ファイアーエムブレム 封印の剣


対応機種ゲームボーイアドバンス
発売日2002/03/29
価格4800円
発売元任天堂

(c)2002 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS
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人気シミュレーションRPG「ファイアーエムブレム」が、ゲームボーイアドバンスで登場だ!!
テレビコマーシャルでは、ファミコン版第一作目を彷彿とさせる映像とCMソングが使われ、大きな反響を呼んだ。

全体的なゲームの方向性として強く感じられるのが、幅広い客層に売りたいという姿勢である。
このシリーズは、「ゲーム中に死んでしまったユニットは二度と戻ってこない」というイメージが先行しており、腕に覚えがあるプレイヤー以外寄り付かないものになってしまった。
一定のファン向けに、硬派な路線で売り続けていても、それはそれで一定の支持は得られるのだろうが、シリーズの寿命としては先細るばかりで発展性がない。
そこで今作を期に、「紋章の謎」の時のように、多くの人に遊んでもらうべく、仕切り直そうという努力が節々に見られる。

具体的には、シミュレーションRPGを遊び慣れていない人、シリーズ未経験者でも、楽しめるような配慮が徹底されていることが挙げられる。
メニュー画面に「チュートリアル」の項目があり、この中では、シミュレーションの基本ルール・操作方法に至るまで、丹念にレクチャーしてもらえる。
また、シリーズ経験者やゲーム慣れした人ならば“知ってて当たり前”の部分も、しっかり見逃さずゲーム上で情報を与えてくれる。このように、ゲームに不慣れなプレイヤーでも入っていける作りになっている。

ビジュアルデザイン、シナリオデザインも一新されている。
「ファイアーエムブレム」が登場したときは、「ロードス島戦記」のような路線が流行っており、それに即してハードな世界観だった。
いっぽう今作では、時代の流行りに合わせたのか、マンガチックな要素が入りライトファンタジー的色合いが強くなっている。
これには好みが分かれるだろうが、個人的にはアリなリニューアルだと思う。
無難すぎる、子供向け万人向けを意識しすぎてる感は否めないのだが、王道を意識した作りとしてはとりあえずはこんなところではないだろうか。

ゲームシステムは、一言で言えば“原点回帰”を狙っている。
「暗黒竜と光の剣」や「紋章の謎」の頃のような、シンプルで遊びやすいものを目指した感じだ。

過去シリーズを踏まえて、良いシステムは残し、手の込んだシステムは排除するという取捨選択を行っている。
排除されたシステムは、騎乗ユニットの再移動と建物内での乗り降り、スキルシステム、といったところだ。
騎乗ユニットの再移動は面白いシステムだったが、敵も使ってくるため、駆け引きとしては面白いが、敷居を高めていたのも確かだ。
スキルシステムは派手でユニット個人の個性を出すための要素としては面白いが、単純明快さを追求した結果、外したのだろう。

継承されたシステムとしては、武器の三すくみ、「トラキア776」で登場した「救出」、視界が遮られる索敵フィールドなど。
「救出」は、かなり使い勝手が良くなっており、使いこなすためのコツも必要ない。「救出」コマンドを使いこなしている人ならかなり楽に進められるといった位置に存在している。

索敵フィールドは、自軍ユニットの周り以外、敵ユニットを見ることが出来ないマップで、間口を広める今作の企画意図と相反していてマニアックすぎないかと思ったが、極端に難しくしているマップも無く、バランスはとれている。

一番気になるだろう、ゲームの難易度についてだが、従来作より抑え目になっていて、遊びやすくなっている。
簡単すぎるといった感じではなく、S.RPGやり慣れてる人やシリーズ経験者なら、その腕相応の手際の良さを出せるし、S.RPGをあまりプレイしていない人なら、難しさを感じる作りでバランスはいい。

ただ、真のエンディングを見るための条件がナンセンスに感じた。ある程度話の流れから予測はつくのだが、特定のステージで規定ターン以内にクリアしなければならないという内容は、ちょっと厳しい。
知らずにやれば、当然ターン数を気にしないでプレイする。知った上でやるのとでは大違いとなる。このへんのフォローがちょっと下手くそに感じた。

ゲーム内容よりも、とにかくこっちを特筆したかったのだが、プログラム周りが本当に良く出来ている。
なんだか任天堂製のゲームボーイアドバンスのソフトでは毎回書いている気がするが、本当にゲームボーイアドバンスで動いているのか?!というほど、クオリティが高い。
BGMの音質の良さ、戦闘シーンの切り替わりの早さ、戦闘でのドット絵アニメパターンの豊富さ、全体的な処理の早さ、全てが快適で圧倒的で、綺麗にまとまっている。
インターフェイスの良さも驚異的で、各社GBAの画面解像度の小ささに頭を悩ませてゲームを作っているが、「ファイアーエムブレム」では、画面の狭さが気になることのないウィンドウ構成で、快適にプレイできる。

これまでこのシリーズは、戦闘前に戦う相手のステータスをにらめっこして受けるダメージ与えるダメージを暗算する必要があった。
今回は、戦闘前にいちいち暗算していた部分を自動計算して表示してくれる機能が付いたことで、かなり遊びやすくなった。

シミュレーションRPGは冗長で、携帯ゲーム機とは相性が悪いと思っていたが、快適に遊べるような配慮とテンポを気にしており、空いた時間にちょっと遊ぶというプレイスタイルが合うように作られているのも良い。
今述べた自動計算機能に加え、「中断」コマンドを選ばず、ゲーム中にいきなり電源を切っても、勝手に「中断データ」を作ってくれるオートセーブ機能は、目立たないが非常に画期的で便利な機能だ。

褒めちぎっているが、最後に贅沢な不満を述べる。
テイストが変わったものの、ストーリーも、ゲーム内容も、まさにこれぞファイアーエムブレムと言わんばかりのものになっている。
だが、基本をまったく外さないために、基本に忠実すぎて、今作独自の魅力や目新しさに乏しく深みが足りないのだ。
なんというか、万人受けを狙った優等生であるがゆえの、つまらなさといった感じである。

元々、迷走気味のシリーズを立て直し、一度“原点に帰る”という意図で制作していただろうことから、この不満は贅沢でしか無い。
ただ、序盤に出てくるしおらしいシスター、寡黙な剣士など、あまりに踏襲し過ぎてシリーズお約束の展開に嬉しい反面、直球すぎる捻りのなさに「うーん」と唸ってしまう気持ちもあった。

色々書いてきたが、「ファイアーエムブレム」を高いクオリティで再構築したという事実は確かに存在している。そこで結論。

躊躇していた人も、シリーズファンもしっかり楽しめる傑作。遊べ!!





[2013/08/17]
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