アインハンダー


対応機種プレイステーション
発売日1997/11/20
価格5800円
発売元スクウェア

(c)1997 SQUARE
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2D横シューティングでありながら、フルポリゴンの映像でド派手な3D演出が繰り広げられる、2DSTG界に風穴を開けた一作!
自機は敵の武装を奪う、脅威の能力を持つとされる「アインハンダー」。完成度を探る!!

RPG屋のスクウェアが出す、いわゆる一発ネタの企画モンと思われがちだが、コレが意外にも面白い。

背景も敵も全てフルポリゴンで描かれているが、「ただポリゴンにした」だけで終わっていないのが凄い。

ポリゴンをうまく使って立体感を持たせる造形や演出が抜かり無いし、画像的クオリティも非常に高い。テクスチャーの出来も良く、質感もしっかりしている。
疑似環境マッピングを多用しており、ゆらめく水面や、自機のテクスチャーの映り込みを場所に合わせてしっかり変えるなど、グラフィックへのこだわりは“異常”とも言える水準で、とにかく素晴らしい。
(この辺は、さすがグラフィックのスクウェアと言ったところだろうか)

それでいて、処理落ちはほとんどせず、60フレームで滑らかに動く。ディスクアクセスを感じさせない工夫もしっかりしている。
プレイステーションのゲームとしてはトップクラスのクオリティと言っても過言ではないだろう。

フルポリゴンということで、ところどころ視点が動いたりする。中にはサイドビューのシューティングにふさわしくない位置に動いたりすることもある。
だが、それは演出の一環として行われていることが多く、大抵そういう場面は、敵の攻撃が止んでいる場面であり、そういったシーンの挿入が、緩急が効いていてまたいい。

しかし、ゲームとしてはかなりマニアックな部類に入る。正直言って、楽しめる人はかなり限られるだろう。
少なくとも、普段STGなどあまり遊んでいない人にとってすれば、このゲームは「高難易度」な作りであり、一見さんお断りな空気を放っている。
(これは、STGというジャンルで言えば、このゲームに限った欠点ではないが)

まず、いわゆる自機のパワーアップという概念は基本的にない。
一部の敵が持つ武器を、その敵を倒すことで奪う(取る)ことが出来て、それによって自機はさらなる武装が可能になる。
自機には性能の異なる3種類の機体があって、敵の武器を3つキープできて切り替えて使える、敵の武器を1つしか持てないがショットの威力が高い、2つ同時に敵の武器を使える、
という3つの機体から選ぶ。

また、取った武器は永久に使えるのではなく、必ず残弾数があり、使い切ってしまうとその武器はなくなってしまう。
そのため、考えなく撃ちっぱなしとか、無駄撃ちなんてことは厳禁で、使い所を考えなければならない。

他にも、敵の武器を装備するアームの位置を○ボタンで上下に切り替えることが出来て、これによって、微妙に武器の性能が変わる(射撃角度が変化する)のも特徴と言えるだろう。

難易度が高い理由をいくつか書く。

自機の当たり判定が大きい。装備中の敵から奪った武器にも当たり判定があり、その部分も被弾し続けると、装備している武器が消失してしまう。
また、自機のパワーアップの概念がないということは、バリアのようなアイテムも無いということだ。つまり、バリアに頼ることが出来ないのだ。

それに加えて、ドット絵の従来型の2Dシューティングに比べ、画面(フィールド)が狭いことも難易度を高めている要因の一つである。

ボス戦が難しい。
ボスの行動パターンが、ランダムな上に、攻撃の種類がとてつもなく豊富。何度か戦ってるのに、まだ見たことのない攻撃に遭った!というぐらい、バリエーションが凄まじい。
「良く出来てるよ!」「いや、出来てないよ!!」と同時に謎の悲鳴を上げたくなる。

次に何やってくるかほぼ全くわからないので、毎回やっている方も戦うのが恐ろしくなるほどのアドリブ力が試される。
これほどアドリブ力を試されるSTGも中々無いように思う。

これだけ、ストイックなゲームであるのに、エクステンドがかなり遠いのも原因の一つ。代わりにコンティニューが10クレジット設定というのが、良心的と言っていいのかどうか。
(一応、コンティニュー無制限の練習モードも付いている。クリアするだけならそちらを試せば良い。どうせならステージセレクトなんかも欲しかったが)

手放しで褒められない点もある。
まだ、ポリゴンを使ったゲームに慣れてないのか、演出過剰、演出重視なところがあり、例えば敵と背景が溶け込んでいて見づらいとか、当たり判定がわかりづらくて、触っていいのかダメなのかというオブジェクトが全般的に分かり辛い。
予めこのあたりに敵が来るとか、ボス戦だとあそこに当たったらダメだとか、経験則でわかっていてやっと対等に遊べるような感触が、STGの基礎が少々疎かになってしまっている印象を与えてしまっている。

武器に残弾数が付いていることや、フルポリゴンの利点をこれでもか!というほど活かした立体的演出の数々。凝ったボス戦、スコア関連で言えばチェーンボーナスなど、システム的にも過剰気味。
何というか、新しいことをやっていて、だから、「ドラクエ1」や「ドラクエ2」程度に留めておきましょうよ、というところを、いきなり「ドラクエ3」を出してきてしまったような感覚だ。
これだと、付いてこれるユーザーは限られて当たり前、と言った印象を受ける。

マニアックなSTGというのは、このゲームに限ったことではないが、中でも今作は、もうメーター振り切っちゃったような感じで、ある意味ヤバさを感じた。
新規タイトル、しかも、もうすっかり大衆向けのイメージのスクウェアというブランド作で、ここまで本格派2D横STGを出してくるのは意外であった。そこで結論。

見た目に騙されるな!いや、騙されろ!しっかり作られたマニア向けSTG。





[2017/12/19]
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