キャッスルヴァニア ロードオブシャドウ 宿命の魔鏡


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2013/03/20
価格4980円
発売元KONAMI

(c)2013 KONAMI / Konami Digital Entertainment / mercurysteam
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PS3/Xbox360で発売された「キャッスルヴァニア ロードオブシャドウ」の続編。
世界観、ストーリー、グラフィックデザインすべて「ロードオブシャドウ」を踏襲しており、開発も海外メーカーmercurysteamが変わらず手がける。

テイストを一新したことで客離れを警戒したのか、シリーズファンの声を意識した箇所が随所に見られる。

まず、ゲームシステムが、探索型サイドビューアクションになった。
とはいえ、純然たる2Dアクションの作りではなく、キャラクタ、ステージ、ともにポリゴンで描かれていて、実質的に3Dアクションをサイドビュー視点で遊んでいる感覚だ。
システム的にも2Dアクションではなく、3Dアクションのそれに近く、亀裂の走った壁につかまり、亀裂をつたって壁を登り降りする、足場の端っこからゆっくりスティックを倒すと崖に捕まるアクションをする、
ゲーム的に意味のあるオブジェクトに近づくと光って知らせてくれる等、制作手法やゲーム上の決まり事も3Dアクション的である。

キャラクターの挙動や操作性も、洋ゲー色が強く、もっさりとしたおおらかさが目立ち、大味な印象が強い。

ここまで大まかな概要を読んで、どっちつかずな中途半端なアクションゲームの感想を持たれるかもしれないが、実は意外と出来が良い。

前作で、ドラキュラっぽさが薄かったことを反省したのか、シリーズを猛勉強した節が随所に見られる。
舞台は「悪魔城」を軸に、従来の暗めの色合いを重視したゴシックホラーの路線で統一している。
細かい部分でも、「ドラキュラ」を意識したデザインになっていて、シリーズファンのツボを心得ている。

序盤から中盤辺りまでは、難易度が低く、大雑把なアクションゲームという悪いイメージが先行する内容だが、中盤以降は、アクションゲームとして駆け引きも面白いバランスになってきて、しっかり楽しめる。
惜しむらくは、面白くなってくるまでに時間がかかることと、敵の種類が少なく、物足りなさを感じてしまう部分が気になった。

探索要素や、LVアップといったゲームシステムも、無駄がなくすっきり洗練されている点も良い。
この辺り、国産ゲームのやりこみ要素がたっぷり詰まったゲームに慣れた人、或いは、そういったゲームを好む人には不満が出る作りかも知れないが、個人的にはシンプルにまとまっていて好感が持てた。

ムチを使った飛び移りアクション、攻撃アクションも、サイドビュー視点だからか、効果的に作用していて、なかなかに感心させられた。
なぜ「ドラキュラ」シリーズは、2Dアクションでは、こんなにも個性を発揮できるのに、3Dアクションになった途端、つまらなくなってしまうのか、その不遇っぷりに、悲しくなってしまうほどだ。

3DS初期こそ、立体視を積極的に活用しようと試行錯誤した作品が多く見られたが、今となっては当たり前となり、とりあえず立体視対応させた程度のゲームばかりになってしまった。
というか、こうなるのは、簡単に想像できたことだ。
本作は、立体視による迫力が十二分に発揮されており、また、ここぞとばかりに、その長所を活かしてやろうと言う演出が数多く見られ、そういった面でもクオリティの高さを感じた。
サイドビュー視点のゲームであることも、立体視との相性が良かったと言えるだろう。

大きな不満点としては二点。
ゲームの進行によって、プレイヤーキャラクターが強制的に切り替わってしまう。
しかし、LVや基本的な能力(アクション)を引き継いだまま、操作するキャラクタが変わるだけ。
もちろんキャラクタごとに特殊アクションが異なる程度の個性はあるのだが、基本能力に違いはなく、サブウェポンが変わるのと、ゲームの進行に必須となるアクションが違うだけである。
つまり、複数いるプレイヤーキャラクターは、単なるシナリオ展開の狂言回し的な存在になってしまっている。
こういう構成にするデメリットとしては、ストーリーに連続性がなく唐突に切り替わるため、プレイヤーへの感情移入を妨げてしまう。

ゲーム紹介文には「シモン」「アルカード」といった、シリーズおなじみのキャラクタも出演!!と書かれているが、そもそも世界観が別物だから、キャラ設定に多少の名残は残っているが、容姿や見た目は全く違うので、
ただ名前が同じなだけの別人であること。これはさすがに詐欺ではないか?と感じた。

細かい不満点としては、エリア切り替え等、ロード時間が非常に長い。
前作(PS3/Xbox360版)では、日本語吹き替えもフォローしていたが、今作では英語音声のみである。
個人的には、英語音声のみでも構わない。しかし前作と比べ、ローカライズにおいてはグレードダウンしたことは否めない。

全体的に良くも悪くも洋ゲー的なインターフェイスの作りで、国産ゲームと比べると、きめ細やかさに欠けている。
これは、海外ゲームとの考え方の違いもあると思うが、宝箱一つ開けるのにも、ボタンひとつで開くのではなくボタン連打しなければならない(重いフタを開くという動作を表現するため)。
メニュー画面を開くときに、アイコンをタッチしないと開かない、また、メニュー画面ではタッチパネル操作メインでボタン操作に対応していないことなど。

全体的なゲーム展開を見ると、正直、抑揚が無く、プレイを終えても印象に残るシーンが少ないため、淡白さが気になる所だ。
しかし、アクションゲームとしては一定水準をクリアしているのは間違いない。

ドラキュラといえばやはり、IGA氏が中心となってプロデュースする、日本国内で制作されるものを求められているのだろうと思う。
シリーズファンであればあるほど、今作の内容はシリーズとしても認めたくない心情は理解できる。

だが、GBA、DSとドラキュラシリーズを展開してきて、はっきりいってDS版3作目が出る頃には、もうマンネリ感が強く現れていたように思う。
その頃になると、Wiiで格闘ゲームを出してみたり、迷走し始めていたのも事実としてある。

絶賛するほど魅力的で面白いと言えるほどの水準ではないし、完成されたゲームとも思わないが、こういった方向性のゲームは、日本人の発想からは生まれてこないゲームだと思う。特にグラフィックや演出面のクオリティは非常に高い。
逆にマップデザインが独りよがりで、意図がわかりにくいところが残念といえる。

そういった意味では、mercurysteamに制作を任せたというのは、あながち間違いではなかったと感じている。
後今回は、小島プロダクションが変にしゃしゃり出てこなかったのもポイントが高い。
前作は楽屋落ちというか内輪受けのような色が強く出ていて、そういうところも好きになれなかった。

既に据え置き機で「ロードオブシャドウ2」の制作も決まっているが、なまじサイドビューアクションの本作の出来が良かったので、再び3Dアクションになるだろう据え置き機の新作には不安がよぎる。
今作の経験を生かした内容になることを期待したい。そこで結論。

もっと注目されてもいいゲーム(国内外問わず評価されにくいゲームだと思うが個人的には好き)。





[2013/03/22]
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