ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ


対応機種プレイステーション4
発売日2016/01/28
価格7800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2016 SQUARE ENIX / ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / SUGIYAMA KOBO
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一言で言うと「マインクラフト」のドラゴンクエスト版。

「マインクラフト」は海外産のインディーズゲーム。
サンドボックスと言われる言葉を生み出し、(ゲーム上で)物を創るという楽しさを世に知らしめ、主に動画サイトを中心にその面白さが広まり、一大ムーブメントを築いた作品だ。
最初はPCのみだったが、後にコンシューマー機だとXbox360/XboxOne、PS3/PS4/vita、Wii Uへ移植されるほどの勢いを見せている。

レゴブロックのような正方形のパーツだけで構成される世界に、ほとんど制限なしに自由に干渉出来るのが特徴的である。
あらかじめある地形を砕いて、それを集めて素材に、新しい物を作り出し、そして、集めた素材を自由に置いて、立体的なオブジェを作って楽しむ。
しばらくすると、お腹が空いてくるので、狩りをして他の生物を倒すなどして食糧を調達して、それで空腹を満たす。水辺では釣りができる。
基本的に、これといったストーリーや目的は与えられず、何をしてもいいし何もしなくても良い。そのような、自由なゲームだ。

押し付けるようなものはなく、プレイヤー自身が千差万別に面白味を見出していくというゲームとなっている。
これをドラクエ風に解釈して作りなおされたのが、本作となる。

安直なパクリと言われればそれまでだ。既にマインクラフトを知っていてやりこんでいる人からすればなおさら、何を今更と言う印象を持つだろう。
ただ、「ドラゴンクエスト」の始まりがそもそも、「ウィザードリィ」や「ウルティマ」等、海外RPGの面白さを日本で広めるために作られたものなので、思想が先祖返りしたとも言える。

思えば、ドラクエの1作目が世に出た時、マニアはこぞって斜に構えてそれを見ていたから、なんだか今になっても、その構図がよみがえるのも不思議な話だ。

それに「マインクラフト」が流行ってると言っても、やはりそこは海外産のインディーズゲーム。
日本での知名度は絶大に高いとは言えない。

また、遊び方をプレイヤーに委ねた作りは、逆を言えば「何やって楽しめばいいかわからない」から、訳がわからないままやめてしまう危険性もはらんでいる。
そこがマイクラのいいところなのに...と言われても、やはりハマるキッカケを作るためにも導入は大事だろう。

「マインクラフト」のようなゲームと言われると敷居が高いかもしれないが、そこはきちんと「ドラゴンクエスト」シリーズファンが楽しめるようにお膳立てされているので、しっかり楽しめるようになっている。

「ストーリーモード」と「フリーモード」の2つがあり、「ストーリーモード」では従来のドラクエを遊んでいるような感覚で、ゲームを進めていくことが出来るようになっている。
「フリーモード」は、まさに自由にオブジェを作ったりして楽しむモードだ。このモードでは、ネットワークを介して、他のプレイヤーに作ったオブジェを見せたり、見たりなどデータの共有が可能だ。
ただし、「フリーモード」は、「ストーリーモード」第1章をクリアしなければ、選ぶことは出来ない。第1章を実質、チュートリアル的立ち位置にしたかったのだろう。
(ストーリーモードを進めると、フリーモードでもやれることが増えていくようになっている)

事実上の本編である「ストーリーモード」のプレイ感について言うと。
荒廃した町を主人公だけが持つ力を使って復興させ、最後には町に襲いかかる悪の元凶を倒すというのが基本的な流れになっている。

チト古いがエニックス「アクトレイザー」「ソウルブレイダー」辺りにプレイ感覚が似ている。
同じシリーズ物だと、「スライムもりもりドラゴンクエスト」シリーズなんかに、やっている感じがかなり近いと思ってもらっていい。

廃墟の町を修復していると、人がやってきて住民が増えていく。
その住民から、MMORPGのような小クエストを連続的に引き受けてそれをクリアしていくことで、町が発展してゲームが進んでいく。

指定されたアイテム、建物を作るために、必要な素材を外へ行き、探して集めてくる。また、行き倒れになっている人を助ける。
それ以外にも、洞窟探検、敵の城へ乗り込み大ボスを倒すなど、ドラクエらしい大冒険をちゃんと体験できるようになっている。

