悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair


対応機種Xbox360(XboxLIVE arcade)
発売日2010/08/04
価格1200マイクロソフトポイント
発売元KONAMI

(c)2010 KONAMI / Konami Digital Entertainment
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このゲームは、シリーズの人気プレイヤーキャラとステージを集めた、ファン向けのゲームソフトである。
月下の夜想曲以降、いわゆる探索型の悪魔城ドラキュラから、特に人気の高いプレイヤーキャラクターと、ステージ構成(仕掛け、敵キャラクター)を持ってきている。

そのため、前提として該当するドラキュラシリーズの作品知識を持っていないと、面白さ半減である。何の脈略もなく使いまわされたボスキャラやギミックは、完全に知っている人向けの楽屋落ちのノリである。
例えば、そういったストーリー設定も無い。ゲームとしては、ただ、遊べる全6ステージを用意しただけである。

ニンテンドーDSで発売された三作品から、素材を使いまわしている。そもそも、使い回して何か面白いゲームが作れないか?という意図で制作されたようだ。ダウンロードコンテンツなので、その程度の規模のゲームになっても致し方ない。

ただのジャンプアクションではなく、ネットワークを介して最大6人で協力プレイや対戦プレイが出来る。ステージ構成も、多人数で遊ぶことを前提とした節があり、シングルプレイでは到達できない箇所も存在する。ゲームクリアーだけなら一人用でも問題なく出来る。
また、その関係上、ステージ上の全フロアーが、動いている。画面の切替などは発生しない。視点も、全フロアー表示から、従来通りの視点まで自由に切り替えることができる。

リプレイデータが保存出来る関係上なのか、ステージクリアまでに30分という時間制限があり、一度プレイを始めてしまうと、たとえシングルプレイですら、ゲームのポーズが出来ない。
フロアーはDS版の元となった作品と同様に、迷路状に作られており、行き止まりには宝箱があって、アイテムが入手できるなど、探索要素も若干残しているので、30分という制限時間をつけられるのは、好きになれない。せめて、最初の1回目ぐらいはじっくりプレイしたいものだ。

レベルアップなどの育成要素はないが、装備品や敵の攻撃能力の吸収といった収集要素は存在する。逆を言えば、それらを集めないとキツイバランスということだ。最初から強い装備品はないから、宝箱やメニュー画面から行けるお店で買わないといけない。
特殊能力も、初期に所持しているものだと厳しい。選ぶキャラによって若干手順が異なるが、該当するモンスターから、特殊能力を一定確率で取得する必要がある。
やり込み要素としては面白いだろうし、ダウンロードコンテンツの価格から考えたら、長持ちするゲームに仕上がってるかもしれないが、純粋にジャンプアクションとして遊びたい人にとっては厳しい。
とりあえず、初期能力だけだとシャノアの特殊攻撃が汎用性が高く、使えるが(ただし通常攻撃は弱い)、それ以外はやりこんで育成してやらないとてんで使えない。

このようにゲームバランスがイマイチ良くない。悪くはないが大雑把と言える。特に気になったのは、2段ジャンプで高い足場に飛び移らせる箇所で、タイミングがやたらシビアに設定されていることだ。
この辺りは、ダウンロードパッケージということもあり、細かいチューニングが出来なかったのではないかと思う。
さっきも書いたように、キャラクターの初期性能や性能差も、どちらかというと、バランス面など機能性よりも、それぞれの出演ゲームで使われていたシステムの再現度を優先した感じで、身内受けするかもしれないが、独立したゲームとして見た場合、完成度が低い。
なぜ、キャラクタを変えると、これだけ仕様が変わってしまうのかといった必然性がなくてバラバラだし、このシリーズが好きな人なら、それで満足できるかもしれないが、ある程度の統一性を計ったほうが良かった気がする。

視点切り替えを、S.M.Lと切り替えることが出来るが、通常のサイドビューアクションのサイズのSだと、マップの全体像が把握しづらいが、MやLにすると、今度は操作キャラの周りが小さくなって見えづらくなる。
ボスキャラによっては、大きすぎてMが丁度良いなど、ちょっとプレイアビリティを無視してるところが目立つ。
基本的にSサイズで支障なく遊べるように、レーダーマップで現在位置がわかるようにするなどの工夫はして欲しかった。

敵味方にはヒットポイントが設定されていて、攻撃をする/受けるとダメージが表示される。プレイヤーキャラは、装備品を装備できて、カスタマイズさせることが出来る。
このように、ステージクリア型アクションゲームだが、探索型ドラキュラの要素を多く引き継いでいる。

勿論、探索要素が強くなったこのシリーズも、ジャンプアクションとしての面白さは健在なのだが、やはり探索型だからこそ、これら一連のゲームシステムが映えるわけであって、単純に面クリア型として見た場合、イマイチ押しが弱い一面がある。
端的に言えば、「もっとこのシリーズ面白くなかったっけ?」である。
このシリーズは、基本的に覚えゲーだから、何度も繰り返してプレイする必要が出てくるが、やられるたびに最初に戻されるのは正直鬱陶しい。定位置復活型だとどんなに楽しいゲームになったことか。

細かい不満点も非常に目立つが、「コナミワイワイワールド」や「がんばれゴエモン」のようなノリのゲームを作らせるとこの会社はうまい。
ダウンロードパッケージということもあって、内容的には物足りなさが気になるものの、マルチプレイや、ネットワークランキング、やり込み要素など、値段の割に長く遊べるお得なゲームと言える。
今後も、有料でプレイキャラ追加などの予定があるらしく、稼ぐ気満々のようである。低コストで素材を徹底的に使い回したわりに、荒っぽさがかなり目立つ点さえしっかりしていれば、もっと評価したのだが残念。そこで結論。

完全にファン向けソフト。





[2010/08/18]
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