スライムもりもりドラゴンクエスト3 大海賊としっぽ団


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2011/11/02
価格5800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2011 SQUARE ENIX / ARMOR PROJECT / BIRD STUDIO / KOICHI SUGIYAMA
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シリーズ第1弾が2003年11月にゲームボーイアドバンスで発売され、第2弾が2005年12月にニンテンドーDSで発売されたドラゴンクエストのスライムを題材にしたアクションゲーム。
また懐かしいものを持ちだしたものだ。

さすがに前作から6年越しともなると2の時みたいに使いまわし満載というわけにはいかず、時代に合わせて色々変わっている。が、正直根元のコンセプトの使い回し感は否めない。

ニンテンドー3DSともなると全編ドット絵というわけにもいかないので、マップがポリゴン、キャラがスプライトで描かれている。おまけに通常マップは見下ろし式でドット時代の2D的な作り方をしている。見栄えは決して悪くないのだが制作手法がチト古臭い印象だ。
なんというか、PS2全盛期にPS1のゲームを見ているかのようだ。ただでさえ、同時期に任天堂「スーパーマリオ3Dランド」ではフルポリゴンでゲームキューブクラスのグラフィックを叩き出している。その横でこのクオリティは貧相な感は拭えない。大作級ゲームと比べるのは酷な話かもしれないが、もうちょっと頑張れなかったのかという話だ(値段はこっちのほうが高いのだし)。

これじゃさすがにまずいと思ったのか、船に乗って海(世界)を探検できるフルポリゴンのフィールドマップのパートを追加し、カメラを回転させたりできてポリゴン化の恩恵を何とか出そうとしている。本作はこのパートでなんとか3DS用ソフトの体裁を繕えてるという感じだ。

で、肝心のゲーム自体は、いま一例を出したようにいくつかテコ入れの後が見られるのだが、基本的に全く変わらない。
スライム100匹助けて襲われた村の復興というシナリオから、今度はしっぽ団に奪われた7つのオーブを取り返すというものに変わっているが、結局見下ろし型のアクションステージを攻略するという流れは一緒である。
村を復興させるサブイベント(やり込み要素)は、各地の町にいるキャラからのお願いごと(クエスト)に見た目を変えているだけで、それらを達成するために、ステージマップに入ってモンスターやアイテムを集めてトロッコに載せて運ぶのも同じ。
登場人物やモンスター、アイテムも同じものなので、新鮮味が全くない。ストーリーもびっくりするぐらいお決まりのパターンを踏襲している。

2で登場した大戦車バトルは、そっくりそのまま船バトルとして受け継がれている。カスタマイズできる部分を増やしたりはしているのだが、あらゆる部分でやっていることが同じで工夫が見られない。

このシリーズを全く遊んだことがない人が初めて手にとって遊ぶぶんには、アクション部分が物足りないけど丁寧な作りで悪くないといった感じでそこそこ楽しめるだろうが、シリーズ経験者にとっては激しいマンネリを感じてかなりつまらなく感じると思う。
そもそもシリーズ経験者でこの3作目を手に取る人がどれだけいるかっていう話になる。GBAで1作目が出たときは宣伝も力入っていたしそれなりに話題になった記憶があるのだが、DSで2を出したときは年末商戦に見事に埋もれてドラクエという名前が付いているにもかかわらず大した話題にもならずに消えていった印象だ。
埋もれたのはそれだけが理由じゃないだろう。今指摘しているように、リピーターが取れるほどのゲームでもないのに、イマイチなゲームパートをまるまる使いまわし、続編の冠をつけて売る。これでは当然だが1回やった人は「また同じ事やるならいいや」となって遊んでもらえない。
畑が違うが、ハドソン「桃太郎電鉄」シリーズなんかも後期以降は姑息な売り方をしていたが、地方編を入れたりアメリカを舞台にしてみたり、それなりの努力は見られた。

1個の商品として見れば割とまとまっているのだが、どうせなら保守的に同じ物を作るのではなく何かしら冒険してもらいたいものだ。

過去作でレビューしているが、改めて簡潔にこのシリーズについて書くと、
ドラクエの名前がついてるだけあって作りがしっかりしており丁寧だが、スライムの体当たりアクションに爽快感が足りない、ステージ数・ギミックの種類が少なくボリュームに欠ける、余程のアクション音痴でない限り苦労することがないヌルいバランス、結局はやり込み要素が全てステージに散らばる敵と資材を運搬するだけのゲームになっていてつまらない、
(これは2以降の話になるが)大戦車バトルが売りにしている割につまらない等が挙げられる。

これらが改善されることもなく、3になってもそっくりそのまま使いまわされているから批判しているわけだ。そしておそらく、過去シリーズを遊んだ人ならば3も代わり映えしないゲーム内容になっていることが容易に想像できるから買わない人が多数だと思われる(今回は見た目もイマイチだし)。

さて、今作での不満点も書く。
フィールドマップのカメラワークが悪い。船に寄り過ぎで見づらい。シンボルエンカウントを導入しているが、戦闘が船バトルっていうのはキツイ。毎回アレをやらされるのはしんどい。今回、召喚魔法のおかげでHPを削りやすくなってるもののやはりツライ。
主要の町近くにルーラポイントが設置されているが、まだ不便。いつでもどこでも使えるようにしてくれたほうが丁度よい。
お願いごと(クエスト)をクリアしたときに3連続で鳴る飛ばせないSEとメッセージ。テンポが悪い。些細なことだが、通信関係の機能が使えるようになるまでが長い。

これは不満点とは違うが、ひらがなカタカナで構成されている文章で、突然「大海賊」「しっぽ団」といった一部の台詞だけ漢字で表記されていることと(2でもそうだったっけ?)、ごく一部のテキストに方角を表すとき東西南北ではなく右上、右下と書かれる統一感のなさが気になった。

ちなみにシリーズ3作目と、ドラクエ3をかけて作られており、世界地図がドラクエ3とほぼ同じものを使っていたり、オーブ集めのシナリオに変更されているのもその影響である。とはいえ、このネタがわかるのもすっかりおっさん世代になってしまっているのが悲しくもある(本来のターゲット層はネタのわかる大人よりも子供向けに作っているだろう)。

もともと一発ネタだったゲームを無理矢理シリーズ化していることであちこちに無茶が生じているのだろう。そこで結論。

続編を作るなら向上心をもって作るべし!駄作とまではいわんがギリギリ凡作!





[2011/11/06]
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