ファイアーエムブレム 紋章の謎


対応機種スーパーファミコン
発売日1994/01/21
価格9800円
発売元任天堂

(c)1990 1993 Nintendo
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ファミコン「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」にシナリオを追加してリメイクした作品である。

大筋のゲーム内容及びシステムに関しては、ファミコン版の方で触れているので、この項目では改良点を中心に書く。

スーパーファミコンになって、処理能力が向上して、ファミコン版にあった不満点のほとんどが解消されている。
沢山のデータを扱えるようになったために、一人あたり持てる道具の数が増えたこと、預けられる道具の数も大幅に増えて不自由する必要がなくなった。
操作性も良くなり、ウィンドウの開閉やCPUの思考時間など、処理速度の高速化によって、快適にプレイできるようになっている。
最大の不満だった、ユニットの移動範囲については、今作ではきちんと可視化され、一々カーソルを動かすこと無くユニットの移動範囲を見られるようになった。

ゲームバランスにも見直しが図られており、大きく変わったのは2点。
ペガサスナイトが魔法防御力を持つようになったことと、攻撃手段を持たないシスターの経験値の入り方が変わって、杖を使うだけで成長するようになった。

ファミコン版では、気に入ったキャラが何人かできてもクラスチェンジできるアイテムが少なく、足りないせいで成長が打ち止めになってつまらなくなっていたが、この辺も沢山手に入るように調整されて、大方解決している。

グラフィックもパワーアップしており、顔グラフィックはちゃんと描き分けがなされて個性的になり、戦闘シーンは背景がつき、アニメパターンもきめ細やかになってエフェクトも豪華に見栄えが良くなっている。

他にも、やっとSLGの作り方がこなれてきたのか、広いマップでも敵の配置が練りこまれているので、移動だけでターンが終わるといったお粗末なことが起こらず、テンポよくゲームが展開し、冗長さがなくなっている。
ただし、一部のステージではまだ、そういったタルいところが残っていたのが残念だった。

二部構成になっており、第一部はファミコン版「暗黒竜と光の剣」。第二部が新作「紋章の謎」編となっており、各20ステージで合計40面という大ボリュームっぷりである。

第一部のファミコン版のリメイクは、イマイチなステージ5つを省いた20ステージになっていて、バランスもだいぶ良くなり楽しく遊ぶことが出来るようになっている。
第二部の新作の方は、第一部の完全な続き物で、ストーリーが連続している。

そこまではいいのだが、比較的難易度もマニアックに調整されており、どちらを遊ぶか選択できるものの事実上第一部プレイ済み前提の作りなのはどうかと感じた。
第一部のバランスの良さと比べると、全体的に戦略性というより製作者の意図した動きを強制されるような一方的なステージが目立ち、あまり面白いとは思えなかった。

他にも、武器や道具を補充するためのお店が中盤に全く置かれていなかったり、終盤にいたっては、遠距離攻撃の魔法ユニットばかり配置されていることが気になった。
この魔法ユニットは射程が広い割に攻撃力が高く、明確な射程が示されていないというのも問題だと思った。
射程の推測はできるのだが、厳しい配置なのを自覚しているのか、射程に入っていてもわざと攻撃しなかったり、たまに手を抜いた動きをしようとする。
問題なのは、手を抜いた動きをしたということをプレイヤーに悟られることだ。そういうやり方でしかバランスを取れなかったのなら、配置を見直すべきだと感じた。

後は、仲間に引きこむキャラが誰か教えてくれなかったり、もしくは、わかりづらい箇所がいくつかあったり、終盤は複数のマップをセーブポイントなしで連続で攻略しなければならないなど、
第一部の完成度の高さに反して、第二部は製作者の底意地の悪いバランス調整が目立って、素直に楽しめなかった。

とはいえ、元々のゲームデザイン(企画)に光るものがあって、それが今作によってようやく完成形に達したといっても過言ではない。それだけのクオリティを発揮しているのは事実だ。
任天堂の怒涛の宣伝攻勢も合わさり、一気に有名タイトルへと昇格した偉大な作品と言える。

SFC中期のゲームにしてはプログラムがやや弱い(主に音、映像面)印象があり、発売時期の割にハードを使いこなしてない感じはするが、そんなのは些細な話だ。そこで結論。

高い技術力と鋭い感性で綺麗にまとめあげられた作品。遊べ!!





[2013/01/09]
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