ファイナルファンタジー13-2


対応機種プレイステーション3/Xbox360
発売日2011/12/15
価格7980円
発売元スクウェアエニックス

(c)2011 SQUARE ENIX
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Amazonリンク:ファイナルファンタジー13-2(PS3)
Amazonリンク:ファイナルファンタジー13-2(Xbox360)

多くの謎を残したまま完結した「ファイナルファンタジー13」。その後の物語を描いた作品がこの「ファイナルファンタジー13-2」である。
前作の主人公ライトニングの妹セラと未来から来た謎の青年ノエル視点で描かれる時を超えた壮大なエピソードが展開する。

FF13は、きちっと仕切れる人間がいなかったのか、開発は長期化し、迷走した結果、実製作期間が満足に取れず、作りかけのような状態で発売されてしまった。少なくとも練り込み不足であったのは否定できない。
しかし今回は、スケジュール管理を徹底し開発期間約1年というレスポンスの速さで発売される運びとなった。

プロジェクト開始当初からプレイステーション3/Xbox360のマルチプラットフォームで出すと決めたことで、DVD-ROM1枚に収まるように作られた。
HDマシンの大作RPGをDVD-ROM1枚で作るのは大変だろうが、限られた容量を意識してゲームを作るのは、無駄を省く必要性に迫られたり効率性を求められたり、良いゲームを作る上でとても重要なことである。

このような制作環境を敷いたことで、FF13と比べ様々な部分でゲームとして良い方向に向かっていると感じた。

まず、イベントシーン。ほとんどリアルタイム処理で表現している。
FFシリーズは、どうやったって画質が落ちるリアルタイムのカットシーンよりも、綺麗なCGムービーに比重を強く置いていた。
FF13でも、見せ場のシーンは何でもかんでもムービー頼りだったが、容量は使うし、金はかかるし、その割に見せるだけしか出来ない。

ハードウェアの性能が低かった昔は、綺麗なCGムービーを作るだけで技術力を誇示できる時代だった。
なぜならCG自体がまだ珍しかったし、昔のゲーム機は性能が低かったので、どう頑張ってもCGムービーにはかなわない、貧素なクオリティーにしか作れなかったからである。
プレイステーション/セガサターン時代のローポリゴンでは言うまでもなく、プレイステーション2世代でも、メモリ等の問題もあり、かなり工夫しないとちゃんとしたカットシーンは作れなかった。

それならば、ゲームシーンとの画質に違いが出たり、他にもデメリット(金と手間がかかる等)があったとしても、CGムービーで豪華に見せるという考えは決して間違っていなかった。

ところが、プレイステーション3/Xbox360時代になると、ハードマシンの性能が上がって、リアルタイムのスクリプト処理でも、技術力次第で結構な水準のモンを実現できるようになった。
こうなるともう、様々なデメリットを抱えた見るだけと一発でバレちゃうCGムービーで見せていく手法は古臭い過去の遺物に見えてしまうようになる。

ちょっと余談になるが、自分含めゲームに見慣れた目の肥えたにーちゃんは、プレイステーション/セガサターン世代で業界全体がムービー偏重の時代を迎えていたが、画質は確かにすごかったがあんまりそれ自体は評価してなかったはずだ。
映像的には見劣りしても、きちんとプログラム制御されたイベントシーンの方が、工夫している&技術力が高いという風に見てて感心していた。
個人的にも、PCエンジンのCD-ROMで、同じ見ているだけでもきちんとプログラム処理されたビジュアルシーンはコンピューターゲーム的に見所が少なからずあったが、プレイステーション/セガサターンになってからは、そういうシーンはJPEGやらシネパックばかりになってしまい、つまらなくなってしまった。
だから、ROMカセット媒体でリアルタイム処理するしかなかったニンテンドウ64は割と期待していたのだが、ソフトの値段が高いくせに発売日買いしたいゲームが少なく、もったいないと感じていた。
その後、任天堂もゲームキューブでCGムービーを使うようになりがっかりした記憶がある(確かマリオサンシャインだったと思う)。

