エストポリス


対応機種ニンテンドーDS
発売日2010/02/25
価格5980円
発売元スクウェアエニックス

(c)1993 1995 2010 SQUARE ENIX / NEVERLAND / TAITO
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隠れた名作としてファンから根強い支持を受けている「エストポリス伝記2」を
このたび、ニンテンドーDSでフルモデルチェンジして発売されることとなった。

タイトーからの発売ではなく、タイトーを吸収したスクウェアエニックスが主導となって開発している。しかし制作はオリジナル版と同じ会社に作らせている。

ゲーム内容は、登場キャラクターや大まかなストーリーを除いて全くの別物と思っていい。
保守的な人間にとっては、面白くない内容かもしれないが、かといってDS版「クロノトリガー」のように、そのまま出されても味気ない。

オーソドックスなRPGだったものが、アクションRPGにジャンル変更されている。
原作でも、ダンジョンが「ゼルダの伝説」っぽかったりしたので、これは良いアレンジの仕方だと思う。
今RPGとしてリメイクしてしまうと、へたに独自性を出そうと、面倒くさいだけの小難しいシステムを付けたがるからだ。そういうリメイクだけは勘弁願いたい。
(魔石システムが込み入ってるっちゃ込み入ってるが、とりあえず付けりゃ強くなるってことで、わかりやすいと思う)

フィールドもキャラクタもフルポリゴンで、カメラは固定していて、裏データをごまかしているはずだが、かなりきつそうな処理をしている(妙に豪華な攻撃エフェクトのせいか?)。
技術的なレベル的には、良くあるDSのポリゴンアクションRPGで、動きが固く敵のルーチンもワンパターンで、大味な作りである。
レベルアップもかなり早く、回復アイテムも安く買いだめ出来る(但し同じ種類のアイテムは9個までしか持てない)ので、かなりヌルい。
おまけにゲームオーバーになると、レベルを5あげて再チャレンジ出来る「レベルブレイク」システムまである。アクションが苦手なファンに配慮したのだろうが、ちょっとやりすぎ。
しかしそこを逆手に取った、倒した敵が消えるまでの間に攻撃を与え続けると、お金や経験値のボーナスアイテムが出るシステムは面白い。
逆にまだ倒していない相手に攻撃を加え続けると、怒り状態になって敵が一方的に攻撃してくる要素はじゃまくさいと感じたが、上記のボーナスシステムと合わせると中々良い駆け引きを生んでいると感じた。

ただ、操作性が複雑すぎる印象がある。通常攻撃に必殺技、それぞれにRボタンを押しながら発動するチャージアタックまである。攻撃だけで4種類。
さらに、ジャンプに、回避アクションまである。色々詰め込みたいのはわかるが、いくらなんでも多すぎる。最後までこの操作性になじめずにエンディングに到達してしまった。

全体的に「キングダムハーツ」に少々似てるか?!爽快感はかなりあって、手軽に気持ちよさを得られて良いアクションゲームだと思う。
しかし、個人的に3Dアクションで良くある、前転(回避)アクションは好きでない。入れないか、使わなくても問題ないバランスにして欲しかった。

ゲームクリアだけなら、考えずにやっても出来る簡単さだが、「いにしえの洞窟」というローグライクのダンジョンの存在で、ゲーム性を補っている(LV1でアイテム持ち込み出来ず、毎回構造が変わるダンジョン)。
でも、この洞窟を本編に絡めてプレイさせるのは辞めてほしかった。しかもゲーム中で一番の難所になってしまっているのがなんとも…。

謎解きギミックも健在で、仲間が全部で6人おり、操作キャラを切り替え、それぞれ持っているアクションを駆使して進めていくタイプ。

DSの画面の小ささがネックで仕掛けを見のがしてしまい、理不尽に詰まってしまうことも目立つが、それよりも、立体的な構造を持たせたフィールドにも問題があると思う。
どこまでが歩けてどこからが歩けないかの境目がわかりにくい。下画面に表示されるレーダーマップも、高低差を全く考えていないので、高低差の激しいマップでは使い物にならない。
フィールドマップを凝るのは良いが、一定の決まり事を付けて、プレイヤーを混乱させないように敢えて制限することも必要だ。

シナリオはかなり書き換えられており、スーパーファミコン版を遊んでいる人にとっては色々気に障るところが多いかもしれない。DSの容量の関係もあり、重要度の低い町やダンジョンが削られ、それに伴ってシナリオもかなり圧縮されている。逆を言えば、無駄を省きバッサリ切り捨てた良い構成になったとも言える。
とりあえず個人的に気になったのは、饒舌過ぎる台詞と、意図的にやったと思われる独特のクセのある言い回しである。スーパーファミコンでは、容量など厳しい制約があったため、あまり凝ったことは出来なかったが、今作に関してはそういった作り手の欲がもろに出てしまっていて、あざとく映ってしまうのだ(これがリメイクではなかったら何とも思わないのだが)。

キャラクターデザインもかなり変わっている。スクウェアエニックス所属の人間がやったようだが、イメージと全然違ってがっかり。心底がっかり。
コテコテのアニメ絵にしろとまでは思わない。ただこの絵師はいわゆる女のコを描くのが苦手だと思う。男や悪者系なんかは割と良く描けているのだが。

また、キャラクタに声も当てており、まれに台詞を喋ったりするが、容量の関係か数えるほどしか喋らない。本当はもっと喋らせる予定だったのを削りに削った結果なのか、定かではないが、この程度しか喋らないなら、ゲーム中のかけ声だけにするか、いっそのこと声自体無くしても良かった。圧縮しすぎて音質も悪いし。

1995としては洗練されたゲームデザインが高評価を得たオリジナル版「エストポリス伝記2」だが、このリメイク版もやはり見た目にわかるような光る物などが見られず地味に終わってしまっている。
しかし、燃えるシチュエーションやキャラクタの立て方が上手なので、そういった面で他のゲームより一歩リードしていると言える。原作をプレイしている人を喜ばせる演出も心得ており好感が持てる。

何度か書いているが、このゲーム、DSでリメイクするよりかは、PSPやPS3で作るべきだったんじゃないのか?と感じた。
容量不足で見るからに町やダンジョンが少なく、寂しい印象を与えるし、何度も同じダンジョンに行かせたり、使い回しのマップが目立つにもかかわらず、ゲーム・ボリューム的にも物足りなさを感じさせる(個人的にはA・RPGだからこれぐらいで丁度良いと思う)。
イベントの演出面に関しても、あまり凝ったことをやっていない。せめてこの会社お得意のムービーなんかあっても良かったのでは?というぐらい寂しいできあがりだ。

最後になるが、このゲーム最大の不満点が二つある。一つは、タッチパネルじゃないと出来ない操作があること(リセットとテザーの魔法を使う時)と、エンディングで気を引かせておきながら、クリアデータを上書きセーブすると最初に戻されることをしっかり明記しないこと。
後者は些細なこととしても、今時前者はキツイ。あまり使わない操作といっても、ボタン数が少ないから対応出来なかったという言い逃れは滑稽すぎる。ついでにいえば、キャラチェンジもタッチ操作じゃないと面倒。やはり、アクションの操作が多すぎるのだ。そこで結論。

面白いが、新規のファンを付かせるには厳しい内容。ハード選択が悪い。





[2010/02/27]
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