ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡


対応機種ゲームキューブ
発売日2005/04/20
価格6800円
発売元任天堂

(c)2005 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS
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「失ったユニットは二度と蘇らない」でお馴染み、人気S.RPGシリーズ「ファイアーエムブレム」が
遂にゲームキューブにやってきた。ここ数年はGBAで発売されていた作品だが、久し振りの据え置き機で
どのような進化を遂げているのかも気になるところだ。

基本的にGBAの内容をそのままGCでやっているという感じで、目立った新鮮さは無いが、
完成されたシステムを下手にいじることなく持ってきているので、相変わらず安定して遊べる。

特に懸念されるのが、ゲーム全体のテンポを携帯機(従来作)並に維持出来ているかという点であるのだが、
描写方法がポリゴンに変わろうとも、媒体がCDになろうとも、ほぼそのままのプレイ感覚を維持出来ている。
これは実は結構凄いことである。
戦闘アニメをオンにしていても、切り替わりのアクセスが早く待たされていると感じることはゲーム全体を通しても全く無い。
ただ、ペースを優先した結果、戦闘の演出はあっさりしていて残念なことに見応えはあまりない。これは惜しいものがある。

リセットを多用するシリーズだが、本作ではリセットからの復帰が早く出来るよう工夫がされているのは良かった。

今回はストーリーのテキストの分量が多く、見る時間がかなり多くなっている。
このシリーズにおける物語の位置づけは、ステージマップで戦わせるお膳立て程度でしか無いために、
なるたけ簡素に収められている傾向があるため、気にならなかったのだが、
つまらなくもないが、面白味も無い程度のシナリオをだらだら見せられてもはっきりいってだるい。
そういうのは最低限にまとめて、すぐにゲームを遊ばせて欲しかった。

新たな試みとして、ムービーシーンの挿入がある。これの出来がなかなか良い。
恐らく、トゥーンシェイドで、水彩画のようなかなり淡い色遣いで彩色しているのか、
他では見られない独創的な雰囲気が出せている。
まさにイメージイラストがそのまま立体になって動いているという感じで、凄く綺麗。
ムービーのみ声を入れていたりと、かなり頑張っている。
しかし、ムービーの分量が少なく挿入されたとしても希なのは残念。
ここまで出来がいいのだから、パンパンにムービーを入れまくるという力押しのやり方で
物語を描けば、だいぶ印象が変わっただろうに。

実際、ストーリーの描写法は、SFC時代から代わり映えのない、テキストベースの物で
背景の一枚絵が綺麗だったりするが、やはり古くささは否めない。

戦闘シーンもステージマップも全て当然ながらポリゴン化されている。
しかし、マップ自体は従来作に準じた作りで、ただこれまでのドットマップをポリゴンに起こしただけである。
視点もある程度動かせるが、角度調節は左右45度に制限されている。
というか、カメラの角度を変える必要のないマップ構成なので、意味は全く無いと言っていい。
それほど、従来のドットマップを踏襲しているのである。
欲張って下手な冒険をして失敗するよりかは賢明な選択ではある、しかし立体交差程度のギミックはあっても良かった。

ポリゴンで描かれてるが、マス目のグリッド方式はそのままである。
だが、マップ造形がポリゴン故におおらかに描かれているので、細かな地形が把握しづらい。
また、ユニット一体一体もポリゴンで描かれているために、パッと見ただけでそのキャラが
なんのクラスなのか、どのキャラなのか判別がしづらい。
一応、カメラをS.M.Lと切り替えることが出来るが、寄せすぎると全体像が分かり辛くなり、
引きすぎると、今度はユニットが見辛くなってしまう。
とにかく目が疲れる。何とかして欲しい。カメラ操作もただただ面倒。

行動済みのユニットの色分けなんかもあるが、これまた見辛く殆ど機能していない。
背景と溶け込みかかっているユニットもいるので、見落としてしまうことも珍しくなかった。

ゲームシステムは好評だったSFCの「聖戦の系譜」「トラキア776」辺りのものを復活させていて、
ほぼ全ての要素が入っている。
代表的なものを挙げると、騎乗ユニットの再移動制度の復活、スキル制の復活、クリア条件に離脱、到達の追加、などなど。
出来ることが増えた分、覚えることも増えたわけで、少々システムが立て込んできた気がする。
GBAで出す時に、せっかくバッサリと絞り込んだのが遊びやすさを生み出していたわけだが、
ここに来て、また多少ながらも取っつきを悪くしてる気がする。