こういったCGムービ全盛期の時代に、敢えてCD-ROM媒体で、リアルタイム処理にこだわっていたコナミ「メタルギアソリッド」シリーズは、良くできた高水準のイベントムービーが根強く支持(評価)された原因といっても言い過ぎでないと思っている。

他にも、フィールドマップも、ただ作りっぱなしで終わるのではなく、容量が限られているので1つ1つのマップを大事にして、その中に様々なギミックを盛り込んで遊べる空間を作ることを目指した。
個人的には、FF13のように沢山のマップをひたすら駆け抜けて流れるようにストーリーを追うという作りも嫌いではない。だが、ゲームとしてみると、一度通り抜けたら戻れないマップが多すぎるし、時間がなかったのか、本当に遊べる部分が少ない。というかなさすぎた。

さて、FF13-2は、プロモーション(情報の出し方)に実にがっかりしていた。FF13は失敗作でしたと暗に認めるような発言が目立ったからである。
「テイルズオブエクシリア」のレビューの時にも書いたのだが、最近のRPGは肥大化しすぎていると感じていたので、敢えて逆の方向に走り、引き締まった作りだったFF13の方向性については評価している。
しかし、作り込む時間が足りなかったのか、あらゆる部分が荒削りでいい印象が持てなかったのは事実だ。だが、頭から全部FF13を否定するのもいかがなものか?
ゲームを作る上で市場で求められているものを把握するマーケティングは重要なことであるが、作り手として信念を持たず客の声ばっかり気にするゲーム作りってのもなんだか情けない。

FF13は注目度の高い作品だったので、そのぶん不満点や欠点もかなり指摘された。
そういった声をしっかり拾い上げたらしく、目立った不満点は全て解消されている。

細かい部分をかいつまんで挙げていくと。

インターフェイスがかなり改善された。
例えば、経験値を割り振るクリスタリウムの操作性の悪さが解消され、非常に快適になった。システム的にも簡略化されてわかりやすくなった。
戦闘シーンでのレスポンスも良くなり、イラつくことがなくなった。レスポンスというより、メニューの切り替わりの演出を変えた見た目的なものが大きいと思うが。
パラダイムシフト(前作のオプティマチェンジ)変更時の余計な演出もなくなり、ストレスを感じることがなくなった。

文字が小さいと言われたことへの対策。
ただしエンジン使い回しのせいもあってか、イベントシーンの字幕が大きくなったぐらいで、メニュー画面や戦闘シーンの文字については変わりなし。それでもHPゲージを太くする等の配慮はある。
最近の据え置きゲームは、解像度が高くなったことやPCゲームの移植が増えてきた弊害なのだろう、パソコンを扱うときのように、モニタの目の前に座って遊ぶことで丁度よいゲームソフトがかなり増えてきている気がする。
画面から1メートル以上離れてというスタイルだと文字が小さく読みづらいゲームが増えてきたので、自分の場合はプレイステーション3/Xbox360に関してはPCモニタにつなげて、至近距離でプレイするようにした。
これはこれで、テレビ画面から離れて遊ぶことに配慮してくれたゲームは字が大きく感じてしまって困ってしまうのだけど。

ちなみにFF13の場合、コンシューマゲーム向けに作られていながら、文字が小さかったのは、開発者とかテスターというのは、いちいちモニタ画面から離れてチェックせず、PC操作と同様に至近距離でチェックしていたからだろう。
それでも当時はファイナルファンタジーのナンバリング作品なのだから、このあたりもっと配慮が行き届いていてもおかしくないとは思ったのだが。

いまいち面白くなかった武器改造強化システムの見直し。
とりあえずお金を出してある程度までは強い装備品を買うことができて、そこからさらに素材を集めて自分好みのアビリティが付けられた(攻撃力重視か素早さ重視か)武器へと改造する一般的な良くあるタイプのものになった。

