ファイアーエムブレム 覚醒


対応機種ニンテンドー3DS
発売日2012/04/19
価格4800円
発売元任天堂

(c)2012 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS
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「手強いシミュレーション」でお馴染みファイアーエムブレムが3DSで登場だ!しかも、完全新作は2007年に出たWii版以来実に5年ぶり!!いやー、今回は待った待った。
ちなみに、「手強いシミュレーション」という肩書きは、売るために都合が悪いのか、近年はほとんど使われなくなっている。

発売前情報が公開された時点では、2人1組で戦う、ボイスの導入など、前衛的な新要素はどれも不安材料にしか感じなかったものだ。
シリーズ初期の時点で、骨格となるゲームルールがかっちりと定まっている作品なので、特にそこらへんをいじられると、かえってつまらなくなってしまうのではないか?という懸念が生まれる。
2人1組になって戦う「デュアルシステム」がその最たる例で、派手さを重視してゲームとしては大味になってしまう印象を強く持ってしまった。
これらは、ファイアーエムブレムをやりつくしてる人であればあるほど、「今度のは正直どうなんだ?」と感じてしまったのではないかと思う。

かといって、ずっと同じ事ばかりやっているわけにはいかないジレンマ。
GBA「封印の剣」から、それまで結構迷走していたシリーズの作風が完成形へと昇華した。
その「封印の剣」の発売からも、すでにもう10年たち、その間、いくつもの作品が発売された。

安定して面白いシリーズとはいえ、やはりそろそろ大胆な冒険が必要な時期だと思う。

結論から先に書いてしまうと、新システムは思っていたほど取ってつけたようなものはなく、うまく従来のゲームシステムに組み込まれていてかなり面白い。

ただ、結婚イベントに無理矢理感を感じてしまったのと、パーツを組み合わせて作るマイユニット(自分自身の分身)をそこまで苦労して入れる必要があったのかなあと言うぐらい。
前者の結婚に関しては、シナリオ上の結婚が早すぎて思った通りの人と結ばれない&全然感情移入できなかったことが気になった。
マイユニットについては、正式な主人公が別にいて、戦闘メンバーから外すこともできるし、なにより、初期クラスの軍師が弱い(最初の得手不得手の設定を間違えると特に弱くなる)。
ストーリー的にも、ただの“都合の良い軍師”になってて、どうにも、マイユニットの扱いに困っている感じである。
このあたり、ただマイユニットと好きなキャラを結婚できるようにするために敢えて入れただけのような気すらするほどだ。

最初に軽くケチをつけてしまったが、何より、今作の目玉といえるのが、バトルシステムのテコ入れである。

ファイアーエムブレムはこれまで、支援効果の類にあまり手をつけてこなかった(隠しパラメーターとか、わずかながら特定のユニットとの隣接で効果が得られることがあったが、条件が厳しかった)
ところが、今作では一転して、このシリーズとしてはかなり強力な支援効果を搭載している。

先ほど2人1組で戦うデュアルシステムについて少し触れた。これは、必ずしも2人1組になって戦う必要はない。
任意で、ユニットを重ねることで「ダブル」状態となり、片方がサポート役として支援役に徹する。
「ダブル」状態になることで、パラメータが強化され、組になったキャラが必ず戦闘時にサポートしてくれる。
しかしデメリットもあり、サポート役のキャラは経験値があまり得られず成長しないこと、他に支援効果の強いキャラがいて、隣接させてもそのキャラとの支援効果は発生しないこと、
そしてもちろんながらサポートキャラ単独で行動させることができなくなるなどが挙げられる(サポートとメインをチェンジさせるコマンドはある)。

「ダブル」状態にならなくても、ユニットを隣接させるだけでも支援効果は発生する(戦闘時のパラメーターアップ、サポートキャラの追撃等)
だが、そのためにはユニットを隣接させる必要があり、かつ、ヘックス制じゃないので、こちらが攻める場合、なかなか隣接状態の配置にしづらい。
また、追撃や回避の支援行動は、必ず発生するわけではないので運頼みとなる。

