ドラゴンスレイヤー英雄伝説2


対応機種PCエンジン(SUPER CD-ROM2)
発売日1992/12/23
価格7200円
発売元ハドソン

(c)1992 HUDSON SOFT / Falcom
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前作の主人公セリオスの子孫アトラスが主人公となり、前作から20年後の世界が舞台となる「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」の続編。
再び災厄に見舞われた世界を救うため、アトラスが冒険へと旅立つ!

一作目はファルコムが作った王道ロールプレイングゲームといった出来で、非常に間口が広く面白く出来上がっていた。

しかし2では、パソコンユーザーの声を聞いたのか、ゲームとしてやりごたえのある路線へと傾倒しており、内容的にはマニアックな路線に偏った作りとなっている。

今作のゲーム内容について、特徴的な部分を述べる。

まず、呪文システムが大幅変更された。MPを消費して呪文を使うRPGおなじみのものは廃止され、7枠あるカプセルに呪文を記憶させるものになった。
カプセルを消費して呪文を使うようになり、1回使うとカプセルは空になりその呪文は使えなくなる。空になったカプセルは、非戦闘時に時間の経過とともにチャージされていき、満タンになると再び使えるようになる。
戦闘中にいくらターンを消費しても、このカプセルが回復することはないため、同じ呪文を乱発することは出来ないようになっている。
ただし、同じ呪文を7枠の間でなら制限なく記録させることができるため、回復魔法だけで7つのカプセル全て記録させるなど、良く使う呪文を複数記憶させるなどのカスタマイズできる余地がある。

この呪文システムは、敵にも適応されているため、駆け引きが面白くなっている反面、経験値やお金稼ぎをしたいときに、連戦しづらくなったため、テンポを悪くしている。
前作では無料で泊まる事のできる宿屋が用意されていたが、今作では宿屋は実質存在しないため、サクサク遊ぶことが出来ない。

シナリオについて。
前作と同じ世界が舞台となっていて、ストーリーも密接につながっているため、前作経験者前提の内容になっている。
もちろん、今作だけでも話が楽しめるよう、丹念に情報を与えようという努力はみられるが、やはり1作目をプレイしていないと、苦しいものとなっている。

ストーリー、キャラクタも、キレがなく、特にレギュラーパーティメンバーの魅力のなさ、テキストの陳腐化など、続編を名乗るにしてはがっかりさせられる水準だ。
キャラクタは前作と同じ年齢だが、幼さが目立つ。4人のパーティキャラも、人気が出るとは思えない構成になっており、魅力的でない。

また、今回の主な舞台は地下世界で、純正ファンタジー路線だった前作と異なり、SFチックな路線が入ってきており、前作が好きな人であればあるほど、今作の後付け的な世界設定に好き嫌いが出るだろうと思われる。

肝心の地下世界については、質が非常に悪い。
最低限作られた通路上のマップパーツをつなげた形で迷路を形作っており、階層によって床の色が違う程度の変化はあるが、延々と同じ構造のマップで構成されている。
ボリュームを出したかったのはわかるのだが、これでは露骨な水増しにしかなっておらず、探検する楽しさが全くない。作業的に行き止まりにある宝箱を探して入手するだけのつまらない作りには閉口せざるを得ない。

極めつけはゲームバランスだ。

テンポよく遊ぶことの出来た前作と比べると、経験値稼ぎやお金稼ぎをせざるを得ない箇所がいくつかある。良く言えば歯ごたえのあるゲームになったが、悪く言えば、冗長でかったるくなったとも言える。
全体的にマニアックなバランスの付け方をしており、前作のように工夫することで攻略できる余地が薄れてしまっている。

預かり所が用意されたものの、アイテムの数と種類が膨大になってしまって、それに比べると持てる数が少なく、ちょっとつらいこと等。

さて、ここからはPCエンジン版の移植内容について書く。

全体的にプログラムの質が落ちてしまっている。見た目は同じなのだが、1をお手本に似せて作ったという感じで、クオリティの高かった前作を期待するとちょっとがっかりしてしまう。

ハドソンはもう、パソコンゲームの移植について、ツボを完全に抑えており、社内でマニュアル化できているのか、外注あるいは二軍チームにまかせてしまっている感じだ。
見せ場のイベントシーンでは、声優が喋ったりするし、その数も大幅に増えている。
また、章の間では、アニメーションシーンが挿入され、ゲームを盛り上げる。

だが、戦闘時のPSG音源及び効果音が貧弱になり、フィールド移動時の処理周り等も、キャラクタが大きくなった代わりに視界が狭くなり敵の挙動や当たり判定が甘くなっている。
なんだか前作の実績を踏まえると“わかってない”感じになってしまっているところが非常に多い。

特に感じたのが、設定で戦闘シーンのBGMを内蔵音源かCD音源に設定できるが、初期設定がアクセスに時間のかかるCD音源になっており、ノンアクセスで遊ぶためにPSG音源にするが、音質が良くない。
また、ボス戦でもPSG音源が用意されているため、ボス戦で音質の良いCD音源にするためには、直前でいちいちCD音源に切り替える必要があるなど、“わかってない”作りになってしまっている。

さらにアニメシーンでの贅沢を言えば、作画レベルが高く、文句の付け所はないのだが、どことなく迫力のあるコンテシーンが減ってしまったことだ。
よく出来ているんだけど、華がないといった感じで、なんとなくさびしいのだ。

今回のPCエンジン版について苦言は呈しているが、それでも他機種版と比べれば、まだ様になっている方だと思う。そこで結論。

単体では悪くないが、続編てしては期待はずれの内容。





[2013/10/11]
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