ファイナルファンタジー11 プロマシアの呪縛


対応機種プレイステーション2(HDD必須)
発売日2004/09/16
価格3980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2002-2004 SQUARE ENIX
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「ジラートの幻影」から1年半、オンライン専用MMORPGファイナルファンタジー11の
拡張ディスク第2弾「プロマシアの呪縛」が発売された。

今回の拡張は主にストーリーが中心で、ゲーム的な新しさは無い。
ジラートの幻影ではジョブが追加されたが、本作は拡張することで
ジョブが増えるようなことは無い。

追加されるものは、新エリアと新シナリオの2つ。
しかも、新シナリオをすすめないといけない場所なんてのも多く
イベントのために用意されたエリアというような、
オンラインRPGでは珍しく、かなりストーリー性の強い内容になっている。

しかし、逆から見れば、実に「ファイナルファンタジー」らしい拡張内容と言える。
元々、同シリーズはゲームよりも重厚なストーリーを求められる向きが強かった。
出来るならば、最初からこの水準で作るべきだった、とも言える。

拡張ディスク一本の中でも、シナリオ周りに開発力を集中させているため
ボリュームも作り込みも相当な物である。
これまで所属国別にも別にストーリーが用意されていて、
本筋1本と国別3本と分散された作りになっていたが、
今回はこれを一本化して作っているだけあって、
長さも中身の濃さも、これまでと比較出来ないほどもの凄いものがある。

物語に登場するキャラの自己主張も強く、本来のFF同様、
まさにプレイヤーおいてきぼり状態である。

だが、既に従来のFFファンからはあまりの大変さに見切りを付けられ
大半の残っているユーザーはネットゲーム畑の人ということもあって、
このストーリー重視な作りはあまり良い印象を持たれていないようだ。
前々から言われてはいたが、「ネットRPGの主役は自分自身」じゃないと
許せない価値観を共通して持っている彼らにとって
このシナリオはうざったいと思われてしまっているようだ。

マニア向けに作り込んだせいで
既にFF11はファイナルファンタジーであって、ファイナルファンタジーじゃない
コミュニティができあがっているように思う。

今回の拡張内容は、わりと低レベルから恩恵を受けられるように作られている。
追加エリアに関しても、スタート地点に近いところに入り口が設けられていたり、
新たなシナリオも、大体LV25程度でプロローグを拝むことが出来て、
最初のイベントを攻略するのにも、LVが30に制限されるので、
つまりは30レベルで挑めるようになっている。

但し、ジラートの幻影発売以降特に顕著に見られる傾向で、バランス取りが難しく設定されるせいで
「プロマシアの呪縛」ミッションを進めるには、高いプレイヤースキルが必要になっている。
これには萎えるばかりである。
レベル的には問題ないのだが、クリアするためには高レベル帯まで上げることで得られる
知識と操作技術が求められる。
プロマシアミッションは全体的に厳しいバランスなのだが、問題なのは一番最初のイベントから
既に高難度な点で、多くのプレイヤーが足止めを食った。
発売から数ヶ月経って、若干緩和された物の、やはりまだ難しめな印象は否めない。
特にボス戦では、相変わらず複数体を同時に相手しなくてはならないため、
各プレイヤーの状況や打ち合わせ通りに立ち回るなど臨機応変な対応を要求される。
通常のレベル上げでは敵は1体と戦うのが普通なので、慣れる機会もなかなか無くかなり難しい。

高レベル者も等しく同じ苦労を味わって欲しいのか、
プロマシアの呪縛ミッションでは、その殆どでレベル制限がかけられる。
主にボス戦で制限をかけられるのだが、
ひどいところでは通常のダンジョンでも、レベル制限を敷いているところもある。
このレベル制限自体に別に嫌悪感は無いのだが、
問題にしたいのは制限するレベル数である。
さっきも述べたとおり、初心者には厳しいバランスの最たる原因が
この制限レベルのシビアさにある。
レベル制限の概念が生まれたのは、ジラートの幻影発売前までさかのぼるが
このとき、本筋のストーリーで戦うボス戦でレベル制限を付けたのだが、
まだ、この段階では、「一人では無理にしたけど数人集めれば楽勝」程度な
ゆるい制限であった。
それがいつの間にかBCNM戦辺りの調整で感覚が麻痺したのか、
非常にギリギリの厳しい戦いを強いられるバランスに本作は持ってきてしまった。

さすがストーリー重視ということもあって、ボス戦の数も多く
連戦したりと、凝った内容になっているのだが、
このようなシビアな調整では、コアなプレイヤーは楽しめるかもしれないが
それ以外の人にとっては辛いだけではないかと思う。
RPGで詰まった時の一つの対処法として「レベルを上げて再挑戦」というものがある。
だが、それもレベル制限のせいで多少の下手さをレベルでカバーということが出来なくしてしまっている。
追加内容のメインが新シナリオだというのに、この敷居の高さはないだろう。

結局、ストーリー上にFFシリーズの隠しボスの常連である
オメガやアルテマウェポンが出てくることも合わせて
なんだか、通常のRPGの位置としてはクリア後のエクストラシナリオという向きが強くなってしまった。

今回追加されたエリアは、ジラートとは違い、色んな所にまばらに配置されており、
一つの大陸をまるごと入れたというような壮大さは無い代わりに
マップ一つ一つのバリエーションがとても豊富になっている。
特に今まで乏しかった高低差や立体感を重視しており、
かなり3Dならではの臨場感が出てきたように思う。
(ただ、制約上、跳んだりはねたりといった干渉出来るアクションが殆ど無いので寂しい)
新鮮さを感じたのはムバルポロスなど今回も1、2箇所に留まったが、
今回は造形やテクスチャーを組み合わせるなどの工夫を施すことで
既存の使い回しでもそれなりに目新しさを感じられる場所ばかりだった。
(ジラートの時のようにテクスチャは色を変えただけ、とか地形がちょっと違うだけで一緒という酷さは無い)
定期船も追加されて、なかなか遊び心のある、粋な作りである。

新モンスターは色々追加されているが、残念なことにレベル上げの狩り場として
活用されない強さに作ってしまい、その恩恵はあまり感じられなかった。
ジラートの時は、追加エリアの敵が効率良い相手にしてしまって文句が出たが
あれは同時に既存エリアの敵を強くしたから、あれだけ不評を買ったわけで、
プロマシアを買った旨みを感じられるようなバランス取りをすべきだった。
これでは、追加ストーリーを見るための拡張ディスクといわれても仕方が無い。
それと、追加エリアでは面白い仕掛けもふんだんに取り込まれているが、
全体的にただ単に意地悪なトラップという印象が強い。

プロマシア発売に合わせて、不正行為やレアモンスター独占などに対する厳しい対処が取られたり、
装備品に付加価値を持たせたり、食事効果を一新してゲームとして幅のあるものに
さらなる進化を遂げたのは評価したいが、
せっかくかたまってきたシステム周りをいじるにはちょっと遅すぎたとも思う。

見た目とは裏腹に、やはり今回もマニア向けです。





[2005/01/22]
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