対応機種 | プレイステーション2 |
発売日 | 2005/11/24 |
価格 | 6980円 |
発売元 | コナミ |
「悪魔城ドラキュラ 闇の呪印」は、PS2版「キャッスルヴァニア」の反省を生かして開発されている。
傑作ゴシックホラーアクションが、プレイステーション2となって、どのように料理されているか期待大。
携帯機シリーズと同様に、キャラクターにレベルアップの概念を施し、敵と戦わせる意味を持たせた。
さらにそれだけにとどまらず、装備品は敵が落とす素材を合成させなければ手に入らず、能力強化するには必然的に強い敵とも戦う必要がある。
敵の存在がただ邪魔なだけだった「キャッスルヴァニア」と異なり、積極的に戦闘を仕掛けるための張り合いが出た。
また固定されたカメラ視点も、今作ではプレイヤーキャラを中心に自由に視点を操作出来る形式に変わり、カメラワークの悪さも改善された。
ロックオンで標的をターゲッティング出来るが、まだ今ひとつ追尾視点にクセがあり、便利と言えるほどの性能は無い。
新要素としては、イノセントデビルという使い魔の存在があげられる。
召喚することでともに戦ってくれる。回復してくれる妖精タイプのものや、でかい図体を生かした格闘タイプのものなど、種類も様々であり、イノセントデビルを手に入れることで、新しい場所に進めるようになったりする。一種のフラグの役割も果たしている。
プレイヤーキャラは、ムチではなく剣や斧などを使い、それぞれ武器の種類によるコンボバリエーションは豊富だが、サブウェポンのような物はなく、かわりにイノセントデビルがその役割を担っていると言える。
しかし、前作の反省を生かしたと言える点はこれぐらいで、根本的にゲームの面白さが改善されているとはとてもじゃないが言い難い。
キャラクター育成の要素が加わったと言うことは、逆に言えば、めんどくさくても敵と戦わなければ強くならないと言うことである。
相変わらず、アクション周りは、そこら辺の3Dアクションを模倣したようなありきたりな作りで、独自性もないし、根本的に面白くない。
広大なマップを探索するのもこのシリーズのおなじみの要素になっているが、基本的に一本道で、途中申し訳程度にふたまたに分かれている程度で、だだっぴろい割に何もなく、それに加えて、プレイヤーの移動速度が遅いために非常にだれる。
フィールドマップは前作もそうだったが、使い回しが多く、同じマップで水増ししている感じで、かなりつまらない。
今作最大の改悪点と思っているのが、エリア内の特定の敵が無限に出現し続けるという物で、とりあえず倒しながら進もうとプレイしていても、かなりの割合で(大概は弱い敵キャラなのだが)倒すと即座にその敵が出現するエリアが多く、うざったいので無視することになってしまう。
敵の落とすアイテムを狙うなどやり込みプレイには確かに便利かもしれないが、それを意図してやっているとは思えないので、不快に感じるだけであった。
難易度はかなり低く、回復してくれる妖精(イノセントデビル)をつれていればまずやられることがない。全体的に作業感が非常に強い。
ただし、終盤に限っては、異様に難易度が跳ね上がる。全体的に序盤からボスぐらいは緊張感があっても良かった気がする。
この難しさを体験して初めて、「ドラキュラを遊んでいる」という気になれただけに、バランス調整はもっと気を遣って欲しかった物だ。
ロックオンの視点のイマイチさや、自分でカメラを動かすことによる煩わしさが増えてしまったこともあるが、3Dアクションとしてはわりかしまともになった物と思う。
だが、攻撃したい相手に対してこちらとの距離感がつかみづらいことなどがまだネックになっていると思う。
無意味に広いフィールドマップや、操作キャラの移動速度の遅さ(PS2のマシンパワーのせいもあると思う)、育成要素などが、組み合わさって典型的なプレイ時間引き延ばし工作なゲームに見える。
グラフィックは、固定カメラじゃなくなったこともあるのか、安っぽくなってしまい、音楽にも光る物が感じられなかった。
イベントムービーなんかも、雰囲気負けしてる感じで、あまり面白く無い。せっかく据え置き機で豪華に出来るのだから、もったいない。
まず、「悪魔城ドラキュラ」の持ち味をどう生かして3Dアクションにしようということではなく、とりあえずプレイステーション2で出そうという浅はかな考えのせいで、このような没個性なゲームになってしまうのだと思う。
本作では、メインキャラはムチを使わず、剣や斧などを使うが、「ドラキュラ」のシンボルでもあるムチを簡単に外してしまうことにも疑問を感じてしまった(ムチがかならずしもイコールではなくなったと言うことを差し引いてもである)。
クリア後に、ムチを武器に、サブウェポンを使える従来型のヴァンパイアハンターのプレイヤーキャラクタが追加される。おまけキャラというのが昔からシリーズを遊んでいる身としては、なんとも悲しい物だ。
逆に、ムチという武器は、3Dアクションにとって、とても魅力的な物だと思うのだが…。昔の2Dアクションの頃は、少なくともそこをどんどん生かしていく方向でゲームが作られていたはずだ。
手厳しい指摘が多くなってしまったが、とってつけたようなジャンプアクションを思い切って無くしてしまったのは良かったと思う。
「ドラキュラ」シリーズは、こんなありきたりなゲームじゃなかったはずだ。そこで結論。
ゲームコンセプトを一から練り直すべし。