ファイアーエムブレム 烈火の剣


対応機種ゲームボーイアドバンス
発売日2003/04/25
価格4800円
発売元任天堂

(c)2003 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS
戻る
Amazonリンク:ファイアーエムブレム 烈火の剣

「ファイアーエムブレム 封印の剣」の20年前の世界を描いた、シリーズ新作が約1年で早くも登場だ。

システムエンジンは優秀だった前作のものを流用しているため、プログラム周りについては特に見どころがない。
また、インターフェイスやゲームシステムについても、ほとんど前作と変わりが無い。
実の所、前作と比べ、見た目も中身も目新しさがないため、これといって書くことがない(ゲームの出来が悪いという話ではない)。

しかし、ゲーム内容については、いくつか挑戦的な要素が見られたので、そこら辺を指摘していく。

ゲーム初心者をより意識した内容になっている。
「封印の剣」でも、間口を広げる配慮が見られたが、「烈火の剣」では、その方向性がさらに強まり明確化している。

例えば、最初の10章まではチュートリアルステージになっていて、ゲームを進めながら、シミュレーションRPGの遊び方や進め方を、かなり丁寧に教えてくれる。
手際よくやっても3時間ぐらいかかるボリュームだが、ちゃんとストーリー仕立てになっているため、苦痛感はない。
前作のクリアデータを読みこませれば、実質本編となる11章からスタートできるスキップ機能もある。しかし、普通の人は序章からプレイするだろう(主に2周目以降に使われる機能だろう)。

また、ゲームの難易度もさらに下がっている。「ファイアーエムブレム」特有の難しさである、頭を抱えるような局面がほぼまったくない。
個人的にはやりすぎな気もしないでもないが、一般的なゲームプレイヤーが、ストレスを感じること無くゲームクリアまで遊べるようにするには、これぐらいやらなければならないのだろう。
ゲーム中盤以降にも、お助けキャラ的な強力な仲間が簡単に加入したり、成長率の低いいわゆるハズレキャラが少ない。

具体的な今作の戦闘バランスの特徴を述べる。
難易度が下がった原因の一つとして挙げられるのが、増援ユニットが出現したターンで行動するのではなく、出現2ターン目から行動を開始するようになったことだろう。
これのおかげで、ちょっと無茶をして攻め上がっても、増援ユニットに対して対応することができる。
全体的に簡単になったが、ボス格のユニットは、比較的パラメータが高めで、強いキャラ1人での力押しが通用しづらくなっているなどが、ざっと感じた点だ。

なんにせよ、シリーズのファンとしては、拍子抜けするヌルさで、物足りなさを感じるかもしれないが、クリア後にハードモードが追加されるなどで一応のフォローはされている。

シナリオ、イベントシーンにかなり力が入っている。
イベント中に一枚絵が挿入されるようになったり、テキストの量が大幅に増え、ボリューム感のある内容になった。ただ、ゲームとしてはちと冗長になった気がする。

ストーリーのテイストが大きく変わった。
これまで中世ヨーロッパの世界観で起こる戦争を描いていたシリーズだったが、今作では一転して少年バトル漫画のような勧善懲悪なシナリオになった。
これには賛否がわかれる部分だと思う。シリーズの味とも言える伝統を崩して、個を重視した路線となっている。個人的にはシリーズの可能性を広げる挑戦だと前向きに取りたい。

「封印の剣」とストーリーがつながっていることから、「封印の剣」をやってないと楽しめないんじゃないかという印象を持たれがちだが、
話がリンクしている部分は若干はあるものの、そもそもストーリーの毛色が全く異なるため、そのへんは気にしなくても十分楽しめる。
個人的には、システム周りだけでなく、世界観まで流用して、うまく楽をして作っているなぁと感じた。中々のしたたかさを見せている(ついでに言うと、BGMもアレンジバージョンなどで流用がかなり多い)。

前作が、あまりにシリーズらしさを踏襲し過ぎたために、意外性に乏しかったものだが、今回は2作目ということで、余裕のある作り込みが見られる。
仲間となって戦う登場キャラクターたちは、良くも悪くも好き嫌いが出るほど個性的な性格を持ったキャラが増え、斧使いのロードや女性主人公(チュートリアル編)といった新しい組み合わせも多々見られる。
戦闘前に攻略のヒントをもらえる「占い屋」、地雷や結界といったトラップアイテムの追加、ターン経過で天候が変化して移動力に影響を及ぼすマップなど、色々と新しい要素を積極的に導入しようという意気込みも見て取れる(成功してるかどうかはともかくとして)。

敵の配置やマップの構造、全体的なゲームの作りは、「封印の剣」よりこなれてきて、引き締まって面白くなったと感じた。そこで結論。

シリーズ入門に最適の一本(作風の変化はいい傾向だと個人的には思う)。





[2013/08/24]
戻る

inserted by FC2 system