サブイベントの強化。
FF13では、町がなかったが、人が住んでいる町が用意され、そこで住民に話しかけたり出来るRPG的な要素が取り入れられた。
また、サブイベントにもきちんとドラマ性を持たせており、FF13の時では石碑を探してそこに書かれた敵を倒すだけで寂しかったものだが、この辺がバリエーション豊富になってワンパターンになっておらずやる気の出るものになっている。

戦闘システムやバランスについて触れる。
FF13ではシンボルエンカウントだったのに、FF13-2ではランダムエンカウント方式になっていることに多くの人が困惑したのではないかと思う。
FF13-2のランダムエンカウントは正確に書くと、プレイヤーの周りに突然敵シンボルが出現して、逃げることもできるが、時間内にシンボルに攻撃を当てると奇襲攻撃ができて有利に戦えるというものだ。

いま、RPGの多くはシンボルエンカウントを採用している。なぜならそっちの方が利点が多いからだ。
ランダムエンカウントは、戦いたくないときにエンカウントして鬱陶しいし、敵シンボルを見て戦いたい相手を探して戦ったり出来る。
マシンの性能も上がってきて、マップ上に敵を配置して徘徊させるのも難しくなくなった、などの事情もある。

じゃあなぜFF13-2では、ランダムエンカウントを敢えて採用したのか理由を書く。まあ、推測でしか無いが、おそらくこういう理由だと思う。

ゲームを遊ぶ客の中には、実は自分のようにまれに困った客がいて、例えばシンボルエンカウントなら、多くの客は、道沿いにいる敵全員と戦って、なるべく適正レベルを維持して進もうとするだろう。
多分FF13も元々そうやって遊ぶことを想定したバランス取りをしているはずだ。
というのも自分はPS3版、Xbox360版で2周しているが、いずれもそうやって遊ばなかったからわからないのである(Xbox360版はイージーモードだけど)。

自分の場合、敵を律儀に倒していくのは面倒臭いので、避けれる敵はとことん避けてどんどん先に進めてしまって、絶対に倒さなければならないボス戦まで来てしまっても、想定レベルより低い状態で挑んで強引に突破しようとする。
わざとそういうギリギリの状態でやって来て、苦しい戦いになるのはわかっていながら工夫を凝らして攻略する。レベル上げをするのはどうしようもなくなったときだけ。
そういう無茶なやり方を楽しんでいるひねた客がたまにいるのだ。自分なんか苦労の末ボスを倒したときに、レベルが一気に3,4上がったら思わずほくそ笑んでしまうほどである。
だから、最近のRPGでおきまりの要素になっている、クリア後の隠しボスといった“用意された強敵”には一切興味がでない。よほどヌルいゲームでない限り、本編で十分なほどスリルを楽しんでるからだ。

せっかくなので、自分がいかに極端かというのを少し例に出すと。
「ドラゴンクエスト9」では、初めてパーティを作って挑むボスに、まだ仲間のレベルが1とか2で十分に育ってない状態で強引に突っ込み、倒せそうだったから何度も何度も挑み続け強引に倒した。
「テイルズオブグレイセス」では、簡単に敵をよけれるので、ほとんど全くザコと戦わず進めていたら、1体のボス戦より、一度に5,6体出てくるザコ戦に勝てなくなり、辛くなっても経験値稼ぎすらできなくなり、そういう状態で結局最後までやり通した(いかにきつかろうと難易度は一度も下げていない)。
おかげで、「テイルズオブグレイセス」に関しては、戦闘バランスにあまり良い印象が持てないまま終わってしまった(ちなみに断っておくと他のシンボルエンカウントのテイルズでここまでバランスが極端な作品は今までない)。
「スターオーシャン4」は、戦闘回数が記録されていたが、クリアするまで100回も戦っていなかった記憶がある。