一連の新システムによって、いかに支援効果の恩恵を受けながら有利にすすめるか?という戦略性が良い意味で増していて面白くなっている。
仲間の追撃や、攻撃回避といったラッキーイベントが起こる可能性ができたことで、うっかり間違えて危険にさらしてしまっても、運良く助かるかも?という余地ができて、これまでと比べよりアツいゲームになった。
運に頼ったゲームになってしまっている印象を受けるかもしれないが、これら支援効果は相手との親密度によって効果や発生確率が変わってくるので、そのへんもちゃんと工夫の余地が残されている。

新システムが搭載されゲームルールに変化が生じたが、
ダメージ計算式やゲームバランスは従来のシリーズの詰め将棋らしさそのままなので、プレイ感覚に大きな違いはなく、あのヒリヒリした緊張感あふれるバトルが今回も変わらず味わえる。

たぶん、シリーズ経験者はあまり「ダブル」状態にしないで進めようとすると思う(過去作の戦略をそのまま使おうとすると思うので)。
がしかし、「ダブル」コマンドを使わないと厳しい局面も多々あり、必ずしも使う必要はないが、使ったほうが楽かもねという作りになっているのが良い。

このように、今作のファイアーエムブレムは、シミュレーションゲームの支援効果による戦略の面白さを大々的に取り入れ、なおかつ、シリーズのテーマである命や絆というものと絶妙にマッチしていて非常に良く出来ている。
だが、明確な問題点も残っており、次回以降どのように調整してくるのか気になったところだ。

デュアルアタックの際、装備している武器を勝手に使われてしまうこと。汎用武器なら構わないのだが、レア武器を勝手に消費されてしまう場合があり厄介。
シリーズ伝統の戦略の一つとして、壁役のキャラにわざと弱い武器を装備させて、盤上に敵を残し、キャラを死なせない様に攻撃を受ける回数を減らすやり方があったが、支援効果の追撃が発生しやすい状態だと、この戦略が使えなくなること。

この2つに関しては、ある意味言いがかりでしかないのだが、今回はそういうゲームシステム(ルール)であることを受け入れる必要があると思う。
勝手に武器を使われてしまうというのも、先読みすることで十分予測できるし、後者についても、わざと支援効果の低いキャラを並べたり、逆に支援効果の高いキャラ同士を置いて、回避率を上げてガンガンかわして敵を片づけたりというように理にかなった選択肢はきちんと用意されている。

ただひとつ、どうしても解せなかったのは、デュアルアタックの発生についてだ。
サポートキャラは攻撃の射程に関係なく、追撃に加わるため、チト強すぎる気がした。
例えば魔法系キャラで1マス離れて攻撃を仕掛ける。このとき戦闘に参加したサポートキャラは近接武器しか持っておらず本来の攻撃範囲から外れているが、デュアルアタックで追撃が発生することがある。
この辺を厳密に取り決めていくと、ルールが複雑化してつまらなくなるということで、敢えて射程を無視した支援効果にしているのだろうが、少々気になったので指摘した。

ゲームバランスで他に気になった点としては、ある意味シリーズ伝統ではあるのだが、それでも過去作と比べても突出して今作のペガサスナイト(もっと言うとファルコンナイト)が強すぎる印象だ。
能力値の伸びが他の兵種と比べても段違いで、なおかつまんべんなく成長する。強いて言えば弓に気をつければいいだけだが、その弓兵もあまり配置されてなくて、さらにファルコンナイトになると杖で回復まで出来る。空を飛んでいるので機動力もナンバーワンという有様だ。
なので、2人のファルコンナイトを前に出すだけで、回復もできることもあって、他のユニットがいらないというか、活躍の場がほとんど取られてなくなってしまう感じだ。

ハードモード以降になるとまた事情が変わってくるのだろうが、自分はノーマル、クラシックモードの組み合わせでプレイした。
難易度選択もこのシリーズではお決まりになっているが、4段階でさらにカジュアルかクラシックを選べるので、組み合わせとしては合計8つになる。
DS版の頃から、どの難易度でプレイすればよいか迷うようになった。
Wii「暁の女神」までは、“シリーズ経験者なら迷わずハードモード”みたいな書き方をされていたので、初プレイからハードでやっていたが、DS版以降はノーマル&クラシックでプレイしている。

バランス調整に関して他には、索敵マップ(味方ユニットの周りしか見えない)、防衛、脱出といったマニアックなステージマップが排除されて、敵を全滅させるかボスを倒すといったものに統一されててプレイしやすくなっていて良い(ただし本編ステージに限る)。
あと、「新・紋章の謎」からだと思ったが、敵の増援が来ることを事前に教えてくれるのも親切で良い。

