ファイナルファンタジー11 アドゥリンの魔境


対応機種プレイステーション2(HDD必須)/Xbox360
発売日2013/03/27
価格3980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2002-2013 SQUARE ENIX
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6年ぶり、実に5枚目となる拡張データディスクが「アドゥリンの魔境」だ。

追加内容は、新エリア、新ジョブ(「魔導剣士」「風水士」)、新シナリオ、「開拓」をテーマとした新システム(新エリアのみ対象)など。
「アトルガンの秘宝」で確立した手法を今回も踏襲している。

新エリアの敵モンスターは高レベル向けとなっているが、レベルが足りなくても、物資運搬や採取などバトル以外の行為で「開拓」に参加することが出来る。

久しぶりの拡張ディスクということで、力を入れて作られているのが伺える(このゲームにしては、マップの曲数がいつもより多いところなど)。
以前はマップの構造やゲームバランス(ステルス魔法を見破る敵の配置など)に意地悪さが目立っていたが、さすがに長年サービスしてきただけあって、質的な改善の兆しが節々に見られる(遊びやすくなっている)。

前回の拡張ディスク「アルタナの神兵」(2007年11月22日発売)以降、メーカー側の姿勢が大きく変わってきた。
対応が遅い上に悪く、客の意見を聞かない会社だったが、長らく設置されていなかった公式フォーラム(意見交換の掲示板)を開設して、客の意見を積極的に聞く姿勢が見られるようになった(フォーラムの設置は2011年と割と最近)。
バージョンアップの遍歴を見ると、この5年で柔軟にシステムの改善やテコ入れを行なっており、特に多くのプレイヤーから不満点として挙げられていた部分が直されている。

筆頭に挙げられるのが、パーティでレベル差があると経験値稼ぎが満足に出来ないことからくる、パーティの組みづらさを解消する目的で導入した「レベルシンク」である。
これは、高レベルPCが低レベルPCにレベルを合わせるというシステムで、これによりゲームの進行度にバラつきがあって遊びにくかったフレンドとも気軽に遊べるようになった。

他にも、かつては「絆」というテーマの名のもとに、とにかくパーティプレイを強いられ、1人で気軽に遊ぶことが困難な状態がずっと続いていたが、時代の変化に合わせるためか、システム面での補助を充実させることで、以前より敷居が低くなっている。

イベントクエストなど1人で遊べてもいいようなものは、1人でもクリアできるように難易度が調整されたり、経験値やスキルの上がり方といったパラメータの調整、マップの構造を見直したり細かい修正が見られる(移動するのに複数人必要とするエリアのギミック撤廃等)。

また、「フィールドオブヴァラー」というLV上げサポートシステムが導入されたことで、1人で、敵と戦いながら現地でパーティを組むというFF11においての理想がようやく現実になったといえる。
色々開発としても考えや事情があったのだろうが、単純に消費者側からしてみれば、対応が遅すぎたと言える。

昔はLV上げ自体がメインコンテンツだったためか、経験値・お金稼ぎ全般、ゲームバランスが渋くて辛かったものだが、エンドコンテンツが充実してきたこともあってか、ここ1,2年で明らかにLV上げに対する立ち位置が変わっている。
LV上げは、ゲームを楽しむための単なる通過点となり、以前では考えられないほど簡単に経験値を入手できるようになった。
例えば、新エリアの新しい町のクエスト報酬が経験値であることが多く、簡単なお使い程度のクエストでも、報酬が1000という気前の良さである(昔なら強敵3,4体倒した分の経験値)。

現在のFF11は、モンスターハンターのようなアクションゲーム的な色合いが強くなり、キャラクターの経験値稼ぎを重点に置いた昔ながらのMMORPG路線から脱却しようという意図が感じられる。

