ファイアーエムブレム 新・紋章の謎 光と影の英雄


対応機種ニンテンドーDS
発売日2010/07/15
価格4800円
発売元任天堂

(c)2010 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS
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人気シミュレーションRPGファイアーエムブレムのDS版二作目。
1994年にスーパーファミコンで発売された「紋章の謎」第二部の部分をフルリメイクしたものである。

このスーパーファミコン版「紋章の謎」は二部構成で、第一部の方は、ファミリーコンピュータ第一作目を収録した内容になっていて、第一部の部分も既にDSでリメイクされている(「新・暗黒竜と光の剣」のことである)。
まあ第一部の方を移植したのだから、ストーリーにつながりがある第二部の方も当然出すだろうとは思っていたが、発売まで結構な間が空いてしまった(最近このシリーズは1年に1本のペースだから、続き物でもあるわけだしそれぐらいで出して欲しかった気がする)。
これはどうやら、追加要素や根幹にかかるゲームシステムの見直しなどに思いのほか時間がかかってしまったためのようである。

前作のシステムエンジンを使い回しているので、ゲーム的に新しいところに乏しく、本作で改めて指摘するところは少ない。
強いて言えば、キャラクターグラフィックで、黒縁の輪郭線が無くなって、ドット絵に近い見た目になり、違和感が無くなっているぐらいだ。

ファイアーエムブレムといえば、手強いシミュレーションで、中でも「失った仲間は二度と戻ってこない」のが非常に有名であり、ウリとして売ってきた。
しかし今回初めて、その常識を打ち壊した。「カジュアルモード」が追加され、ゲーム開始時にこちらを選択すると、ゲーム上でユニットを死なせてしまっても次の章で復活する。勿論従来通り失ったら戻ってこない「クラシックモード」も存在する。
このモードの搭載は物議を醸しただろう。しかし、逆に考えられないだろうか。今までストイックすぎてついてこれなかった人でも楽しめるように間口を広げるための配慮だと。

これまでこのシリーズでは、新規のプレイヤーにも入ってこれるよう様々な試行錯誤を行って来た。しかし、遊びなれた人とそうじゃない人が同じ条件で楽しめるようにゲームを作るのは困難なのだ。
実際、最近のこのシリーズは難易度が下がってしまったという熱心なシリーズファンの声も決して少なくなかった。

そこで最終的な着地点として、最初に実に4段階もの難易度から自分の挑戦したいものを選び、さらに「カジュアル」で遊ぶか「クラシック」で遊ぶか、プレイヤーに判断を委ねる選択式を採用した。
難易度選択に関しても、一度通常モードをクリアしないと上位の難易度が出現しないというものではなく、買ってきてすぐに最も難しい難易度に挑むことが出来る。

前作で登場した「途中セーブ」も、色々言われたが、敢えて使わずにクリアも出来る。遊び方の幅が広がっただけであって、これらの便利システムを導入したからと言って、ゲームがつまらなくなる原因にはならない。
例えば、かつては学生でゲームに熱中できる時間があったとしても、年月が経ち、なかなかゲームを遊ぶ時間を作れなくなってしまった人にとっても、こういう機能の導入は素直に嬉しいと言えるのではないだろうか。
ただでさえ、もう20周年を迎えた長寿シリーズだ。シリーズファンの高齢化も気になるところだ。

「ファイアーエムブレム」はシミュレーションRPGの中でも、唯一無二のストイックさをいつまでも貫くべきだという声もあるかもしれない。
しかし、昔は好きだったとしても、環境の変化などによって、「あのゲームはしんどいからやらない」とそっぽを向かれるのが一番ゲームとしては痛い。

他にも準備画面が便利になって、仲間との会話モードが充実していたり(蛇足と感じる人もいるかもしれない)、訓練場でお金を払ってレベル上げをすることが出来る。従来の闘技場と同じ役割だが、経験値稼ぎの敷居が下がったと言える。

前作でも感じたのだが、ゲームボーイアドバンスやゲームキューブ版といった割と新しめの作品からプレイし始めた人が、初回のプレイで歯ごたえのある難易度を選びたい時に、丁度良い難易度が無い。
というのも、ハードモードにすると、マップ上に敵の増援が出現した瞬間に動き始める。最近のこのシリーズは、増援部隊は出現して次のターンから行動するようになっている。
つまりどこに出るやら分からない増援ユニットが突然出現して自軍に攻撃を仕掛けられる。事前に分かっていれば対処しやすいのだが、初回プレイではこの仕様だと訳も分からずやられてしまうことがある。
出現して1ターン猶予があると、それなりに対応できる。しかし、突然動き出されると理不尽さを感じてしまう。昔の作品はすぐに攻撃を食らって手痛い思い出があったと思うが、
最近のファイアーエムブレムの増援システム(1ターン猶予がある方)に慣れきってしまったプレイヤーも多いのではないだろうか。

増援が来るけど、すぐには動かない難易度がノーマルしかない。だが、ノーマルモードだと腕に自信はないかもしれないが、シリーズを何作かクリアしている人にとっては物足りない。

ただ、本作の場合、増援がどこにどのタイミングで補充されるか、ゲーム上で必ず示される。この仕組みがゲーム開始前にわかってさえいれば、ハードモードで挑んだのだが…。
また、敵ユニットを仲間にするやり方も、誰が話しかければよいかなど、しっかり教えてくれる。前作「暗黒竜と光の剣」と密接に世界観がつながっているから、そうせざるを得ない事情もあるのだろうが、
プレイヤーに不条理さを感じさせないよう、情報をしっかり与える配慮には、やりすぎの声もあるかもしれないが、素直に拍手したいところだ。過去作では、仲間にできそうなユニットがいても、やり方がイマイチピンと来ないケースも少なくなかった。

物語に入れ込むタイプのゲームだとは思わないが、一応解説モードが搭載され、固有名詞や登場人物について調べることが出来る。続き物のストーリーだが、これ単体でも問題なく楽しめるとは思う。

これだけでもかなりのテコ入れだと感じると思うが、まだ弱いと感じたのか、自分の分身を作ってゲーム上に登場させる「マイユニット」というシステムまで追加された。
ただしあくまでも物語上の主役はマルスであり、このユニットの戦闘参加は強制されない。マイユニット向けのストーリーも追加されているが、どうしても後付け感が否めない。ただ、本編にガンガン絡んできてしゃべりまくる割に意外と感情移入出来る内容だったので、面白い試みだったと言える。

特に書く事はなかったはずだったのだが、結構熱く語ってしまった。ゲーム自体は前作のプログラムの使い回しだし、システム周りも完成されきったゲームなので、安定して遊べるシリーズである。
あとはリメイクの方向性の好き嫌いといった個人の好みになっていくだろう。ちなみに前作のリメイクで大不評だった、絶対に全ユニットを集められない救済ユニットのシステムは撤廃されている。

サテラビューで昔配信されていたアカネイア戦記が収録されているのはサービス精神旺盛だと思う。遊べなかった人の方が圧倒的に多かっただろう。
しかしそろそろ完全新作を遊びたいと思うのは自分だけだろうか?追加要素もかなり多く、新作に近いクオリティはあるが、個人的にもうマルスはいい。そこで結論。

シリーズ未経験者にこそオススメしたい。勿論原作を遊び倒した人も楽しいはず。買え!!





[2010/07/19]
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