インターフェイスとグラフィックなどについて。
メニュー周りの操作性や画面構成は完成されているので特に書くことはないのだが、2点だけ指摘する。
タッチパネル端末が普及してきたせいだと思うが、下画面に表示されるユニットのステータス画面や全体マップの操作が、ボタン操作でフォローしていないこと。
通常のゲーム進行においてはボタン操作で問題なく動かせるのだが、だからこそ全部の操作をボタンでも出来るようにして欲しかった。
この時代に貧乏性過ぎるかもしれないが、液晶保護シートをつけてても、画面が指紋だらけになって汚くなるのが自分は好きではない。
ゲーム機にはゲーム機の最適なインターフェイスというのがあると思うので、ボタン操作で大抵のことができるなら、全部できるように徹底したほうがいいと思う。細かいことだができればそこまで気を使って欲しかった。

もう1点は、駄目って言うほどじゃあないのだが、2画面に情報を分散しすぎてる感じがする。
最たる例が戦闘シーンで、上画面に表示されるのは戦闘アニメーションのみ。HP等の情報は下画面に表示させてるのだが、これだと戦闘結果が気になってる時は、下ばっかり見てせっかく凝ったフルポリゴンの戦闘アニメがじっくり見れない。
画面の解像度やサイズの関係もあって、考えぬいた結果こういう画面構成になったのだろう。長年続いている人気シリーズなのだから、もうひとつ頑張って欲しかったというのが正直なところだ。

ステージマップは、フィールドがポリゴン、ユニットがスプライトで表示されている。携帯機の性能が上がったこともあり、とうとうゲームキューブ、Wii版のファイアーエムブレムに近い表現技巧が使われるようになった。
ゲームキューブ、Wii版の時は、ユニットも全部フルポリゴンで、ゲーム画面としては一体感はあったが、無機質な表示であまり好きになれなかった。
今回はキャラクタはスプライトで描かれているので、記号的にもわかりやすくなったし、親近感を持てる絵面になっている。
しかし、ポリゴンのフィールドの上にスプライトのキャラを載せているので、なんだか浮いたような印象を与える。

そもそも完全平面のステージマップで作られているファイアーエムブレムは、立体表現を目的としたポリゴン描画との相性ははっきりいって良くない。
かといって、いまさらDS版のように2Dマップで表現するわけにもいかないし、解像度のせいもあって広い視野を取ることが難しく、いちいち画面をスクロールして確認するという手間が生じる。

そこで、マップをポリゴン化したことで、カメラ操作出来るようにして、この辺の問題の解決を計ったのだろうが、ほぼマップ全体を見渡せる遠距離にすると、見やすくはなるのだがユニットのグラフィックが豆粒になってしまう。
デフォルトの近距離でも、そこまで不自由ではないのだが、やはり視野が狭く、なんというか、2Dドット表示と違って、下手にカメラ操作出来るせいもあって、表示形式がかっちり定まっていないため、画面外の隠れて見えない部分になんとなくストレスを感じてしまう。
また、ポリゴンのマップでは、記号性に乏しく、このマス目(絵柄)は何を表しているのか?通り抜けできるのか?といった決まりごとがわかりにくい。

この辺の問題点は、2D時代のゲームシステムをそのまま使っているからこそ起こる問題で、明快な解決策が無いのがもどかしいところだ。

個人的には、GBA時代のファイアーエムブレムがハードウェア性能と、ゲームデザインが見事に合致していて最強!と思っている。

グラフィックについては、キャラクタのモデリング(テクスチャー)、モーションが少々古臭いというか所々弱いと感じることがあった。
とはいえ、戦闘シーンは切り替わりが早いし、戦闘シーン自体もスピード感をかなり気にしていて、非常にテンポが良く、かつ、ダイナミックで見応えがある。
ステージマップのBGMを敵味方で1種類ずつ、非戦闘、戦闘時でアレンジして使いまわすことで、SLG特有のダラダラした感じをなくさせようという細かい努力が見られるのもいい。

