悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架


対応機種ニンテンドーDS
発売日2005/08/25
価格4980円
発売元コナミ

(c)2005 KONAMI
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悪魔城ドラキュラシリーズがニンテンドーDSに進出!!
近年、「キャッスルヴァニア」と名を変えシリーズ展開していた本作も、今回から再び「悪魔城ドラキュラ」に戻ることとなった。

ニンテンドーDSの2画面、タッチスクリーンの機能を生かして、インターフェイスにも変化が見られる。
これまで、セレクトボタンでマップを呼び出していたのが、プレイ画面と同時に表示出来るようになった。煩わしさがかなり減った。

上画面がマップやステータス表示(切り替え可)、下画面がプレイ画面である。
下画面は、タッチパネル液晶なので、液晶精度が悪い。なぜこのような仕様にしたかと言うと、タッチパネルを使ったギミックを使うつもりだったようである。

ボスキャラにとどめを刺す瞬間、魔封陣というタッチペンを使った操作を要求される。
本作はコテコテのサイドビューアクションである。唐突にタッチパネルを使わせるシステムはいかがなものかと思う。
それ以外にも、画面にタッチすることで消すことが出来るブロックなど、無理矢理ニンテンドーDSの機能を使わせようとした形跡が目立つ。
同社「がんばれゴエモン」DS版もそうであった(使わせる場所がはっきりしてる分、こっちの方がまだマシだが)。

おそらく、上層部や広報などから、DSならではのシステムを使うよう要求があり、入れざるを得ない状況だったのだろう。
その証拠に、本編以外のモードでは、タッチパネル操作を強要させるところは一つもない。

ニンテンドーDSになったことで、グラフィックも大幅に進化した。液晶精度の悪い下画面で遊ばせているのがもったいないぐらいだ。
基本的にドット絵を駆使した古風なスタイルはそのままだが、背景にポリゴンを使っていたり、見た目はあまり変わっていないが、プログラムの組み方はだいぶ変わっているようだ。
性能が上がってより演出力が増し、凝ったエフェクトで気持ちよく遊ばせる。さすが職人芸と言える作品だ。
ネックとなっていた音質もかなり良くなり、携帯機のハードウェア性能で足を引っ張る部分が完全に無くなった。

世界観は、GBA「暁月の円舞曲」の続き物となっている。
元々、ドラキュラシリーズは、それとなく世界観を共有したシリーズなのだが、ここまではっきりつながっている作品は珍しい。
こうやって使い回すこと自体は悪いとは思わない。しかし、タイミングが悪かったのではないだろうか。
GBA版から2年経ち、ハードも変わってしまっている。なんだか、今更感が否めない。

また、それに追い打ちをかけるように、キャラクターデザインをセルアニメに変更してしまっている。元のイラストレーターは同じだが、パッケージ説明書全て含め使われている場所が全くない。
低年齢層にも売りたいためか、タイトルロゴや全体的なデザインも子供じみてしまい、これまで独特の渋みのある雰囲気が崩れてしまっている。
こういった刷新をおこないたかったのなら余計、世界観を続き物にすべきではなく、それに向いた新規のものを作り上げるべきだった。

ストーリー性も強めているのだが、相変わらずつまらない。下手に主張するぐらいなら、そこら辺は適当にしてしまって、アクションを遊ばせるようにすべきだ。

プレイしながらマップも同時に参照出来ることで「もう迷わない」と言うキャッチコピーがある。
しかし、マップの構造自体は、毎作同様、複雑怪奇で結局迷う。この辺の作りは、作品を重ねるごとに良くなってきてはいる。特にセーブポイントの配置は本当に絶妙である。

DSになり本体性能が上がったことで、でかいクリーチャーも軽々と動かせるようになった反面、携帯機の弱点である、画面の小ささによる窮屈さが浮き彫りになっている。
今回に限ったことではないが、画面が狭すぎて作り手も大がかりなギミックが作れず苦悩している姿が浮かぶ。

ゲームシステムは、「暁月の円舞曲」の倒した敵から低確率でその敵の能力が手に入るタクティカルソウルを柱として、大きな変化はない。
前作でシステム周りは完成系に達したと思うので、シリーズ的には安定期に入ったと言える。操作性にも大きな変更が無いので、すんなり入っていける。

毎回ゲームクリア後のおまけで、別キャラが使えるようになるモードが追加されるが、これまではやり込みプレイヤー向けの範疇を超えない物だった。
しかし今回は、キャラクターチェンジ、レベルアップ概念の導入に伴い、困ったことにこれが本編より面白い。前述のタッチパネルの操作も一切要求されない。
ゲームバランスも、通常攻撃タイプ、魔法攻撃タイプなどキャラごとの特色もあり、こっちの方が良くできており、気持ちよく進められる。

色々と苦言も呈したが、根幹をなす部分は良くできているシリーズなので、かなり面白い。
よその部署からの口出しが無ければ、もっと良い作品に仕上がったのではないかと思う(実際開発に携わった人間ならタッチパネル云々が蛇足なのはわかっててやっているはずだ)。そこで結論。

外側は大きく変わったが、本質は変わらず。鉄板タイトル。





[2009/09/11]
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