とはいえ、GBA「烈火の剣」頃から、初心者にも過剰に意識した作り込みは本作でも健在で、
GBA「聖魔の光石」の辞書機能を発展させた指南コマンドでいつでもゲームのチュートリアルを閲覧することが出来る。
同じく「聖魔」のように、マップとマップの間に拠点モードを挟むことで、戦闘準備がしやすく改良されている。
ここでは、スキルを付けたり武器防具の買い物を従来ではステージ攻略中に行っていたところまで
非戦闘時に気の済むまで準備が出来ることから遊びやすくはなっている。
ただし、やっぱりそんな配慮がありつつも「やらなくてはならないこと」「覚えなくてはならないこと」が
まず先だって負担になっているように思われる。

手早くクリアすることでボーナス経験値が得られるようになり、効率よくクリアする意味が出てきた。
ボーナス経験値は拠点で好きなキャラに好きなだけ振り分けることができて、育成の方向性を定めやすい。
合理的なシステムではあるが、実際に戦って経験値を得るわけではない、数字だけのやりとりなので育成の面白味が薄くなった気もする。
確かに便利ではある。

また、親切設計な割に、ステージマップに入ってからは輸送隊とアイテムのやりとりが出来ないのは不満。
開始前に敵配置を確認出来るとはいえ、なんの武器が必要かどうかなんかはやっぱり戦ってみないと分からない。
やっている最中に、あれがやっぱり必要だった、これが欲しかったという後悔することが非常に多かった。
この辺りで、なぜ融通の利かない作りにしてしまったのか理解に苦しむ。

あと、買い物周りのインターフェースが今ひとつこなれていなくて、
特に売却時の処理が、輸送隊のものから個別に所持しているものまで一緒くたにされてしまうのでやりづらい。
一応、ウィンドウに所持者のグラフィックが半透明に表示される処理はあるが、GBAのときは輸送隊と個別所持のアイテムは
別個に選択する形式だったのだから、わざわざ分かりやすい形式を変更するのは良いこととは言えない。

最初に難易度選択が出来て、ハードの説明文が「シリーズとしては標準的難度」ということや、実際の感覚からしても
ノーマル、ハード、マニアックとあるが、実質、イージー、ノーマル、ハードである。
最終的にプレイヤーの難易度選択に頼ってしまっているのは、逃げという気がしないでも無い。
コアなプレイヤーからは、奥深いものを求められているので仕方ないのかもしれないが。

S.RPGは攻略に時間のかかりやすいジャンルであるが、本作はそれでも序盤を除いて
1マップに1時間〜2時間はかかってしまう。さすがにちょっと長すぎる。
長いからやりごたえがあるとは限らない。後半は特に詰め込みすぎな印象を持った。
長くても退屈しない工夫があればよいのだが、そういう工夫はあまり見受けられない。
本筋のストーリーの長さ、拠点の戦闘準備などで、流れ的にはちょっとだらけてしまっている。
据え置き機だから多少冗長でも許されるかという認識は筋違いである。

音楽は最近流行りなのかこのゲームもフルオーケストラである。
重厚な雰囲気は良く出ているのだが、ゲームの音楽としては退屈極まりない。
胃もたれを起こすかのような重苦しさと、自己主張の弱いメロディーのわりに、ただうるさく流れているという、
もっと刺激的なBGMでもいいように思う。

色々と既存作品から差別化を図ろうという努力は分かるのだが、それが実を結んでいない。
スキル制なんかはなかなか目新しさを望めるものかと思ったが、バランス取りの面から意外と地味で、今ひとつ面白くないものだった。
GBAで既に3作出ていて、それを踏まえたゲームキューブ版である。そろそろ、目立った変化を期待しても良い頃かと思う。
そういった意味も込めて、敢えて厳しめに書いた。
まぁ、それでもなんだんかんだいって楽しく遊べるゲームではある。

据え置き機の恩恵は無いが、手堅く遊べる作品。





[2005/05/17]
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