エストポリス伝記


対応機種スーパーファミコン
発売日1993/06/25
価格8900円
発売元タイトー

(c)1993 TAITO / DISCO
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タイトーが満を持して送る、大作ロールプレイングゲーム。

ゲームとしては、基本に忠実で、奇をてらったことを一切やっていないRPGだ。

ややイベントの演出が弱く感じる部分はあるが、全体的に平均点をクリアした水準で、悪いところはないが、逆に、際立って良い部分もない。無難な出来映え。
多少、没個性的な町とダンジョンの繰り返しに、特にゲーム後半は、飽きを感じることはあるが、丁寧な作りで詰まるところもなくテンポよく遊ぶことが出来る。

特にレスポンスには気を使っている印象で、戦闘シーンは、フィールドマップがそのまま背景になって戦うようになっている。
日本テレネット「コズミックファンタジー2」「天使の詩シリーズ」なんかと同様の方式だ。
例に出したゲームは、PCエンジンのCD-ROMのゲームであり、データの読み込みを意識してそのような作りになっているのであるが、本作ではSFCでディスクアクセスを気にする必要が無いハードだ。
しかし、画面の切り替わりは早ければ早いほどよいだろうという考えから、この方式を採用したのだと思われる。

戦闘時のコマンド選択や、メニュー画面のインターフェイスは極限まで無駄を排除していて、シンプルに作られている。
ただ逆に、独特の操作感からくる、若干の操作のしづらさや、今どのウィンドウがアクティブなのかが一応色分けしてくれてるけどもわかりにくく、今一歩惜しいところがあるのが残念ではある。

Xボタンを押すことでカーソル上のアイテムや魔法の効果を表示してくれるヘルプ機能や、魔法の横には残りMPから換算して後何回使えるかのカウントを表示してくれるなど、細やかな配慮が行き届いている。

それらは嬉しいのだが、画面がごちゃごちゃしてかえってわかりにくくなってしまったり、アイテムや魔法の並び替え機能はあっても自動整頓してくれる機能がない。
魔法はともかくとして、アイテム欄は常にごちゃついてどこに何があるかわからず、不便だった。
また、アイテムを所持できる数の割に種類が多く、預かり所もない。仕方がないので不要だが売るつもりもないアイテムを処分するハメになる。一応シチナガレ島という町で売ったアイテムを買い戻せるという救済措置はあるのだが。

バトルは、素早い順に行動するセミリアルタイム方式だが、行動時に準備時間という概念もあるらしく、コマンドを入れてもいつ行動するかがわかりにくい。
また、そういったルールで動いているせいか、グループに攻撃指定した場合、あまりいい動きをしてくれない(4人パーティ揃ってからは気にならなくなるが)
それと、攻撃目標を倒してしまっても自動で別の敵にターゲットが移らない、というファミコン時代のRPGを思わせる処理も、1993のゲームである、さすがになんとかして欲しかった。

台詞の表示が、いわゆるよくあるウィンドウ表示ではなく、漫画の吹き出しを模したものになっていて、話者にしっぽを付けて表示している。
本作では、誰が喋っているのか混乱してしまうことはあるものの、この試みは高く評価したい所だ。

ツボを抑えた作りで、基本的には良く出来ているのだが、グラフィックや、便利な操作形態にしていながらも、どこか操作のしづらさが残っていたり、どうにもまだRPGとしての作りがこなれていないところが節々にあるのが惜しい。
そこで結論。

地味だが、丁寧に作られた作品。





[2016/03/16]
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