ストーリーについて。
個人的に一番がっかりした部分だ。
力を入れたのは伝わってくるのだが、ファイアーエムブレムとしてはイベントシーンが冗長だし、その割にキャラクタ名や固有名詞がなかなか頭に入ってこず、覚えづらい。つまり、テキストが弱い。
ムービーも挿入されて、こちらも力が入っているのだが、ムービーが流れだすと、プレイヤーとしてはなんだかゲームの外に放り出された感じで、虚しい(これは、このゲームに限ったことではないのだが)。
この挿入頻度なら、頑張ってイラストとテキストで表現して欲しかったというのが正直な印象である。

テキストで言えば、装備品で、今までずっと「はがねの剣」などひらがなで表記されていたものが突然漢字表記になったり、なんだか余計なものまで漢字にしてしまっているのが気になった。

また、シリーズとしては初の挑戦かもしれないが、時間転移ものは、最近流行っているのかゲームシナリオとしては使い尽くされていて、正直時期が悪かったと思う。
まさか、そんなはずはないと思ってはいるのだが、5pb.「シュタインズゲート」の影響を受けているのではないか?と勘ぐってしまう。別会社のゲームになるが「ブレイブリーデフォルト」は、シュタインズゲートの脚本家を起用した理由に「影響を受けた」とはっきり公言している。

イベントシーンの構図は、相変わらずバスト絵に吹き出しの台詞だが、バックでは、ポリゴンキャラが大写しになってイベントに合わせて演技をするようになった。
ゲームキューブ、Wiiの時もポリゴンだったが、まったく活用されていなかったので、進歩をしたと言える。

それから、これは、このシリーズの悪しき伝統だと思っているのだが、世界観を「暗黒竜と光の剣」と関連をもたせている点だ。
なんというか、未だに未練がましく一作目の成功にすがっているというか、どうせなら完全新規の世界で勝負してきて欲しかった。

ボイスの導入について。やけに有名声優を起用しているが、フルボイスではなく、戦闘時の掛け声、イベントでは台詞表示時に一声感情に合わせた声が出る程度だ(「ゼルダの伝説 時のオカリナ」と同じ手法である)。
これは、とても良い使い方をしていると感じた。あまりに声での自己主張が強すぎたら、逆効果になることもあり得るので、このあたり非常に慎重に決めたのだと思う。

最後になるが、軽くまとめる。

フリーマップで経験値稼ぎが出来たり、事実上無限にレベル上げが出来るようになったり、逆にわかりづらい要素をバッサリ切ったり、長いことこのシリーズは、新規プレイヤーへの配慮を行なってきた。
それが今作になってようやく実を結び、綺麗にまとまっていて、とても遊びやすいゲームに仕上がっている。
シリーズでも最大のボリュームにしたと「社長が訊く」で語っていたので、ゲームキューブ版、Wii版並みに長いのかと思っていたが、やらなくてもいい外伝(サブ)マップが多く、本編ステージは丁度よい長さになっていて良かった。
正直、「蒼炎の軌跡」「暁の女神」は長すぎて途中でダレた(勿論クリアーまでやったが)。

コザキユースケのキャラデザも、無難に売れ筋を狙ってきてる感じで悪くない(特にこれといったクセがない点が良い)。

このゲームから任天堂もいよいよ有料追加コンテンツに参入することで非常に話題となった。追加マップを有料で配信しており、クリアするとキャラクタが仲間になる仕組みになっている。
無料で配信されているものを試しにやってみたのだが、マップごとに違う絵師がデザインしたキャラクターが出てくる(キャラデザが違う時点で個人的には「ないなぁ」と思ったが)。複数の絵師を採用してるのは話題作りのためだろう。
巷では大きく騒がれているが、ここでは特に触れることはない。ただ、任天堂は生粋のゲーマー相手に商売しているところがあり、ただの追加コスチュームみたいなどうでもいいようなものではなく、
ゲームソフトを持っている人に対して、ある意味エグい(購買意欲をそそる)売り方をしてくるのは間違いない。

様々な新システムや、有料追加コンテンツへの対応など、買う前はまるで期待が持てず、酷評する気満々だったのだが、いざ触ってみると、非常にしっかり出来ていて、感心させられてしまった。
そこらじゅうで集大成集大成とふかしてて、これが最後の作品になるんじゃないかっていうぐらい心配になるのだが、せっかくこれだけいいものが作れたのだから、まだまだシリーズ続けてもバチは当たらない。そこで結論。

新システムは見掛け倒しじゃないぞ!遊べ!





[2012/04/28]
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