遊びやすくなったとはいえ、それはあくまでも昔と比べてのことで、旧世代的な不便さ漂うユーザーインターフェイス、グラフィックの古臭さなど、型遅れなゲームといった弱さは拭えない。
バリエーション豊富なクエストも、受けられるかどうかのヒントがなく、クエスト自体の進行度やすべきことの表記の少なさ、合成のレシピは聞き出してわざわざメモを取らなければならない、
ミニマップがなくコンパスのみで、肝心の地図も見づらいこと(マーキングで自分だけが分かる地図にしていく楽しみはあったが...)。
インターフェイスに関しては刷新するという話もあったそうだが、プレイステーション2版が足を引っ張っているという話だ。

システムは拡充し続けた結果、コンテンツが膨大になり、恐ろしく煩雑である。
ずっと続けているプレイヤーなら違和感はないかもしれないが、10年という時間が、ゲームを巨大化し、複雑化させてしまった。
その場で、システムに対する説明を聞くこともできるが、外部の、攻略ページや公式のバージョンアップ解説を見るほうがはるかにわかりやすく、ゲーム上の不便さと相まって、ゲーム内だけでは楽しみにくい内容になってしまっている。
覚えづらいカタカナの固有名詞の多さも、なんとかするべきだと久々に触って感じた。

元々こんなに長く第一線で運営を続けるつもりはなかったんだろう。
特に、今回の拡張ディスクに関しては、「ファイナルファンタジー14」の失敗が大きく影響していることは確かだ。
運営計画としては、2010年で「ファイナルファンタジー14」にバトンタッチして、「ファイナルファンタジー11」は徐々にフェードアウトする予定だったのだと思う。

FF11は1年半のペースで拡張ディスクを発売していたが、「アルタナの神兵」後、2009年からはダウンロードコンテンツによる拡張(単価980円)に小規模化していた。
そして2010年度には、長年LV75で止まっていた最大レベルを段階的に一気にLV99まで引き上げた。
おそらく同時期に売りだしたのが、高レベル向けバトルコンテンツ集(通称「アビセア三部作」)だったからだろうと思われる。

ところがFF14が歴史的大失敗を起こしたせいで、ユーザーを移行させるどころか、FF11がまだ頑張らなきゃならなくなり、この拡張ディスクが企画されたのだろう。

ただ、はっきりと断定はできない。
2011年以降のFF11が、本来どのように運営するつもりだったのか、今となってはわからないからだ。
もしかしたら、FF14の成否関係なく拡張ディスクを作るつもりだったのかもしれない(開発時期としては急ごしらえって感じで考えづらいが)。
なんにせよ、2011年以降の拡張コンテンツが白紙のまま運用されてきたため、おそらくはそのまま縮小化するつもりだったのではないかと言う気はする。

それにしてもFF11は、なんとも損な役回りばかり押し付けられている。
失敗したFF14は、再建するために人員と開発コストをかけ、DQ10はWii U版の発売に合わせて、テレビコマーシャルに宣伝イベント等、ふんだんに予算を回してもらっている。

この優遇に対してFF11は、久々に拡張データディスクが出るというのに、それすらもWii U版DQ10に発売日を被され、「信長の野望オンライン」のようにPS3版対応版を出させてもらえない。
特設サイトやPV映像はどこか地味で、一線を退いたゲームのような雰囲気が漂っている。縁の下の力持ちとして頑張ってきたのに、この扱いはあんまりだ。

まあ実際、このゲームで既にやることはやりきった感はあり、結局似たようなやりこみ要素の繰り返しになってしまうのは、これだけ長くサービスと拡張を繰り返していれば仕方のないことではある。
レベル上げがやりやすくなって、ストーリーを楽しみやすくなったといっても、かつての客引きパンダの一つだったシナリオやイベントムービーも、今更感が凄くて、未だに気になってる人や体験したいという人はもういないんじゃないかと思う。
かといって、現在のFF11のゲームの趣旨は、昔とは様変わりしたノリで、時代が変わったとも言えるが、愛着を持って数十時間遊べるような魅力を放つ空間ではなくなり、すっかり色あせてしまった。

インストール中に流れるスタッフロールで見間違いでなければだが、独立した石井浩一(初期時代のディレクター)の会社グレッゾに制作協力してもらってるところが面白かった。そこで結論。

遅すぎた拡張データディスク。





[2013/04/05]
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