世の中にはもっと奇特な人間もいて、「イース1・2」のいわさきひろまさは、ダンジョンの宝箱も取らない、エンカウントしても逃げれる限り全部逃げるというプレイスタイルで遊んでいるようなのだから、凄いものである(さすがに自分はそこまでひねくれていない)。
そんな彼が「ファイナルファンタジー8」を絶賛するのはわかるがレベル上げ必須の「ファイナルファンタジー13」を褒めているのはちょっと理解に苦しむ所ではある。

こういう人間にぴったりのゲームってことで「サガ」シリーズを良くすすめられるのだが、どうにもアレはもともと滅茶苦茶な運任せのゲーム設計なところが肌に合わない(とかいいながらやっちゃうんだけど)。
自分から滅茶苦茶な状態にするのは楽しいんだろうけど、最初から滅茶苦茶で破綻したゲームバランスだと納得できないのだと思う。ちなみに「サガ」に関しては、全てが肌に合わないわけではなく、「連携」「ひらめき」はとても面白いシステムと思っている。

なぜ、長々とこういうことを書いたのかというと、ゲームを作る上で、こういった極端なプレイスタイルを持つ人間でも楽しめるよう意識することは大切な事だからである。

FF13-2の戦闘システムはFF13と同じものである。FF13の戦闘システムは、適正レベルで挑まないとお話にならない、楽しめない作りになっている。
だからシナリオ進行ごとにレベル制限をつけてレベルが上がり過ぎないようにしたり、逆に低レベルで来た人への対策として死の宣告(時間制限)をつけていた。
そこまでするならいっそのこと、経験値をもらえるのはイベントクリアの時とか割りきっても良かったと思うのだが、そこはファイナルファンタジーのナンバリングタイトルとしてそこまで冒険出来なかったんだろう。

じゃあ、それを受けて今回、想定レベルでプレイさせるにはどうしたらよいか?を考えた時、自然とランダムエンカウントにせざるを得なかったと言える。

シンボルが湧いた時、離れることで逃げれるようにもしたけど、それよりかは、すぐ敵シンボルに斬りつけたら、奇襲攻撃になって楽できるし、戦闘時間も長くても1分で終わるようにしている。
おまけに、倒したモンスターが仲間になる要素を組み込んだら、よほどひねた人でない限り、きちんと戦うだろうということで、こういうシステムになったのだと思う。
事実、いつもシンボル制のゲームではさけてばっかりだった自分は、今作では下手に逃げるほうが手間かかって面倒なので、ちゃんと戦いながらプレイした。宝箱探しとか探索中はさすがに煩わしく感じるけど、一部のエリアをのぞいてエンカウント率もちゃんとしてるから、悪くはない。
それから、クリア済みのマップではチョコボが配置されて、戦闘を避けて移動できるようになる。ただし、ギサールの野菜を消費したり、いて欲しいところにチョコボがいなかったり、微妙に不便な所が残ってるのは残念。

戦闘バランスも、だいぶ見直されて良くなった印象だ。FF13ではザコ戦の時点で、キツキツのバランスで厳しかったものだが、今作では普通のRPGのような感覚で遊べる。
軽く改良点を書くと、補助魔法前提のバランス調整じゃなくなっている、ザコ、ボス問わずHPが減ってて堅くて削れないゲージを見てしんどい思いをすることがなくなった(とはいえ終盤のボス戦はややいやらしいタイプのものがある)。
レベル制限は勿論撤廃、死の宣告やデスといういやらしい攻撃は少なくとも本編中では出てこない、セラとノエルで戦闘中に操作キャラを切り替えられる(ただしメリットはあまりない)、操作キャラが死ぬだけでゲームオーバーというルールが変更されパーティ全滅でゲームオーバーになる、戦闘時間が短くなってテンポが良くなった、範囲攻撃の際パーティメンバーの位置関係の理不尽さがあまり気にならなくなった、といったところ。

