力量は凄いと言える。
はきはきとした自己主張の強いキャラで、前作のジジイに比べれば、なかなか面白い際だった感じが出ていて良い。

本編タイトルでは初めて、シンボルエンカウントを採用している。これによって、ゲームがテンポ良く進めることが出来るようになった。
後述するが、クエスト(サブイベント)などで戦いたいモンスターを探して好きなモンスターにバトルを仕掛けられるので、そういう面でのストレスはかなり減った。
反面、エンカウントによってこれまでのシリーズで取られていた、お金や経験値の絶妙な与え方については、このシステムでは崩壊したと思っていい。

通信対戦の仕様上、メニューを開いていても、時間が止まらない(この状態で戦闘に入ることは無い)ようになっている。
そして、敵シンボルは、DSの性能上プレイヤーの周りにしか出現しない。そのため、回復をしようといったん立ち止まると、その間に敵が周りに一斉に出現し
ぶつかりやすくなってしまう。この辺もう少しうまく処理出来なかったものかと思う。
逆に、常に動き回っていると、敵が出現しきる前に通過出来てしまうので、そのぶん危険性が減るようになっている。
不公平な気もするが、あまりしつこく敵と戦わされても、シンボルエンカウントの利点が損なわれるので、こんなもんだろう。

バトルバランスは、かなり急勾配である。本編はボス戦が非常に多く、また、2回行動するボスがかなり多い。
堀井氏自ら、「意図的に難しくしました」と言っているだけに、すんなり進めるような作りでは無い。
今作は作り込まれたサブクエストを遊んで寄り道をしたり、友達と相談したり実際に協力したりして遊んで欲しいのだろう。

また、近年のドラクエでは、ゲーム後半になると充実してくる、全体補助、回復魔法のたぐいがなかなかそろわない。
パラメータの伸び(特にHP)もあまり良く無く、ゲーム終盤に至ってもあまり強くなった感が無い。
クリア後のやり込みや協力プレイを意識した、意図した不便さなのだろう。
確かに最近のドラクエは、終盤になると色々と呪文や特技がそろい、便利になりすぎた感があった。
シリーズ恒例の便利アイテム「賢者の石」も、普通にやってては手に入らない。

1ターンで2回行動するボスばかりなのが、なんだかインチキすぎる気もしないでもないが、それでもなかなかバランスが良くとれている。
このあたりは、さすがドラクエと言いたいところである。
経験値稼ぎやお金稼ぎも、割と楽に出来るようにしており、足止め感やストレスを感じるところは少ない。

バトルシーンは、なかなか頑張っている。横並びの対面式ではなく、バトルフィールドを敵味方入り乱れてランダムで動き回っているという演出技巧を用いている。
これはPS2「ワイルドアームズ3」で、用いられていたものだが、欠点として、動きの不自然さが挙げられる(敵の目の前を通って味方を回復するなど)。
そういったものはとりあえず置いといて、ニンテンドーDSというハードでこの技巧を実現してしまったことにひとまず拍手したい。
かなりきつそうだが、軽快に動いてくれて、戦闘のテンポを乱すこともなく、見た目にも単調さを払拭している。非常に頑張っている。
出現する敵の数も、こういう演出を入れてしまうと、沢山出現させるのが厳しくなってしまうが、それでも最大で3〜5体ぐらいは頑張って出現させている。

また、各職業ごとに必殺技が用意され、条件を満たすと使えるようになるが、条件に関しては伏せられている。
単純にダメージを受けた、与えたではなく、どうやら複数の条件があるようである。

フィールドは、見下ろし型で、プレイヤーキャラクターとイベントにかかる重要なメインキャラクター、敵シンボルはポリゴンだが、町の住人はスプライト表示である。
違和感の出る仕様だが、描画能力が厳しいからだろう。パッと見、違和感を感じさせないように頑張ってはいるが。
若干視点を操作出来るが、そもそもしないで大丈夫なように作っている。どうでもいいキャラをスプライト表示にするぐらいなのだから、
マップの裏データは相当削ってごまかしているはずである。

何度か出てきているが、「ドラゴンクエスト」では初めて、クエストが導入されている。まぁ、いわゆるサブイベントみたいなものだ。
特定のアイテムを渡す、モンスターを数体倒すなど、話を聞いて受けることでリストに載っていく。
今回は、このクエストにかなり力を入れているらしく、新規クエストをWi-Fiで一年間配信すると発表されている。
「ドラクエ7」からやってきた、中古対策の一環でもあるのだろう。

だが、フラグの管理が出来ないのか、受けられるクエスト数に制限があるのが残念。
とりあえず受けておいて、まとめて消化するということが出来ない。古いクエストはその場で破棄することも出来るが、なんとか頑張って制限無く受けられるようにして欲しかったものだ。