ただ、アクションゲームとしては、それに特化しているわけではないので、それほど面白さは無い。まず攻撃のリーチが非常に短いし、ボス戦等もきっちり作りこまれているものの、形式的なものと思ってもらっていい。

それから、これはしょうがなかったのだろうが、どことなくゲームのテンポが悪く冗長で、基本的に進行上のヒントは台詞の中に自然に混ざっているものの、全部フォローされているわけではないので、唐突に詰まってしまうことも多い(つまづかないような作りにはしているが)。
後、ドラクエにしてはテキストがイマイチというか、台詞がスッと頭に入ってこない感じなのも若干気になった。

たった4章(4ステージ)しか入っていないと言っても、クリアまでのプレイ時間は結構なもので、かなりのボリュームがある。
だけども、大半が指定された通りにアイテムを集めるみたいな作りなので、やらされてる感がどうしても強く出てしまい、やっていてタルかったり疲れてしまう。
ただこれは、ゲームの特性的に避けられない部分であったのだろう。

1ステージのマップはかなり広く、ちょっとしたオープンワールドのフィールドを散策しているような感覚を味わえる。
グラフィックは綺麗で、レゴブロックでドラクエの世界が丁寧に表現されていて、そのマップを自らの手で触れることができる。
ただ歩き回れるだけではなく、そのマップを壊したり、何かを付け足したり出来る。面白い。

寧ろ、ゲームを言われたとおりにせっせこ進めるよりも、無駄に寄り道をして本編には全然関係ない馬鹿なことをやっている方が面白いという困ったゲームである。

それだけマップが広いので、やらなくてもいいサブイベントも仕込まれており、それはステージクリア時にチャレンジ項目で攻略したかどうかがチェックされるようになっている(クリア特典もある)。

「フリーモード」で、専用のフィールドで自由に遊べるモードがあるものの、実のところこっちはあまり面白くないというか期待はずれだった。
確かに「ストーリーモード」よりも自由にやれるようになっているが、ネットで他プレイヤーとのデータ共有も、思ったほど自由度は高くない。
言うなれば、ニンテンドー3DSのすれ違い通信レベルのものになっていて、直接他のプレイヤーのマップに行けたり交流したりは出来ない。
専用の区画(領域)のみを共有して他の人に見せられるようになっているが、トラブルを避けるために、直接的な干渉が出来ないようになっている。
これは、ドラクエという国民的看板タイトルである以上、ネットワークモードでの他プレイヤーとの距離感は、この程度にせざるを得なかったのは、仕方のないことだったのだろう。

操作性やインターフェイスに関しては、本来は複雑なPCのゲームだったが、非常にすっきりしていて入り込みやすい。
ただ、所持品がアイコンがごちゃごちゃ並んでいるだけで管理が(ドラクエにしては)煩雑でわかりづらかったり、レシピ表示のウィンドウが意図的なのだろうが狭くて、レシピが増えてくるとカーソル操作が面倒だし見づらくてストレスになった。
しかし基本的には、合理的にシステムデザインされていて、さすがドラクエシリーズと言いたくなる出来映えだ。

他の不満点で言えば、敵の追跡がしつこい。視認性も高く、見つけると地の果てまで追ってくる勢いで延々とプレイヤーのことを追い続けてくる。
逃げるということは戦いたくないということなのだから、ここまでしつこく襲いかかってこなくてもいいだろう。
アクションゲームなど、倒すことが主目的のゲームなら、蹴散らせばいいことだが、攻撃のリーチも短く、それほど強いとはいえないプレイヤーに戦いを強いるのは良くない。

とにかく、安直な企画物の印象を強く受けがちなこのゲームだが、中身は意外としっかり作られていて面白い。
特に「マインクラフト」が何なのか名前しか知らない人(もしくは名前すら知らなかった人)、あるいは、知っているがイマイチ遊ぶまでに至らなかった人が、体験するには非常にいいゲームだと思う。
問題点が全く無い完全無欠の傑作と言うものではないが、「マインクラフト」という題材を、とてもよい形に料理したと言う視点で見れば、上々だろう。
そこで結論。

かなり丁寧に「マインクラフト」をドラクエに移植した作品。





[2016/02/02]
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