ストーリーは、タイムトラベルものになっている。まあ、そうするだろうなとは思った。
というのも、こうすることでマップをていよく使いまわせるからである。ちょっとテクスチャを変えるだけ、エフェクト効果を変えるだけ、そして設定で同じ場所でも100年後の世界とデコレーションすると、全く違った舞台が出来上がる。
DVD-ROM1枚で、ムービーも入っているし、フルボイスだし、容量的な都合を考えると、ゲームとして成立させるためにはこうやって水増しして本来1つのマップを3つあるように見せて…、ボリューム的にはまあこんなもんだろうなと思う。
ただゲーム的には結構、遊べるフィールドを目指しているので、景色は違うけど何も無いマップが沢山あるだけだったFF13よりは、今作のほうが有意義とは言える。

シナリオは、好き勝手やっていたFF13と比べると、だいぶ無難な路線で押さえてきた感じだ。しかし、悪くもないんだけど良くもない、裏切らない出来だけど、無個性な印象がある(新キャラのノエルはキングダムハーツに出てても違和感無さそうな感じ)。
一応タイトル画面から、FF13のストーリーを知ることができる「初心者の館」というものがあるが、実際にFF13をやっていないと、楽しめない内容に感じた。世界観を理解していないと話についていけないといった類の問題だ。

話のあらすじ(言いたいこと)はわかるのだが、タイムトラベルものってことで、イマイチ消化不良と言うか説明不足に感じる部分があった。

FF13プロジェクトは、ファブラノヴァクリスタリスという神話に基づいてプロットを形作っているようだが、アレははっきり言って足を引っ張っているとしか思えなかった。
2011年1月にこのゲームが発表されたときに、合わせてその神話が動画で公開されたのだが、何度か見ても複雑怪奇でついていけなかった。
今作は、割と筋はシンプルな展開なんだが、あの設定をうまく絡めて話を持って行こうとする段になると、とたんに凝った設定がしゃしゃり出てきて、話が見えなくなってくる。
終盤に「そこまで凝ったこと言わなくていいのに」と感じたぐらいで、それ以外は特に気にならなかった。

あと、マルチエンディングのようだが、最初に到達するであろうエンディングがいかにも納得の行かない終わらせ方をして、すっきりしなかったのも駄目だ。
「やり込み図鑑を埋めて真のエンディングを目指しましょう!」と言わんばかりの押し付けがましい構成は、マルチエンディングの使い方を間違えてると言わざるを得ない。
アクションゲームやアドベンチャーゲームなら、真のエンディングを目指すとか全部のエンディングを制覇するという気にはなるのだが、RPGは時間のかかるジャンルなので、あまり積極的にやりたいと思えない。
本編だけだと20時間ぐらいで終わってしまうから、こういう対策を施したのだろうが、真のエンディングを餌に、やり込み要素をやらせようという魂胆が好きになれない。
あくまでやり込み要素は自己満足で遊ばせるものであって、餌をちらつかせてプレイ時間をなんとか引き延ばそうなんていう考えは愚の骨頂だ。

それ以外のゲームデザインなど。
全体的に海外ゲームを意識(勉強)したところが目立ち、利便性を追求したデザインが好印象だ。例えばFFシリーズでは初であろうオートセーブ機能の搭載だ。また、いつでも好きなときにセーブして終わることが出来る。

まず、ヒストリアクロスという概念。これは中々良く出来ている。
ヒストリアクロスというメニュー画面から、行きたいマップを選択する。マップに出てから、どのタイミングでも、このヒストリアクロスに帰ってくることが出来る。戻るときも、そのマップの最後にいた場所を記憶しており、何かの探索途中で飽きて別のことをやってても戻るときはすぐそこに戻ってこれる。
そのせいか、一度に全部のマップデータを読み込むせいなのか、マップ切り替えのロード時間がおそろしく長いのが残念といえる。