ネタバレになってしまうが、本編のラストボスを倒しても、ドラクエでは初めてエンドロールにFinと表示されない。代わりに「To be continued」(続く)と表示される。
なんといっても今作の売り文句が「終わることのない冒険が、はじまる」である。
クリア後も、新たなクエストや、レベル上げやアイテム集めなどを楽しんで欲しいのだろう。エンディング時に気になる伏線を付けて終わるほどである。
ここまでやられると、なんだかあざとすぎて引いてしまう。「ドラゴンクエストモンスターズ」ではいつもこういう作りではあるが、本編でここまで露骨にやって欲しくなかった。

また、前作には無かったが「ドラクエ7」で入れて反感を買ったCGムービーが、今作ではセルアニメムービーに形を変えて挿入されている。
はっきりいって、ドラクエでムービーを入れる利点はあまり無い。圧縮のかけすぎでカクカクしているし、はっきりいっていらなかった。

インターフェイスはかなり練り込まれており、ゲーム初心者でも気兼ねなく入っていけるように表現なども工夫がなされている。
一例を挙げると、たとえば補助魔法の効果文の表示が数値から「少し あがった」という表記に変わったり、買い物をしたときに、店員が「袋がいっぱいですよ」とわざわざ説明してくれたり、
また、移動魔法のルーラの消費MPが0になっている。

北米版「ドラゴンクエスト8」のアイコン型インターフェイスが、装備画面で導入されている。
装備品のリストがアイコンで表示され、そこから選ぶのだが、アイコンじゃ、何の装備品かわからない。やっぱり従来の文字で表示されたものの方が断然使い勝手が良い。
メニュー周りに関しては、一貫性を持たせるべきだ。

操作系に関しても、タッチパネルにも対応しているし、ボタンだけでも遊べるし、さすが超大作ソフトだけあって、隙のない完成度だが、
錬金のメニューで、レシピメニューを消す/出す時の操作がL,Rなのが気になった。

このゲームは、極力L,Rボタンを使わせないようにしており、装備メニューや強さ画面のキャラ切り替えの時もYボタンで順送りにするぐらいなのだが、
なぜか錬金画面では、Yボタンが錬金画面から抜ける操作にあてがわれている。
それ以外はきわめて良好。きつそうな動作をしていても、レスポンスには影響が無く、快適に遊べる。

「ドラクエ8」で導入されたスキルポイントシステムも、レベルアップ時以外に好きな時に振り分けられるようになり、ポイントごとに手に入る能力があらかじめ表示されていたり、
錬金は、場所が限定されたものの、コマンドを選ぶとすぐ完成するなど、些細な面での改善点も目立つ。

強いて言えば、変なところでドラゴンクエストシリーズの古風な面を引きずってるのが気になった。
戦闘でしか使えない特技や呪文は、戦闘中じゃないと説明文が読めなかったり、スキルポイントリストで、技名は見ることが出来ても効果が確認出来ない等。

しかし、残念なのは、公の場でも堀井氏が口にしているが、容量の関係で削った箇所がなんとなくわかってしまうところだ。
ゲームの分量的には、濃いプレイヤーだと物足りなさを感じてしまうかもしれないが、個人的にはこれぐらいでもさっぱりしていて良いと思う(クリア後遊ばせたいなら尚更)。
だが、削ったところが遊び手に悟られてしまうのは駄目だ。「ここ削ったな…」と感じさせてしまうと、どうにも冷めてしまう。

他にもDSの性能の関係もあって、断念したようなところが多く見られる。
ゲームとしてはシェイプアップされていて、単純になって遊びやすい反面、やはりしょうがなく諦めたってところが伝わって来てしまうと、どうしても物足りなく感じてしまう。

まだ本作が発売される前から、続編である10はWiiで出しますと、堀井氏が発表してしまった。
現状の流れで行くと(一番普及しているハードで発売する法則から考えると)、Wiiで発売するのは予想出来るのだが、堀井氏自身が言ってしまうことに衝撃を覚えた。

やはり、今作の発表会で本来やりたかったドラクエ9を、続編の10で実現させたいという意気込みの表れなのだと思う。
技術的に9の段階ではつらかったかもしれないが、10では是非やってもらいたいものである。

まあ、今作もかなり頑張ってはいる。ワイヤレス通信では破綻無くかなり自由度が高く遊べるように作られているし、
クエスト配信に加え、Wi-Fiショッピングなど、DSの機能をネットワーク関連を含め、非常に使いこなしている。

久しぶりに長文になってしまったが、やはり一言で語り尽くせない作品である。
紆余曲折あっても、これだけクオリティの高い作品を出せるというのは凄いことだと思う。そこで結論。

これをステップアップに本当の進化を遂げた10に期待。勿論9も面白い。





[2009/07/21]
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