ファイナルファンタジー12 レヴァナントウィング


対応機種ニンテンドーDS
発売日2007/04/26
価格4800円
発売元スクウェアエニックス

(c)2007 SQUARE ENIX / THINK & FEEL
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昨年春に発売され、賛否両論物議をかもした「ファイナルファンタジー12」の外伝作がニンテンドーDSでリリースされた。
タッチパネルを駆使したシステムデザインで、12同様斬新なゲーム内容に期待。

RPGと銘打っているが、実態はステージクリア型のリアルタイムストラテジーである。
リーダーユニットには経験値が設定され、通常のRPGのように装備品などでカスタマイズが出来るが、あまり重要ではない。
マップ上には召喚ゲートがあり(無いステージもある)、ここからモンスターを召喚して戦わせる。

装備品の合成に使う素材を採取する要素や、クリスタルという拠点的な要素(ごく一部のステージのみ)もあり海外で一般的なRTSに非常にゲーム性が近い。

スクウェアエニックスとRTSの組み合わせといえば、真っ先に思い出されるのが「聖剣伝説ヒーローズオブマナ」である。
あの悪夢と比べると、本作はおそろしく出来がいい。

画面設定も、ポリゴン+スプライトキャラと同じだが、カメラ操作はできないようになっている。

全体的にインターフェイス、操作性ともに非常に練られており快適で、イライラすることは少ない。ただ、DSでこのジャンル作るのは向いてない気がする。
タッチペンをマウス代わりに使うっていうのは、意外とやりにくい。

3すくみやリーダーユニットの使い分け、アビリティの使用など、ゲームシステムも洗練されているが、難易度は(終盤のサブステージを除いて)非常に低く設定されており、終始ごり押しでも勝ち抜ける。
というか、「聖剣伝説」でRTSの面白さを伝えたいというねらいは、むしろこのゲームの方が達成出来ていると言える。

同じ会社から、同時期に出ているのに、この差はある意味凄い。両者とも開発は外注だが、企画は内部の人間がやっているはずなので、力量の違いがもろに出たと言えるだろう。

このゲームが問題なのは、ジャンルをRPGと曖昧に見せて販売している点だ。
ゲームシステムで売るための自信がないからだとすると、ゲームバランスを極端に下げているところもイマイチ納得がいかない(下げたことで結果的にいいゲームになっていると思うが)。

ストーリー、世界観は、外伝と言うことで、浮遊大陸レムレースという同一世界ながら、独立したものを持ってきている。
しかし、登場キャラクターに本編のキャラが多い上に、本編経験者前提のような微妙につながったシナリオ、ファンサービスのつもりだろうが尾を引いたような地上世界の存在など、外伝になりきれてない感が漂う。
正直な話、ヴァンとパンネロだけに絞って、それ以外のメインキャラクターは出さないほうが良かったように思う。

この会社お得意のムービーシーンの挿入も当然あり、DSにしてはなかなかの高水準である。
しかし、2画面を使って2カットを同時に見せる演出は、見る方も混乱するので、もう一つ工夫して欲しいところだ。
あと、キャラデザが違う人になったらしく、CGのタッチもそれにあわせて変更されている。

これはおそらく「聖剣伝説ヒーローズオブマナ」を描いた人と同じ人だと思うのだが、本編の絵師と比べると、質が落ちていると言わざるを得ない。
別にキャラクターデザイナーの力量云々の話ではないのだが、同じ人物を描かせるには、やっぱり力不足に見える。

そもそも制作スタッフが違うのか、全体的なテイスト、作風が違っていて違和感バリバリである。
DSということを意識してか、低年齢層に配慮した漫画チックな雰囲気は好みが分かれるかもしれない。

最近、この会社は関連作品と称したシリーズ物で売っていく手法が目立っているが、もう少し作品ごとに統一性を持たせた方がいい。
このゲームのように、別スタッフが作った別物のようなゲーム内容のものに、既存のシリーズ作品の名前をかぶせた売り方を続けていては、いつかは破綻する。
そこで結論。

ゲーム自体は凡作。ただし中身は別物。果たしてこれは誰に売りたかったのか?





[2007/04/28]
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