RPG、特にストーリー重視のFFではつきものの、取りこぼしたアイテム&イベントで泣きを見ることはよくあるが、今作では、イベント未クリアの状態に巻き戻してプレイすることが出来るようになっている。
そのため、取りのがして2周目をやり直すといった必要がないように作られているのは良い。

しかし、ゲートとオーパーツのシステムが、なんてことはない単純な事柄なんだけど、説明下手で、無駄にややこしくしてしまっているのが残念に感じた。
要するに、マップ上にあるゲートに合う鍵(オーパーツ)を探して、ゲートを開けると新しいマップに行くことが出来る、そうやって移動範囲を広げて行くというシステムだ。
だけど、ゲートにも種類があって、イベントクリアで手に入るオーパーツで開くゲート、マップ上に隠されているワイルドオーパーツ(要するに汎用的な鍵)で開くゲート、単純に特定のイベントをこなさないと開かないゲート、と種類がちと多い。
もっとこの辺をすっきりシンプルに理解できるように突き詰めて欲しかったのが正直な所だ。

別ジャンルの、アーケードゲームとかとは比べるものではないが、そういう所で売っているゲームでは、5分あるいは1ゲームで理解出来ないと放り投げられてしまうシビアな世界だ。
家庭用ゲームは、家でじっくり腰を落ち着けて遊ぶからなのか、ぜい肉の多いゲームデザインにしてしまう傾向にある。
いま、ソーシャルゲームも流行ってきており、家庭用ゲームが窮地に立たされつつあるが、昔の家庭用ゲームがそうだったように、もっとフットワークの軽い、入り込みやすい作りを意識していくべきだ。
10分20分やっただけで、つまんないからやめたという人に対して「飽きっぽい」などとののしってる場合ではない。そうならないように、ゲームの側で意欲的に工夫する必要がある。
いつまでも、下手くそな説明で複雑なゲームシステムを採用して、理解を求めるという作りでは客は離れる一方なのだ。

この辺のシステムについてもっというと、ワイルドオーパーツが見つけづらくて手に入りにくいのが気になった。
とにかくゲートを開けることが出来なければ、やり込み要素にしても先へ進まないので、もうちょっと手に入りやすくして欲しかった。
あるいは、オーパーツなしでも開くようにするとか。ちょっと必要なプロセスが無駄に多いような感じがする。

パーティメンバーがセラとノエルの2人しかいないので、3人目として用意されたのが、モンスターを仲間にして戦わせることが出来るシステムだ。
モンスターは種族ごとにロールが決まっていて変更はできない。パラダイムシフト(前作で言うオプティマ)には3匹まで登録できて、作戦(ロールの組み合わせ)を変更するごとに設定した3匹のモンスターが入れ替わって戦う。
モンスターの成長は対応するアイテムを使うことでレベルアップする。アイテムは店で買うこともできるし、敵が結構な頻度で落とすのでサクサク成長させることが出来て煩わしさはない。
しかし、頑張ってこの手のシステムを組み入れたのは評価したいが、今一歩惜しい所が目立ってしまっている。

たぶん均等に設定しているのだとは思うが、ヒーラー、ディフェンダーのモンスターが少ない感じ。ブラスターやアタッカーといった攻撃系のモンスターが多くて持て余してしまっている。
また、シンクロドライブというモンスターごとに必殺技が用意されているが、ほとんどが大した強くない攻撃系の技ばかりで、わざわざ発動させる必要のないものばかり。
HP全体回復とか、補助魔法がかかるとか、もっとバリエーションが欲しかった。
アビリティ継承といういわゆる合成のコマンドもあるのだが、引き継げるのは覚えたアビリティだけ。せっかくアイテムを消費して成長させても、パラメーターに反映されないとそれが合成の段階でほとんど無駄になるというのは実にもったいないとしか言えない。成長限界を超えた強いゴブリンが作れるとか、無茶な要求かもしれないがそれぐらい自由度が欲しかった。
モンスターがリアル系で愛嬌がないからと、装飾品を付けたり名前をつけたりカスタマイズが出来るようにしているのだが、やはり元のデザインが愛着の持てるものでないから正直見苦しい。

シネマティックシーンという、いわゆるクイックタイマーイベントが導入されており、ムービー中にボタン操作を要求される箇所がある。
ただでさえ長めのムービーシーン、しかも今回はリアルタイム処理しているから取り入れたのだと思う。RPGというジャンルでこういう要素を付けるのはどうかと思ったが、色々考えられていて悪くはない。
たとえば、QTEシーンに入るときは、左上にシネマティックシーンのポップアップが入って教えてくれるし、入力タイミングもかなり甘くて、まず失敗することがない。
しかし、なぜここにQTEを入れないの?というシーンがあった。製作時間が足りなかったのだろうか?気になる所だ。

今回は、パーティキャラが2人だけというせいもあるのか、移動中も良く喋る。
町の中の住民1人1人が違和感なく別々に歩き回っていたり(単純に行ったり来たりしてるのではなく沢山のキャラが別々に動いている)、互いが干渉しあっていたり、近づいたら台詞を喋ったりする。衝突判定もきちんとしてて、モーグリを投げたり隠し宝箱を出現させたら、近寄ってきたりしてちゃんと反応がある。
これは、FF13-2を作ることになってここまで新たにAIルーチンを構築したのか、もともとFF13のツール制作時点で、実装されなかったもののとりあえず作っていたのか時期が気になる所だ(個人的には後者ではないかと思う)。
海外のオープンワールド系のRPGでもここまでプログラムレベルの高いものは数えるほどしか無いと思う。国産ゲームで言えば間違いなくトップクラスだと思う。というわけでFF13-2の一番の見所は町と断言してもいいぐらいだ(笑)。

このように、ゲーム自体はFF13で言われた意見をしっかりフィードバックしつつ高い完成度を目指した力作という感触はある。だが、素直に面白いと思えなかったのは何故だろう。なにか、味のなくなったガムを噛んでいたような感じだ。
基本的なシステムエンジンはFF13のものを流用して、そこにとりあえずやれるだけのやり込み要素をぶち込んだだけだからだろうか。確かに色々改善されて良くはなっているものの、このゲームならではの新鮮さに乏しいのである。
似たようなゲームでは過去FF10-2があった。あれは戦闘システムを刷新したり作風をガラリと変えたりしたせいか、まだ目新しさはあった。

すきずきあるだろうが、やはりFF13のあのアクティブタイムバトルは2作続けて採用するほど面白いものとは思えなかった。まずブレイクシステムがバランス調整するのに極めて難しい要素になっていると思う。
楽しみどころややりたいことはさすがに理解している。なんというか、融通の利かないアクションゲームをコマンド入力で遊んでいるかのような、ただただせわしい疲れる戦闘シーンという印象しか持てなかった。

まあ、戦闘システムを流用したのは安くあげたかったからだけだと思う。
なんというか、ダウンロードコンテンツ商法に力入っているところとか見る限り、とりあえず金が欲しくて客の声聞いて欲しがってるモンを人海戦術で豪快に仕上げたといった感じ。
もちろん、この規模の大作ゲームを短期間でこのクオリティで仕上げたという点(どこまでを新しく作ってどこまでが流用なのか見極められないところもあるが)は今後のこの会社のノウハウや実績となって行くと思う。
しかし、今作に限っては、所詮FF13の焼き直しというかファンディスクの域にとどまっているというか(でもその割には13キャラの出番が少ないし、アニメ的な軽いノリが入ってくるのは違うと思うんだよなぁ)、確かに頑張りは伝わるのだが色々と物足りない作品だ。そこで結論。

良くできた製品だけど、面白い作品かというと…?





[2011/12/26]
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